表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊のジレンマ~古の記憶と世界の理~  作者: 三河三可
クオカの洞穴の死霊
195/410

閑話14.ナレッジの恋

閑話が続き、本編の再開は6/22からになります。

 彼女にお願いされた瞬間に、僕は恋をした。精霊同士でも恋をすることは希にある。滅多にないことではあるし、まさか僕が恋をするなんて思わなかった。

 しかも空間を司る“空属性”の僕が、相反する属性の精霊に恋をするなんて。これが他の精霊にバレてしまったら、僕は存在してゆけない。


 でも、どんな願いであろうと断る理由なんてない。そんな事で変わるようなら、それは恋ではない。


 そんな彼女の願いは、ブレスレットとアンクレットの中に空間をつくる事だった。ブレスレットとアンクレットは、それぞれ2本ずつで合計4本。

 アンクレットは彼女のもので、ブレスレットは仲の良い精霊に贈るらしい。その精霊は妹のような存在で、彼女を護るための道具でもあるらしい。それを聞いて少し安心した。贈る相手が恋人ではなければ、それだけで良かった。


 しかし、4つアイテムにそれぞれの空間をつくる事は、想像以上に難しい。しかも一時的なものではなく、恒久に近い時間を維持しなければならない。

 これが、寿命のある生き物なら簡単な事だろう。寿命よ少し長くなるように、魔力を込めて魔法を維持するだけで、恒久に持つマジックアイテムといえるだろう。

 だが、精霊が持つとなれば寿命に終わりはない。それを4つ同時に行うのだから、それは不可能に近い。上位精霊くらいの力があれば可能かもしれないが、僕はまだ中位精霊の力しかない。


 だけど僕は何としてもこの願いを叶えたかったから、それを可能にする為の方法を提案したんだ。


 1つ目は、4つそれぞれに空間をつくる事は難しいので、1つの大きな空間をつくり、内部で仕切ること。

 2つ目は、アンクレットに僕が宿り、常時魔法を発動すること。


 1つ目の提案は問題なかったが、2つ目には顔色を曇らせた。僕を永続的に拘束してしまうような事は出来ないと言われた。


 良かったと思った。僕が宿ったアンクレットは気味が悪いと拒否されたのではない。だから、3つ目の方法を提案する。


 アンクレットに宿る代わりに、僕をイロイロな場所に連れていって欲しい。空属性の精霊は滅多に移動する事はない。だから、イロイロな場所を見たいんだとお願いした。


 それならばと、彼女はこの提案を受け入れてくれた。


 そして僕の旅が始まった。しかし、彼女の姿は突然消えてしまった。何かが起こったのは間違いないが、何があったかはアンクレットの中からでは分からない。


 そして、彼女が消えたことの喪失感は大きかった。 だけどアンクレットの中には、まだ彼女の魔力が残っている。イロイロな場所を見たいと言ったが、もう僕が外の世界へと出るとこはないかもしれない。




 どれだけの時が流れたのだろうか、それも分からない。しかし、どことなく彼女に似た魔力が色鮮やかな記憶を甦らせ、僕の目を覚ます。似てはいるが少し違う、でも懐かしい匂い。


 まさか、もう一度僕の作ったブレスレットに出会うとは思わなかった。もしかしたら、彼女を探す手掛かりとなるかもしれない。そんな望みが、期待が僕の胸を埋め尽くす。

お読み頂きありがとうございます。

『続きが気になる』『面白い』と思って頂けたなら、“ブックマーク登録”や“評価”、“いいね”をお願いいたします。

物語はまだまだ続きますので、引き続きよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ