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精霊のジレンマ~古の記憶と世界の理~  作者: 三河三可
タカオの街のドワーフ

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第52話.終わらない予感

 ヤッシの紹介状を貰って、タカオのドワーフの街を目指す。


 ヤッシからはハンソの出したオオザの崖の石、これをタカオの街で取引して欲しいと頼まれた。そして、この事は秘密にして欲しいとも頼まれている。オニ族の御神酒と同じで、ドワーフ達にとっての機密事項。これが、まとまった量が手に入るのは大きい。


 これは、レアメタルとかレアアースの類いだと思う。それが分かったとしても、ドワーフ達に蓄積されたノウハウや知識があって初めて成立する話で、簡単に真似出来るものではない。


 知らない者にとっては、ただの石でもドワーフには金に等しい。それにヤッシが全て買取り出来るかというか、出来るのは少量でしかない。

 元々はヤッシもタカオの街のドワーフ。オニ族の村で自由にやっているように見えて、掟やルールに縛られてはいるようだ。


 そして、装備品を揃えるなら、タカオのドワーフの街の方が断然良いと教えられた。ヤッシは腕はトップクラスの職人であることは間違い無いが、扱っている素材だったり品数が違う。


 そして、ヤッシの本当の理由が分かった。タカオの街は、オニ族の村から東へ1ヶ月以上行ったところにある。そこまで行くと、遠くにではあるが海が見えてくるらしいが、とにかく遠い。

 そして、途中には峡谷もあり、道のりは険しい。さらにオオザの崖の岩は割ってはいけない。空気に触れると、素材が劣化してしまうらしい。


「最後までヤッシには利用されたな」


『それでも、装備を揃えるには十分な金額は稼げるんじゃないの?』


「まあ、そうだけど。今ごろ満面の笑顔で酒飲んでるぞ!」


『アシスで生き抜くには、逞しくならいといけないのよ!』


「それは確かだな。俺も逞しく行ってみるか!」


 ハンソを召喚すると、何故かいつも挙動不審で現れる。


「エトッ、エトッ」


「ハンソ、オオザの崖以外の石も出せるか?」


「ントッ、ントッ」


『そんなに、アシスは甘くはないわよ♪』


 もしハンソが石の成分を複製する事が出来れば、鉱石や宝石もと一瞬だけ大金持ちになれる夢を見たが、ハンソはスペック不足みたいだ。


「ムーアも、ハンソの事が分かるようになってきたな!やっぱり、地道に行くしかないか」



 そしてオニ族の村を出発するが、意外とタカオの街には早く到着するかもしれない。峡谷などは、リズとリタの翼のお陰で飛び越える事が出来る。


 峡谷を越えると、匂いが変わる。ゴブリンキングの魔石を吸収した俺の嗅覚は、精霊や魔物を感じ取る事が出来る。


「ここには精霊達の匂いがするな」


『女の子の精霊の匂いを嗅いでると、警戒されるから気を付けなさいよ!』


「あれは違うだろ!」



 くだらない話をしていると、森の終わりが見えてくる。その奥に見えるのがタカオの街。


 タカオの街はドワーフの街と呼ばれる。希少な金属が採れる山にドワーフが住み着いたのが始まり。次第に人が集まり出し、山の中だけでは収まりきらなくなった結果、山の周囲にも街を広げた。そして壁をつくり、何回も拡張を繰り返して今の規模となる。

 人口はドワーフが1万人、その他の種族も1万人と多い。オニ族や獣人族、蟲人族、巨人族と多種族が集まっている。


 小さな山の周り全体を壁が囲んでいるが、壁の高さは10m程で、その周りには堀がある。

 タカオの街は、山の形に合わせて壁を作っているので歪な形をしている。出入口は東西南北にある4つの門。

 その内の森から近い、西門を目指す。


 ヤッシの話では、この辺りの魔物はコボルトとハーピー。タカオの街から北の山にはコボルト、南の山にはもハーピーが生息しているが、縄張りとしている山から離れて襲ってくる事は少ないらしい。


 森から西門を直接目指す為に、魔物と接触する危険性は低い。


“戦いの音”


 危険性は低いと思った矢先、クオンが警告してくる。


 森を抜けると戦闘が見える。荷馬車を囲むように犬頭の人が10人くらいは居る。あれが恐らくはコボルトだろう。そして、荷馬車を守るように3人ドワーフが戦っている。


 やはりゴブリンだけでは終わらないのかと覚悟を決める。幸運な事にタカオの街も近いし、オニ族の時のように挟撃される事はないだろう。


「メーン、少し距離があるがコボルト達が気付くようにサンダービームを打てるか?」


 了解と明滅して、メーンの光が強くなる。


「行くぞ!」


 メーンのサンダービームを合図に、コボルトに向かって走り出す。

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