表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊のジレンマ~古の記憶と世界の理~  作者: 三河三可
フタガの岩峰のハーピー
104/410

第96話.ゲリラ戦②

 シナジーの話では岩峰地帯は、大きく2つに分かれる。

 北から東のエリアは、タカオとイスイの街を繋ぐ街道があり、道は険しいが霧が多く発生し、ハーピーから姿を隠す事が出来る。

 南から西のエリアは、ヤベとイスイの街を繋ぐ街道があり、東側の街道と比べると道幅は広く整備されているが、霧は滅多に発生しない。この街道を通る隊商や旅人は、岩峰地帯を暗くなってから通るのが常識になっいる。


 そしてハーピーは、南から西の岩峰に集まる。夜になり襲われる危険性を下げるため、日中でも霧の立ち込める北から東のエリアには巣を作らない。

 また岩峰の頂上付近や崖の中腹の洞窟に巣を作り、いずれも簡単には近づけない場所にある。その中でもハーピークイーンは、1番高い岩峰に住んでいる。


 そして今俺達がいるのは、霧のある北から東のエリア。夜になり岩峰の頂上に明かりが見えないかと心配したが、暗闇に包まれたままで少し安心する。


「このエリアには光の玉は無さそうだな」


「それじゃあ、どうしやすか?」


 どちらのエリアにも聳える岩峰の数は6つずつ。そしてこのエリアの1番高い岩峰の結界は破壊し、ハーピー達が気付いた事までは分かっている。

 本当ならもう少しハーピー達の行動パターンを調べたいところだけど、あまり時間の余裕はない。


「そうだな、気付かれにくい遠い所から破壊するか、気付きやすい近い所からにするか?」


『それなら、両方にしたら。今からなら2ヶ所くらい出来るでしょ!』


「簡単に言うよな、ムーアは」


『ハーピーの気を引いて確実に誘き寄せるなら、派手にやらないとダメでしょ。それに他の場所の結界は警戒されてるかもしれないわよ。その時は、また離れたこの場所まで戻ってくるの?』


「まあ、確かにそうなるな」


 その言葉で、1番近くの岩峰に向かうことが決まる。ウィスプ達は明かりは強すぎるので、少数のリッター達が明かりとなる。また岩峰の地形を知り尽くしている霧の精霊達は、俺達の姿を隠しながらも結界のある岩峰へと誘導してくれる。


 そして目の前に現れた岩峰。クオンの探知でもハーピー達の気配は感じられない。リズとリタの翼で少しずつ頂上を目指すが、それでも特に気配は感じることなく、そのまま頂上までたどり着く。


「ここまで気配がないのも不思議だな。少しくらいはハーピー達がいると思ったんだけどな」


『やっぱり、霧が影響しているのね。可能な限り接近されるリスクは避けたいんでしょう』


 結界に対してあまりの無防備さに、それ程重要な存在ではないのかと思ってしまう。優先されるのは、結界より下位であってもハーピー達の命。


「これだけ無防備なら、結界を壊しても警戒されないかもしれないな」


『それは違うわ。いくら月明かりがあっても、夜に険しい岩峰を短時間で登れる人なんて少ないわよ。それに途中で明るくなったら、ハーピー達に襲われて終わりね』


「蟲人だったら出来るか?」


「あっしらも夜目は不得意で、難しいっすね」


「そうなると俺達が特殊になるのか」


『そうよ、だから一晩で複数の結界が破壊されれば、ハーピー達の受ける衝撃は大きいと思うわ』


「そうだな、確実にジェネラルクラスを引っ張り出すには、派手じゃないとダメだな」


 そして1つ目の結界の破壊を始めようとするが、少し気になる。


「ワームが暴れ出し大きな音を出したら、流石に俺達の居場所は分かるよな」


『そうね、光の玉があればハーピー達が動き出す可能性はあるわね。そうなると何か都合が悪いの?』


「イスイの街に近い結界だから、犯人はイスイ側の者って思われると面白くないな」


『その可能性はあるわね。別の場所に変える?』


「少し厳しくなるけど、もう1つはタカオ側から近い結界にしよう」


 最初の結界を破壊した時と同様に、穴を掘りブロッサの麻痺毒を流し込む。1度ワームを倒している事で、どれくらいの量で麻痺させられかは把握している。

 精霊達の動きを縛る鎖はなるべく破壊したいので、ダークの操るマジックソードが鎖を切り刻み、石柱はフォリーのシェイドで粉々にする。


 ソースイとホーソン、チェンはハーピー達から1番近い岩峰に向かわせ、俺達はタカオの街の出口へと向かう。ソースイ達の目的は、俺達がもう1つの結界の破壊に間に合わなかった時に、ソースイ達はハーピー達の意識を反らす。

 あくまでも、イスイの街に意識が向かないようにする為の措置になる。


「間に合ったら、どうするんで?」


「その時は、ハーピーを引き連れてこい!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ