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精霊のジレンマ~古の記憶と世界の理~  作者: 三河三可
ヒケンの森のオニ族編
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第19話.脱出戦と突破口

 ソーギョクの前で、俺達の都合で行動すると言ったので、今からもう一度会うことはしない。オニ達の指揮を執っている、ソーショウを捕まえる。


「ソーショウ、時間がない。ゴブリン達の位置は把握しているか?」


「北の草むらと東の森にゴブリンを確認はしましたが、まだ詳しくは把握しておりません。カショウ様の探知には及びませんので」


 地面にマジックソードで地図を書き、ソーショウにゴブリンの配置を伝える。


「夜が明けるのを待って、東のゴブリン40体を攻撃する。後詰めの20体が応援に来ると厳しくなるから、それまでに抜けきる」


「それに合わせて私達も攻撃をかけます」


「勘違いしないでくれ。なるべくゴブリンは無力化して、倒すことより抜けること優先する。足を引っ張られないように連絡だけしておく」


「感謝します。私達も足を引っ張らないように行動します」


「ソーキみたいなやつは、無視するからな」


「逃げ足は速いから大丈夫ですよ」


「それなら大丈夫だな。ソーギョクには、村に残りの報酬を取りに行くとだけ伝えてくれ」


 俺は手を挙げて踵をかえす。


 そして俺はぼっちだ・・・。仲間と合流と行きたいが、残念ながら精霊達は俺のブレスレット中。


 何とも言えない感覚、ぼっち感が半端ない・・・。


 クオンは俺の影の中。探知は知られたくないので、人の目がある所では隠れている。進化したルーク達は、俺のローブに隠れるには大きくなってきたので、召喚解除してブレスレットの中。今回はギリギリまでゴブリンに接近したい為、光を漏らさない為にも仕方がない。ムーア、ブロッサは、もちろん召喚解除している。


 今回の作戦の鍵を握る。俺やルーク達の存在はバレているが、ルーク達の進化が知られてないのは大きい。

 ムーアは、ゴブリンの前に姿を見せていないし、存在自体知られていない。ブロッサは、少し前まで捕らえられていた身。まさか精霊といえど蛙が短時間で、この場所にいるとは思わないはず。


 そして、1人寂しく東の森に向かう。途中ソーサに俺達の攻撃のポイントを教えてから、森の中に潜み夜が明けるのを待つ。

 と格好良く言っても、実際はクオンに指示された場所に隠れているだけになるが。



「そろそろ行くか。ルーク、メーン、カンテ頼んだぞ!」


 召喚されたウィスプ達が、勢い良く飛び出す。3人並んで飛び出すが、北側からカンテ、メーン、ルークの並び。


 カンテはサンダーストーム、メーンとルークはなるべく広範囲を意識してサンダーボルトを放つ。


 バシッと言う大きな音と光が開戦の合図となる。


 初撃で10体のゴブリンが倒れる。主砲三連斉射と行きたいところだが、まとまったゴブリンの塊が無く、二連斉射が限界。それでも20体のゴブリンが戦闘不能になる。


「カンテは後詰めのゴブリンを牽制。メーンはカンテの援護、上位種が居たら狙ってくれ!ルークは残ってるゴブリンの掃討」


“オニ達、こっちに来てる”


「ムーア、ブロッサ出番だぞ!」


『分かってるわよ、狂喜乱舞!』


 ムーアが残っている、ゴブリンの戦意を削ぐ。ブロッサは舌を伸ばし、枝から枝へと飛び移っていく。


「ポイズンミスト」


 ブロッサの体のような、赤黒い霧が辺りに立ち込める。霧に触れたゴブリンは、奇声を発して次々と倒れていく。

 さらにブロッサは場所を移し、次々と毒の壁を作っていく。


「ルーク、ムーア、オニ達の援護にまわるぞ」


 俺達が開いた空間に、ソーショウを先頭にオニ達が流れ込んでくる。その後ろには、必死の形相でソーキが走ってくる。


「毒の霧だ、触れるなよ!」


 俺の声に、更にソーキがパニックになる。


『仕方ないわね。士気高揚!』


 ソーキが落ち着きを取り戻し、大人しくなる。


「ソーギョク、あいつは邪魔だ。お前が責任を持って連れていけ。これ以上、足を引っ張るな!」


 ブロッサの毒の壁がもう少しで出来上がる。近付けないゴブリン達が弓矢の攻撃を始めるが、もう少しの辛抱。

 だが確実に矢は近付き、マジックシールドに矢が当たり甲高い音が響く。


 前方に展開している盾で、まだ距離はある。しかし、俺の前には盾のオニが立つ。


「グラビティ」


 ゴブリンから放たれた矢は、急に軌道を変えると毒の壁を抜けること無く、すべて地面に落ちる。


「貴方には手は出させない!」


「引くタイミングは指示する。命令は聞けよ!」


「ああ、分かっている」


 盾オニに任せて、ブロッサの援護に向かう。


「カンテ、メーン戻れ。ブロッサの援護をする!」


 中位精霊だから、魔力の限界も分かっていると思うが、余力があった方が安全なのは間違いない。


 時間が経てば経つほどゴブリンからの矢は増え、それでも最前線でポイズンミストを連発するブロッサ。


 左手で展開する2枚のマジックシールドと、右手には火オニの短剣を持ちながら、マジックソードを展開する。今は3mくらい離れても、何とか制御出来ている。

 マジックシールドとソードなら、ポイズンミストの中に入っても問題ない。メーンとカンテは俺の近くまで戻り、魔力を補給しながらサンダーボルトを放つ。


 そして、ポイズンミストの壁が完成する。


“オニ、大丈夫”


 クオンの言葉で、全員に指示を出す!


「皆、退くぞ!」

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