六話 二人だけの修学旅行
「ねえ、二人だけで修学旅行でも行かない?」
何の突拍子もない暴挙宣言したのは、他でもない私だった。
「別に良いけど、どこ行くんだよ」
そんなものは1mmたりとも決めてなかった。
とりあえず二人で『修学旅行』というものを体験してみたかった。
どこにいくかなんてエヌとなら、どこへだって行ける。
強いて言うなら、どこだろ?
遊園地、、、、とか、、、、
修学旅行って遊園地いったっけ?
全然分かんないな、記憶もあんまないし。
「どっか行きたいとこないの、エヌ」
「そんな突然言われてもなー。
京都でもぶらりと行ってみる?」
京都、楽しそう。
行ったことないし。
でも、なにがあるかよくわかんないからな。
「エヌ、行ったことあるの?
私ないんだけど」
「ねえな。
だから、行ってみたくなった。
お前の管理係終了したら、天国行くから、行けるうちに行っとかないとな」
にしても、エヌは天国に行きたそうだな。
そんなにこの仕事疲れてるのかな?
「とりあえず、どっかの神社でも行ってみる?」
「いいね。それで、あとはのんびり旅って感じでな」
「じゃあ、さっそく明日いこ!」
「明日?唐突だなー。まあいいけどさ」
よっし。
二人で旅行に行ける。
思わず心の中でガッツポーズをしてしまう。
本当にやってしまいそうで、やってしまっていそうで心配でならなかった。
詳しいことは決めずに今日は寝ることにした。
明日はオールかな。
楽しみ過ぎて、目が覚めてしまっている。
明日、なにしよう?
何のこと話してようかな?
緊張しているのかもしれない。
始めてのエヌと二人きりでの旅行。
いつも二人で行動してたけど、旅行となると、よくわからない気持ちが湧き出てくるからか、特別な感じがしてしまう。
「楽しみだなー」
「そんなにか?」
そう微笑みながら言うエヌ。
聞かれてた、、、、
恥ずかしっ、、
やっぱりエヌはずるい。
深い意図なさげに、距離感近くて、
でも、それがなにか嬉しくて、
胸がきゅって締め付けられるような感じがして。
誰かに取られる、みたいな不安はない。
誰がいるのかなんてわかんないからってのもあるけどさ。
でも、ずっと一緒に入れるようになれるかって言われたらさ、少し不安になっちゃうよね。
「お前、早く寝ろよ。
明日、朝、早く出ないとだからさ」
仕方ないじゃん、楽しみでしかなくて寝れないんだからさ
そんな無茶言わな、、、、
「添い寝してやろうか?」
からかうように行ってくるエヌ。
私は、顔が一気に赤くなった気がした。
「冗談止めてよー。はずかしいなあ」
私は速くなってくる、速すぎる心臓の音をどうにか隠すように、喋る。
ただ、エヌは人の心を見透かしているかのようにこちらをのぞき込んでくる。
なんでこんなこと言ってくるんだろ?
なんかあったのかな?
「なんでそんなに突然そんなこと言ってきたの?」
私がそう言うと、はっとしたのか
「ごめん」
と笑いながら言って、自分の布団にくるまった。
変に詰める感じに聞こえちゃったかな?
それはやだな。
悪いことしちゃったな。
緊張よりも罪悪感が勝ってしまって、より寝れなくなってしまう。
その日の夜。
夢に出てきたエヌは私に突然言ってきた。
「手でも繋いどくか?」
なんだ?まだ懲りてないのかな?
嫌なぐらい積極的だな。
積極的でありがたいんだけどさ、なんかエヌっぽく無く感じちゃう。
でも、それが嬉しく感じてる。
私は、おとなしく手を差し出して、エヌと手をつなぐ。
エヌのぬくもりが伝わってくる。
なぜか安心できて、寝てしまった。
緊張とか楽しみとかの気持ちなんか吹き飛んでった。
ただただ、あの一瞬が幸せでしかなかった。
翌朝、清々しい気持ちを連れて、修学旅行に出発した。
こちらを太陽が照らしてくれているようだった。
久しぶりです。投稿遅れてすみません。今後もご愛読お願いいたします。
※添い寝ファンの皆さん、我を取り戻したので、変更しました。
許してください