あの日
こんにちは!初投稿です!
いろいろ問題があるかもしれませんが楽しんでもらえたら嬉しいです!
よろしくお願いします!
〜プロローグ〜
すべての人間はなにかしらの超能力をもっている。こう言われたらあなたは信じるだろうか。俺が普通の人間だったら絶対信じないだろう。
そう、俺は超能力をもっている。と言ってもサイコキネシスだのテレポートだのそのようなかっこいい代物ではない。
俺のもっている超能力とはいろんな世界を飛び回ることができるというものだ。誰しも1度は「パラレルワールド」という言葉を聞いたことがあるだろう。
自分の今いる世界とは違う世界のことだ。パラレルワールドは無数にある。自分の今いる世界と非常に似ている世界もあればまったく違う世界もある。それらは互いに干渉することはないが無数に広がり続けているのだ。
第1章〜始まりのとき〜
第1節,あの日
〜2019年6月18日 17時38分〜
ふうっ、、と息をつきながら俺は辺りを見回す。今、俺はDラインの第1586世界に来たところだ。もうこれで何回世界を移動したかは世界の移動を繰り返してきた俺には見当もつかなかった。
今回俺がなぜここに来たのか、それは前の世界では俺はいじめられていたからだ。ちなみに俺のこの「世界を移動するチカラ」を適当に
《ザ・ワールドオブ・イマジネーション》
とよんでいる。
久しぶりにこの力について考えていると初めてこの力に気付き、使ったときのことを思い出した。
俺は、フッと苦笑しながらあの日のことを考えることにした。
〜2010年4月3日 23時16分〜
俺は春休み最終日のこの日、パソコンを造っていた。普段であれば小学2年生である俺がこんな時間まで起きていることなど当然許されるわけがないのだが母が仕事中に倒れ父が一緒に病院に行ってしまったのでこの一晩、俺はこの家に1人というわけだ。
とはいえ、物心ついて少したった俺は家にたった1人というのはさすがに怖かったのでネットで知り合った同い年くらいの女の子とSkypeで話しながらパソコン造りをしていた。
彼女の名前はサクヤ、もちろん本名ではないが。
「イツキってどうしてパソコンなんかつくってるの?」
イツキ、というのは俺の本名ではない。俺の本名は蓮というがどうも両親がつけてくれたこの名前は好きにはなれない。
「だから俺には友達がいないの。それで昔からちょくちょくパソコンいじってたら1から組み立てれるようになったから暇つぶしとしてやってるの。」
これは事実だ。嘘はついていないが、しかし俺には友達がいないというよりはむしろいじめられている。
しかしそんなかっこ悪いことを仲のいいサクヤに話すのは嫌だった。
「でもさー、こんな歳でパソコン造れるって結構凄いことだと思うなー。それにイツキには友達いるじゃん。」
「え?何言ってんの?」
「もうー!言わせないでよ。私はイツキの友達だよ。」
サクヤの言葉に少しドキッとする。この娘はこういうことを割と普通に言うということを忘れていた。
「お、おう、、そうか。それは、その、、、ありがとう。」
こういうとき、俺はなんて返していいか分からなくなる。こんなことしか言えない俺をサクヤはどう思っているのだろうか。
「うん!どーいたしまして。」
まったく無邪気に返してくる。1度も顔は見たことがないがきっと満面の笑みを浮かべているのだろう。
それから俺達は朝までずっと話していた。お互いの家族のこと、学校のこと、サクヤの恋の悩みなどなどいろいろ話して朝になったのでいつものように
「じゃあがんばって(ね)」と言い合って学校に行った。
サクヤの恋の悩みだけは話していても愉快ではなく、むしろなんとなく嫌だった。でもそれがどうしてなのかは俺には分からなかった。
〜2010年4月4日 7時23分〜
「久しぶりー!」
「休み中どっか行った〜?」
俺は様々な声が飛び交う教室に入るといつも通り机に書いてある「死ね!」とか「土下座しろ」といった落書きを消してからすぐにバッグを持ったままトイレの個室に向かった。先生が来て朝の会が始まるまで隠れているためだ。
サクヤに知られたらさぞ幻滅するだろな〜、とか考えながらトイレに入った瞬間、後頭部に強い衝撃が与えられ俺の視界は真っ暗になった。
「はっはっはっは!」
「ヒソヒソ、クスクス」
「そろそろやめてやれよ〜」
大勢の笑い声によって俺は目覚めた。とりあえず何が起きたのか確認しようとしたが目を開けたはずなのに何も見えなかった。一瞬失明したのか?と思ったがそうではなく、アイマスクかなにかで目隠しされているらしい。なんなんだよ!と思いながら外そうとしたが手が動かない。どうやら手もついでに足も固定されているらしい。ちなみに座っている感覚なので恐らく椅子にでも全身縛られてしまったのだろう。
「えーっと、、、外してくれよ。」
とりあえず声を発してみる。恐らく声の感じからして今俺がいるのは教室でクラスメイト全員がいると思ったからだ。クラスメイト全員にいじめられているわけではないし、誰かが助けてくれるかもしれないという望みにかけた。
だが、俺の望みは一瞬で砕かれた。
「おっ!起きたのか!」
「誰が喋っていいつったんだよ!」
その声と共に左の頬に強烈な痛みが走る。顎の関節が軋むのが分かる。誰かが思いっきり俺の顔を蹴ったようだ。
「テメーを見てるとマジでイライラすんだよ!さっさと死ねよ、クズが!」
罵倒のお手本のような言葉を吐きながら今度は俺の腹を正面から蹴り俺は椅子ごと倒された。
「キャッ」と女の子の小さな悲鳴が後ろから聞こえた。俺は腹を蹴られたせいで腹から上がってくるものを抑えられずそのまま吐いた。
「うわっ!きったねぇ!こいつ吐きやがった!」
俺は涙を必死にこらえ
「頼む、もう、、やめて、、、、くれよ。」
と切れ切れの声で言ったがそんなことでは連中が喜ぶだけだというのはとうの昔に思い知らされている。
「テメーは俺のサンドバッグだろーが。黙って殴られてろ。」
それから俺は先生が教室に来るまで蹴られ続けた。途中骨が折れたような音がしたがもう何も感じなかった。
〜2010年4月4日 11時47分〜
「ただいま、、、」
応える声はない。テーブルの上に紙が置いてあるようだ。恐らく書き置きだろう。母は入院したのかもしれない。俺と両親はあまりうまくいってはいないがこんなときくらい一緒にいてほしいものだ。結局俺は左足とアバラを何本か折っていたようだが面倒を起こしたくなかったので学校には「なんともありません」とだけ言ってその代わりに早退してきた。
どうして俺はこんな目にしかあわない?俺がなにしたって言うんだ?
ズキッと頭の奥に鈍い痛みが走る。そう、昔からたまに俺は酷い目にあったときにこんなことを考えるとこの痛みを感じるのだ。それも考えれば考えるほどにその痛みは増していく。1度俺はその痛みに耐え続け考えることを辞めないでいたときがあった。だが当時の俺にはあまり良く分からなかったがどうやら痛みが強すぎて気を失ってしまったらしい。
もしかしたら俺だけでなく、普通の人はこんなことを考えればこんな痛みを感じるのかもしれない、と思い前にサクヤにきいてみたことがある。だかサクヤはそれは普通の人にはない感覚だよ、と言っていた。
それ以来俺はこの痛みが怖くなりあまり考えないようにしていたのだが。
「俺はこんな目にあうために生きてるんじゃない。」
どんどん痛みは強くなっていく。いつしか俺は歯を食いしばり目を見開いていた。
「アアアアアアアアアアッ!!!!」
視界はホワイトアウトし俺はただ絶叫を上げていた。
そして俺の意識は途切れ飛翔した。
なぜか最後に考えていたのはサクヤのことだった。
まずは読んでいただきありがとうございました。
もうお気づきかもしれませんがイツキは普通の人ならもっている感情を素直に認めることのできない人間です。
初めての《ザ・ワールドオブ・イマジネーション》をした日のことをはじめに書いてみました。
これからイツキはいろんな世界に行くことでしょう。果たしてサクヤとはどんな人物なのか?再会することはできるのか?イツキと共にいろんな世界を旅して行きたいと思っています。
最後に、初めて書いたものなのでいろいろ問題が山積みですが暖かい目で見ていただけると幸いです。
これからよろしくお願いします。