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濡れ衣です。私は悪役令嬢では有りません。

作者: 三田弾正

巷で流行の悪役令嬢、婚約破棄を書いてみたかったので、つい手が出てしまいました。

「アーリシア・ディ・デュールベン・レンドランドン公爵令嬢様、お時間でございます」

「オーホホホホ、私こそ豊穣の女神に祝福されし者、そこいらの下郎達と違う事を見せて差しあげますわ」


高笑いで此処に居る令嬢達を馬鹿にしながら、試験場へと入っていく金髪クルクルドリル髪の令嬢。

あーなんか……ん?????  何処かで見たような気が……ん???  いや、彼女を見るのは初めてだし……  あれれれ?????  デジャブー????  んー?????


などど、考えていたら。試験場から金切り声が聞こえてきた。

「きいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!  何故このわたくしに反応しないんですの!!!!  この水晶壊れているんじゃ無いですの!!!!!!!!  このわたくしが女神に祝福されないなどあり得ませんわ!!!!!  セバスチャン、早急にお父様に連絡なさい!!!!!   このわたくしこそ!!!!」


凄い金切り切り声に周りの令嬢も目を丸くして驚いているんだけど、んーーーー  本当に何処かで見た気が……

あ゛ーーーーーーーーーーーー!!!!!!

これ、漫画の一シーン!!!!!

えっえっえーーーーーーーー!!!!!


これって『Pour faire demain(明日を作れ)・隻眼の女神はかばねの塔』のオープニングシーンじゃん!

一寸、一寸、そうすると私転生している?それとも憑依、或いは夢?????


「こんなポンコツ壊れてしまえ!!!!」

「公爵令嬢ご乱心!」

「フレーム・ストライク!!」

「わーーー!!」

「キャーーー!!」


考え込んでいた最中、突然悲鳴と供に扉が吹き飛んで爆炎が飛び出して来る。

目の前には飛んで来る扉の残骸が……そのまま私の意識はブラックアウトしたのであった。







「レオネーラ、レオネーラ起きなさい!」

耳元でドスの効いた声が聞こえる。

「テレジア、レニーは怪我で気絶しているんだから、そんな無体な」


「何か言いましたからしら!高々フレーム・ストライクの余波で気絶するなどそんな柔に育てつもりは在りませんわよ」

「しかしだな」


うーっなんか段々意識が戻ってきたんだけど……

「レオネーラ、気合ですわよ!」

その声と供に頬をビシバシ叩かれた。


「いったーい!」

流石にこれは飛び起きるわ。


未だボーッとする目で周りを見ると、静かな怒りの見える母上と心配そうに私を見る父上と兄上、姉上。

やっぱり転生か憑依だ。いや判るんだよね、多少記憶が混在してはいるけど、何故か気絶中に意識のすり合わせが行われたようで、此処が何処で自分が誰かとか、時代背景とか人物相関図とかはバッチリになっているけど、漫画の続きがイマイチ思い出せないんだけど、今は何とか成るか。


「目が覚めたのですね、レオネーラ、しかし何ですかあの様な体たらくは!」

母上、そう言われても、あの状態でどうなったかとか理由が判らないんだけど……


「母上、レニーは混乱しているようだから」

「そうですわよ、母上、少しは落ち着かれてください」

兄上、姉上ナイスフォロー、そして父上よ、母上にメンチ切られてビクついているんじゃない。


「母上、いったい何が?」

取りあえず漫画ではあんな爆発無かったはずだから聞かないとだめか?

「まあ、良いですわ。試験会場であの頭が年中お花畑で尻軽で毒婦で有名なフローラの馬鹿娘が切れて攻撃魔砲をぶっ放したのですわ」


うわー、公爵夫人を滅多切りだ、そう言えば母上と公爵夫人は学園の同級生で振り回されたとか言っていたっけ。


「そうそう、それでレニー達が巻き込まれたんだよ」

「だからこそ、日頃の障壁が大事だと言っているのよ、修行よ修行!」

「母上、それは後で」


「そうですわよ。先ずは何が起こったかを説明しませんと」

母上が更にヒートアップしているのを、兄上と姉上が何とか宥めるのが、我が家の日常なんだよね。えっ父上?既に体育座りで黄昏れているけど、何時ものことだわ。


「その馬鹿娘、オホンいや、レンドランドン公爵令嬢の癇癪で試験会場が崩壊して死者こそ出なかったが怪我人多数で魔力検定試験は被災者が完治するまで延期になった」

兄上も、そう思っているわけですね。


「ホホホホ、兄上、本音が漏れていますわよ。幾ら本心でも尻軽ビッチのクソアマなどと言うのは感心できませんわ」

姉上!!!!普段のお淑やかさからのギャップが凄すぎます。それに兄上はそこまで言ってません!


「レニー、つまりレンドランドン公爵令嬢の暴発でお前を含めた30人が負傷したので、国王陛下直々のお考えで、魔力試験は一ヶ月延期となった」

「貴方、二度手間ですわよ。説明はズバット為さいませ」

やっと父上が絞り出した説明を母上がバッサリ切るし、あっ父上また体躯座りを……


「しかも、これだけの被害を出しながら、あの阿呆は死者が出なかったからと言う事で、お咎め無しだそうだ」

「全く持って、あの家は家族全てノブレス・オブリージュの欠片も在りませんからね」

兄上と姉上が毒舌ですが、判る気がする。


あの家ことレンドランドン公爵家は我が国クロッケンベルグ及びレンドリア連合王国を構成する旧レンドリア王国の王家の擬似的継承者に当たるわけで、我が国一の名門になる訳、何故かと言えば今を去ること170年前、当時の王国のある大陸西部は不治の病である黒死病に襲われていて庶民は元より王侯貴族もバタバタと死んでいたんだけど、当時のクロッケンベルグ王国の一人息子とレンドリア王国の一人娘が黒死病が北の氷原の魔女パークネの呪いだと感づき、2人で魔女を倒した事で恋仲になり、両王家とも2人しか継承者がいないからと同君聯合したと言う歴史があるから、王と女王の第二子の子孫であるレンドランドン公爵が最高位になるんだよね。


しかも、あの家の場合、旧レンドリア王国が所領の中心になっているから何時でも独立可能な存在で、王家としても手が出しづらい存在な訳、その上、歴代の令嬢の多くが女神に祝福された存在だから、神に選ばれし一族として傲慢になっているんだよね。


まあこの辺は、以前の記憶と供にオフィシャルブックの影響だけどね。


「さて、レオネーラ、あの程度の攻撃で気絶したとは我が娘ながら情けない。幸い1ヶ月もの猶予が出来たのですから逝きますわよ」

母上、言っている言葉のニアンスが違いますよ。


「母上、レニーに一日ぐらい休息を」

「お黙りなさい、訓練を一日休んだら、三日は後退するんですよ、一押し二押し三に押し押して駄目でも押し破れと言いますわ」

母上、それ何処のスポ根、いや口説き文句ですよね?


「さあ、逝きますわよ」

首根っこ捕まれて、自宅の練兵場へ引き立てられた私はそれから1ヶ月間、母上のスパルタ攻撃で扱かれたのである。木の陰では姉上が心配そうに見てくれていましたけど、助けてはくれませんでしたわ。

て言うか、母上には誰にも敵わないのですから。この物語のスピン企画で若き頃の母上の活躍を書いたものがあるんですから、そのタイトルが『無双令嬢、ドラグーン・テレジア』ですし、今でもその頃に従えた黄古龍エンシェントドラゴンを使い魔にしているほどですから……


再度の魔力試験が明日に迫った夜、やっと母上から解放され、何の気なしに今後のことを考えてみたら、突然漫画の続きが脳裏に映りましたわ。これって封印解除なのかしら?


てっ、今後のことを思い出したらやばいじゃない、私危険だ!!

この国では、魔力検定試験で女神に祝福された存在がでると、須く王妃候補として他国へ流入しないように囲い込みを行う訳で、大概女神に祝福された存在は国王一人につき一人で有ると言うお約束な設定なんだけど。


『Pour faire demain(明日を作れ)・隻眼の女神はかばねの塔』って3部作になっていて、第1部だと、魔力検定試験で最高魔力をだして女神に祝福された存在として、王太子殿下の婚約者にされて学園に入園したあと、アーリシアに目の敵にされて何度か死にかけながら、王子との愛を育むんだけど、翌年になると市井で私より少し魔力の低いが祝福された少女が見つかって、その子も他国で利用されないように側妃候補として入園させるんだけど、なにぶん市井育ちで貴族社会なんぞ知らないから、王子にしてみれば破天荒なその子に興味を持って、その子に近づいて次第に絆されて恋仲になる。


そこで、王子が大人の判断、私を王妃に彼女を側妃すれば良かったんだが、巷で逸っている"婚約破棄や、悪役令嬢、乙女ゲーム”状態で、彼女を可愛くなっていた王子が、私を邪険にしていくんだけど、それに比例して彼女が虐められて死にかけるんだ。それが私の嫉妬であると決めつけられて、私が『そんな事はしていない』と言うと常識人の神官長の息子が親切心から『嘘をついているかどうかを見極めるために女神のロッドに念を込めれば判る』と言われたので、念を込めたら、いきなりロッドが爆発して顔面に呪いによる火傷と片目を失い、犯罪者として修道院に送られるという最後が……


やばい、やばい、冤罪だ!

第1部だけだと、アーリシアから私に悪役令嬢交代で『レオネーラざまあ』状態だったんだけど……

第2部読んで、えらい事が判ったわけで……


なんと、私は完全な無罪でした。何と言ってもあの母上の元で扱かれたのですから、虐めなんか最低な行為と体で教わってましたし。あの父上は品行方正で有名ですので、あくどい事してませんでしたから。では誰が、ヒロインを虐めたのか?そして殺しかけたのか、巷や2次小説なんかじゃヒロインの自作自演だとか言われたり書かれたりしてけど、ヒロインは完全無罪でした。


では、アーリシアかというと、確かに実行犯はアーリシアだったのですけど、黒幕がいました。それはレンドランドン公爵とかではなく、王子その人だったのです。

何故王子が愛するヒロイン、ミリアーナを攻撃させたかと言うと、ミリアーナを颯爽と助けて格好つけたかったことと、邪魔な私を排除することで一石二鳥を狙った訳です。


じゃあ、何故アーリシアが協力したかって言うのは、母上と公爵夫人との確執と、不正を行っていたレンドランドン公爵を見逃すという王子の許可、そして何よりは魔力検定試験で祝福されなかったアーリシアを側妃として迎え入れると言う約束をしたから。


アーリシアが以前私を狙ったのも幼い頃より慕っていた王子が自分の夫にならないからと恋に狂った嫉妬心なわけで、それを旨く利用したのがあのゲス王子。神官長の息子が用意したロッドを精巧な偽物にすり替えて私に罪をなすりつけた。


やばいーい、やばい、もっと前に思い出せば何とか出来たのに、今日の明日じゃどうにもならないよ、自分が気を付けたとしても、王子からの罠があるんだか、どうしよう!



はっ!そうだ、女神の祝福は一定以上の魔力を水晶球に送らなきゃ駄目だから、態と最低LVの魔力を送れば良いんだ、散々母上からの扱きで魔力の制御は完璧だから、それが出来るじゃない、安心だ、あー心配して損した。まあ、アーリシアに魔力で負けたとあったら、母上の扱きが更に酷くなるだろうけど、あんな目に遭うよりは母上の地獄の扱きを1年受けた方がマシだ。


それに1年経てばヒロインが入園してくるから、そのままフェードアウト出来る筈だ。

よっし頑張るぞ!






先月のことがあったから、、アーリシアは参加していないから気分は楽だね。

「レオネーラ・ディ・マーシシャス・アルヴェール辺境伯令嬢、お時間でございます」

さて、最低LVの魔力はOKだね。やるぞ!


「レオネーラ様、此方の水晶に手を翳してください」

試験官の言葉に通りに手を翳して見るが、未だ未だ何も起こらないと、この辺は姉上に聞いているから未だなんだよね。因みに姉上は攻撃魔法は母上譲りで、あの笑顔でドラグーン・テレジア2世と言われているとかいないとか……


「レオネーラ様、そのまま、全ての力を翳すようにして下さい」

「はい」

はいと言ってもそうは問屋が卸さないと、最低LVでいくんだ!


最低LVの魔力を翳したけど、あ??なんで輝きが凄いの?

「おおおおお、凄まじい魔力ですぞ」

「なんと、王妃様より遙かに上ですぞ」

「大変です!計測限界を突破しました!」


えっ!……あ゛ーーーーーーーーーー!!!!思い出した!


私は、よくある転生トラックにより死んだのだけど、転生時にあの神とか言うのにスキル貰ったんだった!


『やあ、君には転生して貰うよ』

『いきなりですね』

『いやー最近は"速攻転生させろ”とか”チート来たー!”とかが多くてね、書類審査とかが面倒臭いし、事業仕分けで事務員てんしがリストラされたから事務処理を簡素化したんだよ』


『えー、あの世でもリストラ在るんだ』

『そうなんだよ"1番じゃなく2番で良いじゃないか”とか言う上司がいるからね』

『何処かで聞いた話だけど』


『まあ、その辺は置いといて』

『置いとくんだ』

『まあ、で、転生先だけど、剣と魔法のファンタジーで、戦いも有るしドラゴンもいるよ』


『凄い、RPGの世界なんだ』

『まあ、それで、1000ポイント上げるから好きなスキルを取ってね』

『結構色々あるね』


『まあね、五月蠅いのを黙らせる為にはこれぐらい必要なんだよ』

『判ったわ、どれにしようかな?』





『出来た』

『どれどれ。ほう、欲張らないんだね?』

『RPGなら、育てるのが面白いじゃない』


『なるほどね、けど、却下!』

『えええ』

『まあ、直ぐ死なれちゃ駄目だから、改訂するよ』


『どのぐらい?』

『魔力EX、魔法全属性付け、色々な魔法の素質だね』

『えっそれ凄すぎない?』


『これぐらい必要なんだよ』

『まあ、仕方ないか、けど赤ん坊が魔力EXじゃ不味いんじゃ?』

『その辺は大丈夫だよ。シナリオが始まると同時に制限解除になるからね。じゃあ逝ってらっしゃい』

『字が違う!』



あ゛!何で今思い出すのよ、これ魔力EXじゃ最低限でも母上を越えるじゃん、あの神わざとしたな!


私が遠い目をしている最中に、魔力検査なのに歴代最強の豊穣の女神の魔力をだした私により、近隣は元よりこの大陸全体の作物が豊作になり、一気に私の存在が各国に知れることになったのである。


私どうなるんだろう。もう嫌。リセットを希望する!



息抜きに書きたかった。


攻撃魔砲は誤字じゃありません。

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― 新着の感想 ―
[一言] 神の声を聴いたといって修道院に入るか適当な宗教でもでっち上げればいいんじゃあ そうすれば多分王子のほうから距離を置くだろうし
[一言] ……婚約破棄を書いてみたかったとありますが、婚約破棄シーンが無いですし、肝心の悪役令嬢と誤解されるところもなく(ゲーム知識だけですよね)、さすがにタイトル&あらすじ詐欺だと思いました。 せ…
[一言] つづきはー
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