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第125話.目指す姿と可能性

「その精霊を見せるだけで良い。後は彼奴が何か考える事で、儂は関与せん」


 そう言うと、キマイラの蛇の尻尾がピクンと震えて横を見る。その顔は呆れたような表情で、遠くを見つめている。暗さや魔樹は関係ないかのように、1点を凝視している。


「また、入ってきた馬鹿な奴がおるな。精霊のくせに世話が焼ける奴ばかりじゃ」


 守護者は精霊を守る役目ではないと言っていたが、精霊を守る為に動いているのはキマイラの性格なのかもしれないし、見た目の厳つさからは分からない好好爺なのかもしれない。


「儂はもう行くぞ。この魔樹の森を通るのは良いが、枯れていると思っても魔樹を傷付けてはならんぞ!」


「待ってくれ。最後に1つだけ見て欲しい物がある」


 キマイラに石柱の欠片を取り出して見せると、キマイラの表情が険しくなる。


「それを何処で見付けた。何故、小僧が持っている」


「ヒケンの森、タカオの鉱山、フタガの岩峰、まだまだ他にもあるのかもしれない。精霊から魔力を吸収する結界として使われていたけど、これはもしかして魔樹じゃないのか?」


「この森の魔樹ではないが、魔樹である事に間違いない。消滅した魔樹の森も沢山あるからな。それに関わるつもりなら、気を付けることじゃ」


 魔樹の森の守護者として何かを知っているのだろうが、そこまでは教えてくれない。それは秘匿するべき事なのか、俺達の知識が足りていないのかは分からないが、何かが隠されてい事だけはハッキリと分かる。

 最後にそれだけを言い残して、キマイラは去ってしまう。


「クオン、何が起こったか分かるか」


 “分からない”


 クオンの探知出来る範囲を大きく超えて、キマイラは何かを感じとった。

 精霊や仲間達が増え、かなり強くなっている思っていたが、まだまだ上位の存在が居る。それに比べると、出来る事は少ないと改めて思い知らされた気がする。


「今の段階でキマイラに出会えたのは良かったな」


『そうね、上を目指すにはイイ刺激になるし、モチベーションが上がるわね!』


「そうじゃなくて、戦わないとか避けるとか無理しない選択をしようって話だぞ」


「だってね、それだけじゃ、つまらないでしょ」


 横ではガーラが目を閉じ、同調するように頷いている。


「ムーアの目的は、新しい御神酒を造る事じゃなかったのか?」


「それは、私個人の話でしょ!」


「足リナイ物ガ見エタワ」


「僕は出番が無かったから、まだ本気じゃないよ」


 ナレッジの言葉に呼応して、まだまだ本気じゃないと明滅して存在をアピールするウィスプ達に、純白の翼を大きく広げるリズとリタ。無言で跳び跳ねてアピールする、白いケモミミエルフのシナジー。


「やっぱり、俺様の力が必要なんだろ。お願いされれば手伝っても構わんぞ!」


 黙ってはいるが、ダークやフォリー、ミュラーからは闘志が伝わってくる。明らかな力の差を見せつけられても、そこで諦める事はしない。


 ベルやマトリは精霊としては、まだまだ幼い。しかし淡々と自分達のやれる事をこなしている。これからの成長や進化を思う気持ちは変わらない。


 “次は負けない”


 クオンの力強い宣言に、一斉に精霊達が頷く。


「エトッ、エトッ、エトッ」



 少し方向性が逸れてはいるけど、精霊達がキマイラという上位精霊の力を目の当たりにして、一致団結してくれたのは良かったと思う。


 逃げる時は、これまで以上に俺が頑張るしかない・・・。


 そして、これからの鍵になるかもしれないのが、光の精霊のリッターになる。

 タカオの鉱山に捕らわれて魔力を吸い取られた事で、今は蛍のような姿をしている。今は光を放つだけの存在だが、その光だけでも大きな意味を持つかもしれない。


 暗闇の中にいるとはいえ、俺達の放った魔法よりもリッターの光をキマイラは嫌がった。そしてヘカトンケイルが必要としているかもしれない存在でもある。


「もしかして、俺達は間違ってるのかもしれない。繋がる事だけを結びつけて、ハーピー達が光の玉を必要として、その為に光の玉を造り出した思っていたけれど、それは本当に合ってるのか?」


『どういう事?結果としても、間違ってはないでしょ』


「オルキャンの造ろうとしていた、光を出す鋼鉄の剣。あれは失敗策ではなくて、あれが完成形だったんじゃないか?」


『使う相手によっては威力があったと・・・』

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