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「竜伸、かさね。そなたらは、これでお別れではない!!」
「「え!」」
そっと、体を離したふたりは、顔を見合わせる。
竜伸の頬を再び涙が伝った。
かさねに手拭いで目を拭ってもらいつつ竜伸は、比売神さまに尋ねた。
「どういう事ですか?」
「うむ。おうのじゃ。あれから、おうのが『例会』のお偉方連中に掛け合うての。
今回の邪神を鎮めたそなたの功績が『例会』から正式に認められたんじゃ」
「つまり――」
顔を見合わせる竜伸とかさねに比売神さまは、にっこりと微笑んだ。
「そなたは、『例会』の客分と言う事で、かさねにも皆にこれからも会える!」
「じゃ、じゃあ、本当に?」
「ああ、そうじゃ」
そなたと――比売神さまの瞳に薄らと涙が浮かんでいた。
「わらわ達は、これからも皆一緒にいられる!!」
「比売神さま……」
竜伸は、かさねからそっと体を離すとかさねに目配せした。
かさねも竜伸の意図にすぐに気が付いたらしい。
ふたりは、そっとその場にしゃがみ込むと――
「「比売神さま!!!」」
ふたりで比売神さまを抱き締めた。
突然の事に黒く濡れた両の瞳をパチパチとさせる比売神さま。
たが、やがてみるみる顔がくしゃくしゃになり
「りゅ……竜伸。かさね……かさね……」
ついには、わーん、と泣き出してしまった。
「本当に、本当にありがとうございました。比売神さま」
「わらわの方こそじゃ~、りゅ~し~ん。うわ~ん」
「……そんなに泣いたら、せっかくの服がびしょびしょです」
「わ~ん、そうなったら脱ぐからいいんじゃ~。かさね~。か~さ~ね~」
泣きじゃくる比売神さまとそんな小さな女神さまを抱き締める竜伸とかさね。
かさねが比売神さまをよしよしと宥めつつ竜伸に顔を近づける。
「竜伸さん……」
「ああ」
「本当に……本当に……」
「よかった……」
「ええ!!」
ふたりは、こんどこそ何の憂いも無く、互いの唇を重ね合い、長く、そして最高に幸福なキスをした。




