表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊のジレンマ~古の記憶と世界の理~  作者: 三河三可
タカオの街のドワーフ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/410

第65話.黒幕

 コボルトを抜けた先にいるのは、下半身がヘビ型で上半身は女性のヒト型の魔物。髪は緑色で肌は紫色と毒々しい。


 そして、ムーアの顔が厳しい表情に変わる。


『あれは、ラミアよ』


 コボルトを突破して、こちらは数的優位の状況にある。それにも関わらず、不敵な笑みを浮かべるラミア。魔物の中でも中位クラスで、この辺では現れた事がない。


「お前も、私の駒になるがイイさ!」


 ラミアの目が妖しく光る。


「テンプテーション」


 目の前が一瞬暗くなる。何が起こったかが分からないが、魅了されたのだろうか?徐々に目の前が明るくなり視界が戻ると、俺の視界を塞いでいたのは純白の翼。


「何故、私の魅了が効かない」


 動揺をみせるラミアに、リズとリタが純白の翼を大きく拡げて見せつける。


「リズとリタか、ありがとな」


「クソッ、テンプテーション」


 再度、俺を魅了しようとしたが、純白の翼が1度羽ばたくとテンプテーションの魔法を無効化してしまう。


「何故だ、お前は何者だ!」


「ただの迷い人だよ、しかもハズレの方だな」


「そんな訳ないだろ、その翼はっ!」


 逆に俺の言葉に挑発されて、激昂してしまうラミア。ヘビの下半身をバネに、真横に飛ぶと狙いを変えてくる。


「テンプテーション」


 狙われたのは、ハンソ。俺達の中でも、一番狙いやすく見えたのだろう。


「エトッ、エトッ」


「さあ、私の言うことを聞きなさい。こいつらを、叩きのめすのよ!」


「ントッ、ントッ、ントッ」


「早く、殺ってしまいなさい!」


「エトッ、エトッ、エトッ」


「どうなってるの、何故コイツにも効かない?お前らは何者だ?」


「あのさ、ハンソには十分に効いてるぞ。上半身素っ裸のお前が出てきただけで、緊張して動けなくなってるのに、そこに魅了したらどうなるか分かるだろ」


「馬鹿にしてるの。そんな精霊がいるわけないわ!」


『酔眼朦朧』


 ラミアが、とろんとした目付きになり焦点が定まらない。


『これで魅了は使えないから、今の内に勝負を決めましょう』


「ダーク、行くぞ!」


 2本のマジックソードが動き、ラミアの胸を貫くと同時に首を刎ねる。蛇の生命力のせいなのか、それでも身体をくねらせ動き続ける。

 近付くと何かに巻き込まれそうな気がして、遠巻きに離れて様子を見ていたが、ウィスプ達のサンダーボルトを浴びると消滅していく。


 残ったのは2つの眼球。これがラミアの魔石。魅了などの精神に影響を与える魔物は少ない為、価値がある魔石になるようだ。


 そしてラミアが消滅した事により、コボルトの魅了が解けていく。


「これは、どうなると思う?」


『さあ、どうなるのかしらね♪ゴブリンよりも、少し強い存在よ』


「マズい、街に向かうコボルトは止めるぞ!」


 大半のコボルトは山の中へと逃げ出すが、一部は街へと向かって逃げ出す。ブロッサがポイズンミストで壁をつくって道を塞ぎ、ウィスプ達が山を下ったコボルトを追いかける。

 残る俺達は少しでも多くのコボルトを倒す事に全力を尽くす。


 街に向かって逃げ出したコボルトは、辛うじて止めることが出来た。大半は山の中へと逃げ込み、鉱山の中へと逃げ込んだコボルトは少ない。

 抜け穴から鉱山の中へと戻るコボルトも出てくるだろうが、今の逃げ方を見ると少ないだろう。残すは鉱山の最奥のコボルトとドワーフ、それに捕らわれている精霊。


「ムーア、ラミアって何者なんだ?」


『私も話でしか知らないわよ。この辺では下位クラスの魔物しか出ないし、中位クラスなんて滅多には見られないわよ。それこそ、ゴセキ山脈やダンジョンの中層以降に生息するような魔物よ』


「ラミアにも上位種は居るのか?」


『ラミアに上位種が居るとは聞いたことはないわね。ただ、あまり知られていない存在だから断言出来ないわ。詳しく知りたいなら、ダンジョンのあるような大きな街に行くしかないでしょう』


「そんな街があるだな。でもよく暮らせるよな、オニ族の村みたいに結界でもあれば別だろうけど」


『ダンジョンの街は普通にあるわ。魔石は利益をもたらすから、どうしても人は集まるのよ。それにダンジョンの魔物は、滅多に外には出てこないのよ』


「そこじゃあ、魔石を得る為の存在が魔物になるのか」


 手にあるラミアの魔石を見ると、何とも言えない気分になるが、今は考える時ではない。まだ間に合うなら、精霊達を助けよう。一番存在が怪しいのは俺なのだから。


『また難しい顔してるけど大丈夫?』


「ああ、目の前の捕らわれている精霊を助けよう」

お読み頂きありがとうございます。

『続きが気になる』『面白い』と思って頂けたなら、“ブックマーク登録”や“評価”、“いいね”をお願いいたします。

物語はまだまだ続きますので、引き続きよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ