僕には青春は来ないけど、勇気はあった
「ん〜〜〜〜!!!!!」
ギシギシギシギシギシギシギシギシ
「……っつう⁉︎」
ギシギシギシギシギシギシギシギシギシギシ
僕こと高校一年生(入学して三日目だけ)藤堂 真人は現在入院するこたになったこの夏姫総合病院のベットの上で約一年前の出来事………いや、黒歴史をあえて思い出してベットをギシギシ揺らし悶絶していると、怪我した場所に激痛が走り、更に悶絶…のエンドレスループに、陥っていた。
何故わざわざ昔の黒歴史を思い出しているのかというと、別に僕がMだからではない。要するに、暇なのだ。
ーーー待ちに待った高校一年の入学式、そりゃあ、知り合いなんでいないからちょっとボッチ気味…。でも一週間もすればクラスの男子は皆友達………フフッ!女子とも一ヶ月もすれば打ち解けみんなの中心に………フフフフッ‼︎
おっと、今後の予定を想像してたら顔に出てしまったぁ!危ない危ない。
こんな顔しているのがバレたらクラスの子にドン引き…ってあれ?仲の良さげな女の子六人グループがこっちを見て苦笑いしてるぞ⁇
…僕のことじゃないよねっ⁉︎他にその顔になるための何かがある……はずだよネ⁉︎
その時からクラスの中で浮いていたことにも気付かない真人は、どの学校でも定番と言っていい校長先生のくっそ長い挨拶。一回も聞いたことのない校歌を大声張り上げて歌って来る教職員。特に音楽教師、自慢げにね。大体入試で一番取った人がやる新入生挨拶。どうせ言ってることは上っ面な事ばかりのくせに、どーしてやるだろうか…。そして、どこの誰だか知らないお偉いさんの激励を聞き終え、無事入学式を終えた。
まぁ、立って座っての繰り返しなんだけどね☆
新入生は入学式が終わればそのまま下校とのことだったので、教室へ荷物を取りに行き軽くホームルームを終えた後、遂に下校の時間がやってきた!
教室を、出た。
校舎を、出た。
校門を、くぐった。
学校の最寄り駅に、着いた。
………あれれ?帰るまでに誰からも声かけられなかったぞ⁇こういうのは普通
「なー○○。これからカラオケとか行かない?」
「お前、名前なんていうの?…へぇ!○○って言うんだ。オーケー!一緒にかえろうぜぇ○○っ!これからよろしくなっ‼︎」
とか声かけられて遊びに行くもんじゃないのっ⁉︎
結局、誰からも声をかけられることもなく一時間電車に揺られて最寄り駅の改札を抜けた。
その時、僕はある少女に呼び止められた。
「し〜んちゃん!」
「ん?あぁ、なんだ萌香か」
「なんだとは何よぉぉ〜〜〜!!」
こいつはの名前は押山 萌香。
小学生の時にウチの隣に越してきてからというもの、毎日のように一緒に登下校をし、あの忌まわしい黒歴史の出来事があった後でも、ただ一人僕に変わらず接してくれた僕の幼馴染である。
整った顔立ちにパッチリとした目、お餅みたいに柔らかそうでほんのりと紅色に染まった頬。胸………はあまり期待できそうにはなさそうだが、見た目はザ・美少女といったところだ高校入学時にコンタクトに変えてから一層可愛くなった訳である。
きっと、高校ではモテるんだろうなぁ。と、思っていると萌香が話しかけてきた。
「しんちゃん今帰りぃ⁇」
「んーまぁね、萌香も今帰りなの?」
「そうだよぉ〜〜。それより〜、しんちゃんこの後何か用事とかあるぅ⁇何も無いならお願いしたいことがあるんだけどぉ〜」
「いんや、これから帰ってそれからなにするか決めようかなって思ってたところだから」
「そっかぁ‼︎ならよかったぁ〜‼︎なら一緒に帰ろぉ〜〜」
「別にいいけど…萌香。お願いってもしかして…今の?」
「んんん〜⁇そうだよぉ〜」
何故一緒に帰れるかどうかでお願いせにゃならんのだ我が幼馴染よ。
萌香は外見こそいいものの、見た目と性格で結構なギャップがあるため付き合いが浅いとげんなりすることも少なくはない。
だから、外見で萌香に近づき振り回される輩も少なくはない。
てか僕もその一人だったわけなのだけども。
「ていうか萌香さん?いい加減その‘‘しんちゃん’’っていうのやめない?僕の名前‘‘まさと’’なんだけど…」
「んんん〜〜⁇なんでぇ⁇しんちゃんは、しんちゃんだよぉ?…変なしんちゃん」
クスッと笑いながら言われてしまった。いつものパターンである。こういう反応されてしまうと、こちらもどうすればいいのかわからなくなってしまうので、そんな時は…
「あうっ⁉︎…もぉぉ‼︎しんちゃん、チョップはダメなんだよぉぉ〜〜‼︎」
こうして萌香の頭にかるーくチョップしてやるのもいつものパターン。
まぁ、その後は他愛もない話をしながらお互いの家に帰った。
今日、結構アドレスとか交換したはずなのに誰からも連絡が来ない。
なんでだろ⁇みんな明日忙しいのかな?
………基本ポジティブな真人は何の気にもしないでその日を終えた。
そして次の日。(要するに今朝の話だ)
僕は登校時間よりだいぶ早い時間に家を出た。
え?何故かって?
…そりゃあ!出会いを求めてだよっ‼︎出会いをっ!
どうやら萌香の進学した学校は近所の高校らしく、この時間なら寝ていても何の問題もないらしい…みたいなことを昨日言ってたので、多分まだ寝ているだろう。
結局朝になってもクラスメイトからは何の連絡も無いままだ。
疲れてみんな寝てるのかなっ⁉︎
僕の住んでいるこの鬼浜市は「伝説の地」と言われていて、歴史マニアさんたちからすると重要な観光スポットらしい。
何が伝説なのかはよくわからないが、どうやらこの鬼浜で唯一ある山…というか丘?が関係あるようだ。その“カイト山”とか言う怪しげな山は、この鬼浜で唯一の総合病院である夏姫総合病院の敷地内なので、許可なく入ると捕まるとかなんとか…
と、そんなことを考えているうちに電車に乗り込み、駅に着き、通学路まで来てしまった。
学校に着くと、流石に早く来過ぎてしまったのか校門すら空いていなかった。
そりゃそうだ、だって今六時半だもん。
校門で待機するのもアレなので学校周辺をブラブラすることに。
近くのコンビニで軽く軽食と好物のキットカ○トを買って、少し大きな通りに出た時にことは起こった。
母親と子供が二人、子供の服装からして幼稚園の見送りと言ったところだろうか。母親は三、四歳位の子供を自転車に乗せ横断歩道を渡っていた。
自転車が重いのかで母親の両手は塞がっているため、幼稚園児であろう子供は母親の後をくねくね蛇行しながら付いて行っている。
別にどこもおかしくない。普通の光景だ。
だが、何かおかしい。
遠くの方から車が赤信号なのに走行してくるのが真人には見えた。
周りの人はまだ気づく様子も無い。真人は母親に対して声をかけようとしたが距離があるため届かないだろう。
嫌な予感がした。
車は減速をしていない、むしろ少しずつ加速して行っているように見えた。
やっと車の存在に気付いた母親は少し歩くスピードを上げ、横断歩道を渡り切ってしまった。
が、
キャァァァァァァァ!!!!!!
悲鳴が上がった。多分あれは母親の声だったのだろう。今の悲鳴で周りの人も状況に気付き始める。
幼稚園児であろう子供は方にかけたバックの中身を漁っていて、先程の場所から殆ど動いていなかった。
真人は身体が固まったのが解った。
「〜〜〜っ!!!!!!〜〜〜ぉ!!!!!!はやく!!!こっち!!!€♪¥3€♪%っ!!!!!!!!!!!!」
母親は相当焦っていて、何かを叫んだようだが支離滅裂で何を言っているのか聴き取れない。
多分早くこちらに来るように子供に促したのだろう。
ようやくその子供も車の存在に気付いたようだったが、その時には車は子供の寸前のところまで迫っていた。
ザワザワ………
周りのみんなが終わった。と、思った。
あれ?
気付くと真人は、荷物を放り出し走り出していた。
息も荒かった。
今思うとよく動けたな、と思う。
僕にも正義感なのかな?勇気?…があったんだね☆
…周りが一層ざわついた。
届けっ!!!
僕は子供に全力で体当たりして車から子供を遠ざけた。子供相手に本気だしすぎたかな?
これで子供は吹っ飛んで行ってくれたはずだ。
ふぅこれで安心……
ん?
ーーーそして僕は車にはねらた。




