僕と君とを溶かす愛
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もうどうしようもない気分になっていた。
思う事は色々あって、でも考えられなくて、うずくまったままの感情を持て余したら泣きそうになった。
アルコールに微睡むのも馬鹿らしくなって、疲れているのは糖分が足りないのかも知れないとコンビニでプリンやらケーキやらを大量に買い込む。
その時は満足していたのに、いざ家に帰ってテーブルの上に袋の中身を出すと、全てが要らなく思えてきた。
僕はなんて無駄をしてしまったのだろう。
欲しいのはこれでは無かった。
そう思えば並んだ品々を見るのも嫌になってきて、ゴミ箱にぽいぽい捨て始める。
三個目を投げた所で玄関を開ける音がし、「ただいま」と少し疲れた声がした。
ぼんやりとしたまま振り返り、「おかえり」と返すと、短い期間僕の義弟だった彼は怪訝な顔をする。
「何してるの」
「ゴミを捨ててる」
「そんなにたくさん? 期限切れ?」
「ゴミを捨ててる」
同じ台詞を繰り返した僕に今度は何も言わず、彼は近付いてきてゴミ箱に手を突っ込んだ。
今日はゴミの日だったから、その中には今僕が捨てた物しか入っていない。
「これはゴミじゃないよ。買ってきたの?」
「そう、要らなかった」
「……俺が全部食べるよ。だから捨てないで」
モンブランのカップを握っていた僕の右手を包むように、彼の手が重ねられた。
どうしようもない感情が僅かに霧散する。
もしかしたら、僕が必要としていたのはこれなのかも知れなかった。
彼は彼女に似ていると感じていた。
彼女が彼に似ていると勘違いしていたのかも知れない。
僕の中の見ないようにしていた部分が、主張をし始める。
まだうずくまっていたかった。