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目標

「お話は分かりました。では、もし私が監督を引き受けるとして、私にどこまでの結果を求めますか?」


私立高の野球部監督の場合、やはり求められるのは結果である。分かりやすい指標としては、5年以内に県内ベスト8、といった風に、年数と勝ち進んだ位置を示す場合が多い。


もちろん、目標が達成されれば次なる目標も示されるだろう。しかし、笹原は意外な答えを述べた。


「もし監督を引き受けて頂けるのでしたら、私どもは結果に関わらず、年数での契約にしたいと考えています。最初は5年契約で、5年終了時にそれまでのことを総合的に考慮して契約更改するかを検討させていただく、そのような形でどうでしょうか?」


「極端な話、もし5年間で1勝も出来なかったとしたらどうします?」


相沢の言葉に笹原は笑った。


「世の中に絶対はありませんから、1勝も出来ない可能性もあるでしょう。この県は学校数こそ少ないですが、平均的な高校野球のレベルは高いですし。ただ、私は相沢さんに成績ありきで監督をして欲しくないんです。たとえ負けても、そこから得るものは少なからずある。ただ、高校生の場合、それに気づかないことだって多いはずです。生徒たちに何が大切か、それを教えてもらえれば、成績なんて気にしません。もちろん甲子園に行ってくれたら、それはそれで嬉しいんですがね」


相沢は最初、この依頼に多少の怪しさを抱いていた。しかし、言葉を交わすにしたがって笹原は裏表の無い人間であるように感じられたのだった。


「なるほど、お話は分かりました。ですが、今すぐにお返事はできません。少しお時間を頂けないでしょうか」


相沢がそう言うと、笹原は「構いません。じっくりと考えてください」と答えた。相沢はその言葉を聞くとソファから立ち上がり、深々と礼をして理事長室を後にしたのだった。





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