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精霊のジレンマ~古の記憶と世界の理~  作者: 三河三可
フタガの岩峰のハーピー
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第103話.ハーピーロード戦③

 右手に3本目の マジックソードを出す。


「やっぱり、これしかないだろう!」


 ダークの操る2本とは別のマジックソード。他の魔法を使う事を考えると、維持できるのはマジックソード2本にマジックシールド2枚までが限界になる。しかし、無属性魔法だけに集中すれば、もう1つ多く顕在化出来る。


「ゴブリンキングの時もそうだったけど、倒せる攻撃はマジックソードしかない気がする」


『だけど、ハーピーロード相手に難しいわよ。何か方法があるの?』


 ムーアの言うことは良く分かる。地上でなく空を飛ぶ相手で、ダークの後ろからの攻撃も躱している。

 しかし、ウィスプ達のサンダーボルトも羽根が散った程度で、これが倍以上の威力になったとしても致命傷にはならないだろう。

 他の攻撃でもダメージを与える事は出来るのだろうが、今の俺達ではキングやロードクラスの高い防御力や生命力や回復力の前に、致命傷を与えるのは難しい。ただマジックソードは、それらを無視して急所に攻撃を通す事が出来る。


「まだ、ダークの力も高める事は出来る」


『安全な方法ではないでしょ』


「だけど魔力濃度を高めて接近戦で勝負するしかない」


 ダークの力は、俺の周りに漂う残留魔力に影響される。俺の周りの魔力濃度が高いほど、早く、そして力強く動く事が出来る。

 しかし今の魔力濃度は、広範囲で動けるようにとシナジーが薄く広く調整している。


『だけど、ハーピーロードと接近するのも難しいわよ?』


「みんなの力があれば出来るさ!」




 旋回しながらタイミングを計っていたハーピーロードが動き出す。下降気流に乗り、俺を目掛けて接近してくる。

 ウィスプ達やブロッサ、ホーソンが遠距離攻撃で迎え撃つが、ハーピーロードは躱したり風魔法で無効化したりと止めることが出来ない。もう少しで、剣羽根の射程距離に入る。


「ゼロ・グラビティ」


 俺を剣羽根から守ることに使ったソースイのゼロ・グラビティを、今度は俺自身に使う。そして、俺はハンソを踏み台にし、ハンソは俺を空へ投げ上げる。


 重力の影響を無視して進む俺を、背中にある純白の翼が加速させる。


 下降気流に乗り急接近するハーピーロードに対して、こちらも最速で距離を詰める。

 接近してくる事に、少しだけ驚きの表情を見せたハーピーロードだが、俺に翼を広げ剣羽根を放ってくる。


 しかし、ここから俺はさらに加速する。今背中にあるのは、力の衰えたリズとリタの2人が、何とか作り出した1対の翼ではない。今は力を取り戻した2人が作り出す1対の翼は、今までよりも艶やかで、一回りも大きく力強い。


 そして、俺の狙いはハーピーロードの上へと出る事。加速により少しだけ上へと軌道を変え、少し前に俺がいた空間を剣羽根が通って行く。


「出番だぞ!」


 ハーピーロードと同じ高さに来た時に、リッター全員を召喚する。急に現れた輝く光に、ハーピーロードの目が眩み、俺を見失ってしまう。

 完全にハーピーロードの上へと出た俺は、ミュラーの金属の盾を掴み重力を取り戻す。そして今度は、こっちが下降気流に乗りハーピーロードを目指す。光の中にいるハーピーロードの位置は、クオンが正確に教えてくれる。


 だが、ハーピーロードも翼を羽ばたかせ、リッター達を吹き飛ばす。そして魔力を感じ取って振り剥くと、鉤爪を一振する。

 クオン程の正確さはないが、ハーピーロードも魔力を感じ取り気配探知する。

 しかし確実に捉えたと思った攻撃は手応えがなく、それと同時に俺の姿も消えてしまう。

 ハーピーロードが捉えたのは、シナジーが作り出した、俺の形をした霧。


「ダーク、頼んだぞ」


 そして、霧の後ろにいたのが本物の俺達。再度接近に成功したダークの攻撃が、ハーピーロードに襲いかかる。


「キャビティ」


 ダークの操るマジックソードが霧よりも小さな粒子に変わり、その粒子がハーピーロードにぶつかる。小さな粒子が破壊した時に発生する衝撃は翼に穴を開け、そして身体に到達する。そのまま身体を貫きながら、地面へと落下して行く。


 地面に落下した衝撃で、砂埃が舞い上がり全てを隠すが、遅れてきた下降気流が砂埃を払い去ってくれる。


 そこに現れたのは、キャビティにより翼と身体には大きな穴が開き、魔石が露になったハーピーロードが横たわっている。


「さあ、終わりにしよう!」

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