表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

僕と君とを溶かす愛

作者: 杉村 衣水

閲覧ありがとうございます

もうどうしようもない気分になっていた。

思う事は色々あって、でも考えられなくて、うずくまったままの感情を持て余したら泣きそうになった。


アルコールに微睡むのも馬鹿らしくなって、疲れているのは糖分が足りないのかも知れないとコンビニでプリンやらケーキやらを大量に買い込む。


その時は満足していたのに、いざ家に帰ってテーブルの上に袋の中身を出すと、全てが要らなく思えてきた。

僕はなんて無駄をしてしまったのだろう。

欲しいのはこれでは無かった。


そう思えば並んだ品々を見るのも嫌になってきて、ゴミ箱にぽいぽい捨て始める。


三個目を投げた所で玄関を開ける音がし、「ただいま」と少し疲れた声がした。

ぼんやりとしたまま振り返り、「おかえり」と返すと、短い期間僕の義弟だった彼は怪訝な顔をする。


「何してるの」


「ゴミを捨ててる」


「そんなにたくさん? 期限切れ?」


「ゴミを捨ててる」


同じ台詞を繰り返した僕に今度は何も言わず、彼は近付いてきてゴミ箱に手を突っ込んだ。

今日はゴミの日だったから、その中には今僕が捨てた物しか入っていない。


「これはゴミじゃないよ。買ってきたの?」


「そう、要らなかった」


「……俺が全部食べるよ。だから捨てないで」


モンブランのカップを握っていた僕の右手を包むように、彼の手が重ねられた。

どうしようもない感情が僅かに霧散する。

もしかしたら、僕が必要としていたのはこれなのかも知れなかった。


彼は彼女に似ていると感じていた。

彼女が彼に似ていると勘違いしていたのかも知れない。


僕の中の見ないようにしていた部分が、主張をし始める。

まだうずくまっていたかった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ