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精霊のジレンマ~古の記憶と世界の理~  作者: 三河三可
クオカの洞穴の死霊
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閑話16.イッショの才能

 精霊は全てのものに存在する。物質だけでなく精神の精霊も存在する。そもそも、精神の精霊とはいつ生まれたのだろうか?


 アシスの世界は、火・水・地・風・光・闇・空・無の8つの理で出来ている。もちろん怒りという感情も、この8つの理で成り立っている。


 火属性が強ければ怒りの感情、闇属性が強ければ哀しみの感情と、何らかの法則があるのかもしれないが、詳しくは分かっていない。


 ライの話では創造神が“アシスという世界”と“生物”を創造した後に、原初の精霊がアシスを魔力で満たした。それが本当であれば、最初につくられた生物には感情がなかった事になる。感情のない人形のような存在が変化し、今の姿になったのだろうか?


 考えても答えは出ないが、少し気になる事ではある。



 精神の精霊の中でも喜怒哀楽を司る精霊は、1つ格が高いとされている。それは原初の精霊のように、最初に出来たのが喜怒哀楽の精霊で、それから派生して様々な精神の精霊が誕生したからなのかもしれない。


 しかしイッショを見ていると、決して格が高い精霊であるようには見えない。精神の精霊自体が何であるのかが、分からなくなってくる。


 火の精霊であれば火を生み出し、それを制御する。もちろん生み出した火を、増幅もすれば減衰もして制御する。


 そうであるならば、怒りの精霊のイッショは魔力を込めて怒りの感情をつくり出せる事になる。

 しかし、イッショがそうしている姿を見たことがないし、怒りの感情を身に纏っている姿を見たことがない。


 どちらかと云えば、自然な振る舞いの中で周りを勝手に怒らせている。イッショの性格を分かっていても、ついつい怒ってしまうのが、怒りの精霊としてのスキルなのだろうか?

 魔力を使わないで、怒りの感情を発生させていると考えれば、他の精霊と比べても異質の存在であり、それが1つ格が上と云われる所以なのだろうか。


 制御という面では、魔力を使わずに発生させた怒りの感情で相手をコントロールする事はしない。

 どちらかといえば、怒りの感情を自身に集める事で、限界を超えた力を発揮する。魔力吸収スキルを使いこなし、力を失い魔石だけとなった体を驚異的なスピードで回復させてみせた。


 怒りの感情自体が、コントロールを失わせるものであるのだから、常に安定した効果を出すのは難しい。だからこそ、制御できる自身に怒りの感情を集めているのかもしれない。



『イッショ、またサボってたでしょ!』


「いや、俺様は高みを目指す為に瞑想していたんだ!」


『リッターが見てるのよ。何ならナルキに聞いてもいいのよ!』


「お前ら、俺を売ったのか。同じ所に暮らす精霊同士の絆はどこにいったんだ~!」


 そして豆柴の姿をしたイッショが、ウルウルの瞳でムーアを見つめる。


『イッショ···。あなた、腕を上げたわね!』



 これが、怒りの精霊の姿なのだろうか?

お読み頂きありがとうございます。

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物語はまだまだ続きますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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