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精霊のジレンマ~古の記憶と世界の理~  作者: 三河三可
フタガの岩峰のハーピー
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第99話.ゲリラ戦⑤

 俺の前には、ドヤ顔の3人と縛られて転がされているハーピージェネラルがいる。


「カショウ様、作戦通りハーピーを引き連れてきました」


「キャプテンは、落下の衝撃でダメっしたが」


 そう言うと、集めたハーピーキャプテンの魔石を持ってくる。ソースイは片手で斧を持ち、いつでもジェネラルに対応出来るようにしている。

 捕虜にしても何かを聞き出す事も出来ないし、交渉や取引材料になる訳でもない。意味もなく痛め付けるのも、趣味ではない。


「終わらせてやれ」


 俺が言うと、ソースイがハーピーに止めを刺す。分かった事と云えば、ソースイの普通の攻撃でもジェネラルを倒せるという事。


「それで、ハーピー達には姿は見られたか?」


「チェンは囮約なので勿論。それに、私もソースイもジェネラルを捕える時に見られています。何か問題でもありましたか?」


「大丈夫、次の作戦に移ろうか」


 その時、破壊してきた岩峰の2つから大きな音が聞こえる。


「ナレッジ、何があったか分かるか?」


「ワームがハーピー達を丸ごと一呑みしたみたいだよ」


 迂闊に結界あった場所に近付いたハーピーがワームに襲われた。思わぬ魔物同士の潰し合い。

 確かにハーピー達には結界はつくれないだろうし、破壊された時の罠についても知らされてない。やはり、ワームの存在は結界の証拠隠滅だったのかもしれない。

 何回かハーピーを倒しからと思ったが、ワームのお陰で状況が変わった。


「今度は、迎え撃とう!」



 結界の前でハーピークイーンがいる岩峰を眺める。霧が立ち込めるエリアの中でも、ハーピークイーンがいる岩峰が1番近い場所。

 ハーピー達が分散させられて、2隊のハーピー達がワームの餌となり、1隊は謎の蟲人とドワーフ、オニ に倒された。

 数少ない学者肌のホーソン。それはタカオの街の領主マッツとの共通点でもあり、関係はなくてもイロイロな事がハーピー達に疑念を抱かせているはず。


「出てきたよ。今度の数は多いね。軽く倍以上はいそうだよ」


 ナレッジがリッター達の視界から情報を伝えてくる。複数の岩峰から出たハーピーが、ここを目指して集まってくる。


「ハーピーをかき集めてるなら、そろそろ限界じゃないか」


『ワームにも手伝わせるんでしょ』


「魔物でも、ずっと結界の罠って存在も可哀想だから、解放してやるだけだよ」


 そんな話をしていると、集合するために止まっていたハーピー達が、再び前へと進み始める。


「チェン、頼むぞ。上手く挑発してきてくれ」


「任せてくだせいっ」


 そう言うと、大鎌を構えハーピーの群れへと向かう。流石は警護隊をしているだけあって、ハーピーという魔物の特性は知っている。これ以上にないくらいに怒らせたハーピーを引き連れて、戻ってくる。


『あのバカ、限度ってものがあるでしょ』


「まあ、指示通りで間違ってはないよ。ムーアの舎弟だろ、そこはフォローしてやってくれ」


『そうね・・・って、違うわよ!』


「そろそろ始めるぞ」


 ムーアとの緊張感のない会話を終わらせて、スイッチを切り替えるように、短く息を吐く。ハーピー達の前衛がチェンによって大きく引き離されて、はっきりと見える位置にまでやって来ている。


「みんな、行くぞ」


 ダークの操るマジックソードが鎖を断ち切り、フォリーのシェイドが石柱を破壊する。そして、結界の魔力吸収が止まった事を確認して、結界の中央に立つ。マジックシールドを上空に待機させ、チェンを待つ。


「ご一行様、招待完了っすね!」


「バーレッジ」


 チェンの報告に魔法の発動で答える。飛散したマジックシールドの弾幕が、先頭のハーピー達の勢いを削ぎ、何体かのハーピーが落下して行く。攻撃魔法ではない為に効果は小さいが、それでも原因である魔法を唱えた声の持ち主へと意識を向けさせるには十分。


「バーレッジ」


 再び魔法を唱えると、また何体かのハーピーが落下する。だめ押しする事で、1部のハーピー達の狙いがチェンから俺へ移り、こちらへと向かってくる。


 ゴゴォォーー


 足元から振動が伝わり始め、ワームの牙が地上へと突き出してくる。そのタイミングで後ろを振り返り、牙を飛び越し駆け出す。

 ハーピー達からすれば、岩峰の頂上なら逃げ場は無いと思ったかもしれないが、俺の走る速度は変わらず、そして岩峰の外へとジャンプする。

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