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ぼくの詩集

ある病人の一日

作者: 桜井あんじ

あさ

ぼくの中にいるもうひとりのぼくが

目を覚まして さっそく 始める


しねしねしねしねしね

そいつは言いつづける 

いちにちじゅう ずっと 

陽が 沈むまで

だからぼくは

太陽が きらい

むかしはすきだったけれど

いまは きらい


雨の日だって おなじこと

シトシトシトシト 降る雨に

リズム合わせて

シネシネシネシネ


しとしとしとしと

しねしねしねしね


ぼくはさなぎみたいにおふとんにくるまり

うごけない

蛹なら

いつかはきれいな蝶になり

ひらひら世界に飛び出すけれど

ぼくは

羽化しない 蛹 

永遠に

このまま 朽ちていくだけの


ぼくのそんざいに いみは あるのか

いや 無い


かみさまって いるのかな

ぼくは かんがえてみる

ほかのひとには

にこにこ やさしい

たすけてくれる かみさま

ぼくには

おそろしい顔をした

残忍で 悪趣味な

かみさまが



おなかがすいているみたい ぼくは

たぶん

そう ぼくは 何か食べなきゃいけないようだ

食べなくちゃ

そうしなきゃ いけない

でも なにを?


そうだ

ラーメンを食べよう

ええと でも

どうすればいいんだっけ

どうすれば ラーメンが 食べられるんだっけ

そうそう お湯を 沸かすんだ

お湯を 沸かすには

お鍋に水を入れて

火にかけるんだ

それから

ラーメンの

袋をあけて

ええと ええと ええと

どうするんだったっけ

なんだか涙が 出てきたよ


以前のぼくは

こんな風では なかったのです

それなのに

ぼくは ぼくは

ちがうものに なってしまったのです!



ぼくは あのことを 想う

失われた ぼくの 光

ぼくの 世界のことを

真昼の白けた明るさの中で 

それは 安っぽく てかてかと

光っている


だれか すみませんが

だれか

ぼくを

こんなところから

つれもどしてくれるひとは いませんか


どこにいても

だれといても

なにをしてても

悲しいのです

苦しいのです



そうこうするうち

日は暮れて

闇が やってくる

闇はすき

前に進まなかった一日を

包み込んで 塗りつぶして 隠してくれる

ぼくは 沈んでく

紫色の闇に

少しづつ 沈んでく

もっと深く もっと深く


明日なんてきませんように

今日で世界が 終わりますように

祈りながら

*過去に書いたものです。今はわりと元気です。大丈夫です。

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