右原器 各国に到着 日本には今月にも
右とは何か。もちろん、左の反対だ。だが、左とは右の反対だ。それでは堂々巡りだ。
「右とは何か」――「馬締くん、・・・右という言葉を説明できるかい?」(映画のセリフより。)というように古来から人類の大問題になってきた。
日本で出版されている各社の国語辞典では「右」について次のような様々な説明がされてきた。
「南を向いたときに、西に当たる方向。北を向いたときに、東に当たる方向。」
「アナログ時計の文字盤で、1から5がある側。」
「この辞書において、偶数ページがある方向。」
「多くの人が心臓がある側、・・・の反対。」
・・・しかし、どれも決定的なものではない。
去年11月に、フランス、オー=ド=セーヌ県・セーヴルのフランス王立アカデミー度量衡局で採択された決定は、この論争に終止符を打つものとして注目された。それは、右方向を指す矢印を描いた物体を作り、それを「右原器」とし、その複製である副原器を各国に配布させる方法だ。
おおもととなる国際右原器は、縦・横各100mm、厚さ10mmのプラチナ90%、イリジウム10%からなる合金で精巧にできており、上面に右方向を示す矢印が描かれていて、同局で保管されている。
2重ガラスで守られた大切な副原器が、各国に配布される予定だ。一部の国には既に到着している。
日本に副原器が届くのは、今月24日の予定。茨城県つくば市で保管されることになっている。しかし、茨城県には地震の巣と呼ばれる地域があり、副「右原器」の向きへの影響を心配する識者もいる。
また、左派系の団体から「なぜ右なのか」という抗議もあり、副原器の向きを左に変えようという極左ゲリラの襲撃に備える運搬中の警備費用は莫大である。しかし、人類の大問題に終止符を打つ解決方法だというのが、管轄する経産省の見解だ。
ところが、副原器が到着した一部の国では、早くも、どの向きに置けばいいのか問題が起きている、との情報もあり、混乱している。フランスの度量衡局に問い合わせても「右向きに置けばよい」という答えしかないとのことだ。
関東電波大学の左巻教授(左方向決定論)は、「そもそも右を物体で定義しようとする発想が幼稚。私なら左を定義する。もし右を定義しようとするなら、自然物に依拠して『保守系の人の考えが偏る方向』という定義にする」と話している。