表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊のジレンマ~古の記憶と世界の理~  作者: 三河三可
クオカの洞穴の死霊
190/410

第178話.リッチ戦③

 ドンッ


 俺のマジックソードと、リッチのサークルクシールドがぶつかり合うが、サンドバッグを叩いたような鈍い音がして、衝撃が吸収される。


 やはり無属性魔法を使うとは思っていたが、最初に使ったマジックシールドとは少し違う。今度のマジックシールドは柔らかく変形して、俺の攻撃の威力を吸収する。


 そして衝撃を吸収するだけではなく、変形した反動を利用して俺の攻撃は跳ね返してくる。もちろんマジックシールドに傷1つを付けることも出来ていない。


 無属性の上位スキルである魔力吸収まで使えるようになり、無属性魔法には少し自信が出てきていた。それだけに無属性同士のぶつかり合いで、跳ね返されたショックは大きい。しかし、ここで気落ちして手を緩めるわけにはいかない。

 それはそれで最初から計算済みでもあり、俺を補うようにダークの紫紺の刀がリッチの頭上から、ナルキのマジックソードが横から襲いかかる。


 キッーーーーン


 ドンッ


 しかし、それもサークルシールドに防がれる。ダークの紫紺の刀は最初に見せていた硬いマジックシールド、ナルキのマジックソードは柔らかくマジックシールド。

 俺の攻撃を防いだマジックシールドと合わせても、すでに3枚のマジックシールドを展開している。


 さらにはマジックソードと紫紺の刀で、受けるマジックシールドの質を変えている。

 俺の魔力の質は硬いらしいが、俺が物質化魔法で造り出す物は全て硬い。しかし、リッチは両方を使い分けする事が出来る。

 こういう時には、経験や熟練度の差が出てしまう。魔力の質が硬いからといって、それだけしか使ってこなかったのは反省するべき点なのだろう。


「小僧、さっきまでの威勢はどうした。悔しくて言葉もでないか。当たりもしないし近付くことも出来んようじゃ意味がないの!」


「壁の中にめり込んでるくせして良く喋るな。時間稼ぎしてるつもりか?」


「事実を言ったまでじゃ。お前達相手じゃ、最初からお遊びにしかならん」


「そうかい、それならお遊びに付き合ってもらうよ」


 俺の1番の強みは、1人じゃ無いこと。俺とダーク・ナルキの攻撃が防がれたのなら、次は手数を増やせばイイ。

 2枚あるマジックシールドを1枚にして、マジックソードを3本にする。

 俺が1本で、ナルキが2本。そして、ダークの持つ紫紺の刀が2本の合計5本。その内1本でもリッチに届けば、俺たちの勝ちになる。


 中央は俺で、ナルキが左右に腕を伸ばし、ダークが上から狙う波状攻撃。

 それでもダメなら、さらにはマジックシールドを減らして手数を増やす。今のリッチの攻撃くらいなら、ミュラーが守ってくれる。


 そして、3人一斉にリッチへと襲いかかる。声に出さなくても精霊達に意思は伝わるのだから、攻撃のタイミングもズレる事は無い。


 キッーーーーン


 ドンッ


 しかし何回試しても、同じ結果を繰り返してしまう。全ての攻撃が的確に止められ、リッチの宣言通りに近付くことも出来ない。


 リッチは壁にめり込んでいるせいで、どうしても攻撃は前方からに限られてしまうが、それでも圧倒的な力の差を痛感させられる。

 サークルシールドを1度具現化すれば、それ以上魔力を消費しないし。時間をかければ、それだけリッチの魔力が回復してしまう。


 時間はかけれないが、今は同じ事を繰り返すしか出来ない。もしダメなら洞穴自体を崩落させて時間稼ぎをすればイイと、最悪の選択肢も頭をよぎり始める。



 キッーーーーン


 ドンッ


 何回目だろうか。ナルキとダークがスイッチして攻撃したり、同じ側面から攻撃してみたりと、思い付く事は試してみたが結果は変わらない。

 そして時間をかけた分だけ、リッチの回復が進んでしまう。


「どうした、それで終わりか。もう打つ手はなしじゃな」


 頭蓋骨だけで表情は分からないが、声には余裕がある。しかし、手数を増やす方法は残されている。


「最後だ。ソースイ、黒剣で援護しろ。漆黒の盾を扱えるお前なら、制御出来るだろ」


 ソースイが黒剣の柄に手をかける。しかし、黒剣は何の反応も示さず、見ただけでは承諾か拒絶かは分からない。


「ソースイ、行けるか?」


 ソースイが黒剣を引き抜と、少しだけ刀身を見つめる。


「勿論です。カショウ様!」


『それじゃあ、私も全力で援護するわよ。後で少しだけ大変になるかもしれないけど、我慢しなさいよ』

お読み頂きありがとうございます。

『続きが気になる』『面白い』と思って頂けたなら、“ブックマーク登録”や“評価”、“いいね”をお願いいたします。

物語はまだまだ続きますので、引き続きよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ