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精霊のジレンマ~古の記憶と世界の理~  作者: 三河三可
オオザの崖のゴブリン編

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第40話.ジェネラル戦

 目の前には、ジェネラル率いるゴブリン100体の群れ。湖の周りは膝丈くらいの高さの草地。そしてジェネラルは西側の湖を背にして、北、東、南の三方をゴブリンに囲まれている。


 ベルの話が本当ならば、ここに姉のセイレーンが居るはず。


 ゴブリンの群れの中に見た限りでは、ゴブリンキャプテンの姿は見えない。


 上位種になれば100体のゴブリンでも意のままに操るのかもしれないが、ゴブリンの中にも優劣があって、ポストキャプテンみたいな存在が出てくるのだろうか?徐々に体の色が黒くなっていくとしたら、ここのゴブリンは皆同じ色をしている。

 それとも生まれながらの、ゴブリンキャプテン、ゴブリンジェネラルといった固定種なのだろうか?


 ゴブリン相手に、拘りすぎなのかもしれないが、直接ジェネラルが率いている事に不自然さも感じる。


 今は余計なことは考えず、30体のゴブリンを突破してジェネラルに辿り着くことに集中しよう。


 月が3つあるアシスでは、夜でも真っ暗にはならない。暗闇に紛れて侵入する事は考え難く、最短距離の東側からの突入。長引けば南北からの挟撃にあう為、短期決戦しかない。


「突撃!」


 ソースイが低い姿勢で走り出す。といっても目立つ事に変わりはない。少しかはマシという気持ち的なもので、その後ろにルークが張り付くように飛んでゆく。


 そして今回は、その後ろに俺が付く。バーレッジが予想以上に役に立ったので、今回は最前線で援護に入る。


 影の中のクオンが、ゴブリン達の動きの変化を聞き取る。


“気付かれた”


 クオンの言葉が、ベルのスキルで全員に届く。


 その言葉を合図にして、メーンとカンテがサンダーボルトで援護射撃を行う。ブロッサもポイズンボムを放つが、射出された魔法の速度は速くはない。どちらかと言えば、余計なゴブリンをソースイに近付けないように牽制したり、迂回させる為の毒の壁。


 ムーアは全体の戦況を見ながら、ストーンバレットで攻撃してみたり、アースウォールでソースイを援護している。


 そして俺は、両手でマジックシールドを展開している。どうしてもマジックソードを使いたい気持ちはあったが、見た目とか格好いいという憧れは捨てている。

 思ってる以上に、バーレッジには手応えがある。両手で2枚のマジックシールド。それぞれをディビジョンで2枚に分割し、合計4枚のマジックシールド。そして、リーフでさらに分割する。


「バーレッジ」


 ゴブリン達の放った矢に合わせて、両サイドに弾幕を張る。

 そして、ソースイのハンドアックス、シールドバッシュで、ゴブリン達の中へと突入する。ルークの零距離射撃と連携はバッチリ。


 そして、ゴブリンジェネラルが見えてくる。ゴブリンジェネラルに接近しなくても、グラビティの射程に入れれば良い。


 ゴブリン達が集まり、戦闘が苛烈になっていく。


「バーレッジ」


 3枚目のマジックシールドをソースイの前方に向けて放つ。何体かのゴブリンは、急に飛散するマジックシールドで、顔や首など鎧を身に付けていない箇所を攻撃される


「グラビティ」


 ゴブリンジェネラルは、バスターソードを抜きソースイに襲いかかろうとしたが、急に身体が重くなる。


 バスターソードも持ち上げることも出来ない。その瞬間、背後にいたルークがゴブリンジェネラルを目指しすで、飛び出す。


 ルークの魔力体で軽い身体は、重力の影響を受けにくい。グラビティの影響を感じさせない雷を纏った身体で、ジェネラルへと体当たりする。

 俺たちの中では、直接的な攻撃力になればルークが一番。


 その攻撃を受けて、ゴブリンジェネラルは後ろへ2歩、3歩と後退りする。ソースイには悪いが、続けて俺が攻撃する。4枚目のマジックシールドを展開させる。


「バーレッジ」


 なるべく広がり過ぎないように、ゴブリンジェネラルの顔を目掛けて放つと、ジェネラルの身体が崩れ落ちて身体が消滅を始める。


 同時にゴブリン達の動きが止まり、混乱状態に陥る。そこに、カンテのサンダーストーム、メーンのサンダービームが襲いかかり、ゴブリン達は一斉に逃げ出す。


 そして湖で見つけたのは、存在が消えかかってしまっているが、間違いなく俺が知っているセイレーン。


 上半身がヒト型の女性で下半身は魚型の姿。


 石柱に鎖で縛り付けられ、力なく項垂れている姿に嫌な予感がする。


 目の前が霞み空間が歪む。そして歪みが戻り始めると、そこにはゴブリンの姿が現れる。


 ここで、ゴブリンがポップアップしている!そのゴブリンを現れた瞬間に倒す。


「ソースイ、石柱を壊せ!」

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