第46話.ゴブリンキング戦①
「ソースイ、ハンソ、石柱を壊せ!」
俺が右側を指差して指示を出すと、ソースイがハンドアックスを両手で構えて走り出す。立ち尽くしているハンソには、ソースイの怒鳴り声が響く。
「ハンソ、来いっ!」
「エトッ、エトッ」
その声でやっと、ソースイを追いかけるハンソ。そして、俺とウィスプ達·ムーア·ブロッサは左に居るゴブリンキングと対峙する。
顔を小刻みに動かし、臭いを嗅ぐ仕草を見せると杖を掲げる。ゴブリンキングの体の向いている先には、石柱へと近付くにソースイが居る。
咄嗟に間に割って入り、マジックシールドをかざすと、ムーアはマジックシールドの先にアースウォールをつくる。
ルーク・メーン・カンテは、ゴブリンキングの魔法を邪魔する為に、一斉にサンダーボルトを放つ。
ゴブリンキングの放ったウィンドトルネードが放たれると、ムーアのアースウォールが砂壁であるかのように簡単に貫通する。そして、俺の4重に展開してマジックシールドにぶつかり、1枚、2枚と破壊し、3枚目で止まる。
しかし殺傷する威力が無くなっただけで、強い風が吹き付けてくる。精霊と融合し軽くなった体は簡単に浮き上がってしまうが、ブロッサが舌をのばして俺を掴まえる。
ブロッサの手には、しっかりと回復用のポーションが握られている。
ルーク達の放ったサンダーボルトは、確かにゴブリンキングに当たったはずだが、平然と立っている。ボロボロだった服が、さらにボロボロになっているので、間違いではない。
ゴブリンキングとソースイ・ハンソの間に立ち、もう1度仕切り直す。ゴブリンキングもが杖を掲げ、同じ動きを見せる。狙いはソースイの間に割って入った俺か、俺もろともソースイなのかもしれない。
しかしウィスプ達は、ゴブリンキングが腕を挙げた瞬間にサンダーボルトを放ち、魔力を集める前に攻撃を仕掛ける。
頭、胸、腹と3発とも全てに命中し、ゴブリンキングの体が弾けるが、杖を掲げる腕は止まらない。
ウィンドトルネードの発動は止めれない!ムーアのアースウォールに、残るマジックシールド2枚、そしてブロッサのポイズンブレスで迎え打つ。
2枚目のマジックシールドが砕け散った後に、ムーアのポイズンブレスがウィンドトルネードを押し戻す。
3人がかりでやっとウィンドトルネードに互角かと思ったが、ゴブリンキングが一歩後ろに下がる。表情が分かりにくい顔をしているが、顔をしかめている。
「臭いに反応している?」
俺の声に反応しブロッサが追い討ちをかける。
「ポイズンボム」
明らかにゴブリンキングが嫌がり、また一歩と後ろに下がる。
『今よ、胸の魔石を狙って!』
ムーアの叫び声に、ルークとカンテがサンダーボルトを放ち、ゴブリンキングの胸に穴が開くと魔石が露になる。そこに止めとばかりにメーンがサンダービームが魔石を貫く。
ゴブリンキングの胸のキズが徐々に塞がっていく。
『なぜ、魔石を攻撃して効かないの?これが最上位種の力なの』
動揺するムーアに対して、ルーク達はもう一度と云わんばかりにサンダーボルトを放つ。ブロッサもルーク達に呼応してポイズンボムを放つ。
そして今度は、サンダーボルトとポイズンボムを跳ね返すかのように、ゴブリンキングが無数のウィンドカッターを放つ。
「バーレッジ」
辛うじてマジックシールドの展開が間に合い、ウィンドカッターの魔力は分散されるが、強風となって吹き荒れる。
「ムーア、しっかりしろ!」
ゴブリンキングが、ムーアの方を向く。一瞬でも呆然としてしまったムーアが狙われる。
「バーレッジ」
咄嗟に再構築したマジックシールドの弾幕で、ゴブリンキングを攻撃する。
「ギョエエエエーーーッ」
奇声を上げて、ゴブリンキングは杖を振り、弾幕を吹き飛ばす。
『そういうことね、私に案があるわ』
やっとムーアが冷静さを取り戻す。
『酔眼朦朧』
8つの石柱のちょうど真ん中で揺らめく影。次第に影は濃くなり姿を現していく。
身長はゴブリンジェネラルと同じくらいだが、身体は細くスラッとしている。片手には黒い長剣を持ち、もう片手には同じく黒い盾をもっている。
ソースイとハンソが石柱を攻撃する度に、影は揺らめき呻き声が響く。
ソースイは、カショウが戦っている相手がゴブリンキングである事は分かっている。本来なら、カショウを護る盾でありたいと考えている。
しかしカショウの指示もあるが、目の前の影は危険な存在で、ゴブリンキングよりも優先すべき相手だと感じる。
1つでも多くの石柱を破壊する。グラビティで重量を増したハンドアックスを石柱に叩き付ける。そしてハンソが体当たりをするの繰り返し。1つでも多くの石柱を破壊する為に!
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