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禁断の恋を死から  作者: 蒼檸檬
禁断の恋を死から
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四話 咲姫と先

長い長い階段を死ぬ気で下ってきて、はや数十分たっただろう。

だが、いっこうに下が見えない。

「エヌ、流石に長すぎ、、、」

私はとうとう足に限界が来て、自力では立てなくなってしまった。

よろけて、長い長い階段を転げ落ちかけたところをエヌに救われる。

「なに、やってんだか。」

「えっ」

突然エヌに背負われて、驚きが隠せない。

思わず赤面してしまったであろう顔を隠す。

「何々?突然。止めてよ」

恥ずかしさのあまり、下ろしてもらおうと暴れる。

「いてぇって止めろよ。落ち着け。まだ、半分も降りてねぇんだぞ。ありがたく思えよ」

「え、まだ、半分なのぉ」

恥ずかしさとしんどさが半々で渋々背負われることになった。

仕方なかったのだ。

とうに足に限界が来ていたし、何より残り半分もあるこの階段を下る精神的余裕なんかあるはずもなかった。

落ち着け。

そう私は自分に言い聞かせながら、平静を保とうとする。

その後、エヌの背中に引っ付きながら、下りきるのを待つ。




何分間、揺られていただろう。気付いたら、寝てしまっていた。

起きた時、というか、起こされたときには、目の前にエヌの顔があった。

「起きろ。ついたぞ。」

そう言われながら、揺さぶられる。

「あ、うん。はああ。」

あくびをしながら、今にも落ちてきそうな瞼をいつも以上に強くこする。

照れ隠しをしながら、目の前にある現世に通ずる扉を見て、深呼吸をする。

「よし、行こう。」

私は、意を決して扉に手をかける。

後ろから、無駄に長い階段が私を見送ってくれた。


「懐かしっ」

現世に降り立った私の目に真っ先に飛び込んできたのは、見慣れた私の部屋だった。大好きなアーティストのポスターに、推しのアイドルの写真の数々。

あまりにも、久しぶり

というほどでもないのに、感動してしまう。

恐る恐る扉を開け、階段を降り、リビングに向かう。

そこにあるのは、遺骨が入っているであろう箱と私の遺影。

受け入れていたはずなのに、胸がきつく締め付けられる。

そして、私の遺影に手を合わせているお母さんとお父さん、妹。

「お、かあさん。おとうさん。、、、」

震えたような声を出しながら、お母さんとお父さんに話しかける。

と、

「言い忘れてたな。俺らは幽霊だから、現世に存在する人間には俺らの声は届かない。仕方ないんだ。」

よく見る設定のドラマはそうだが、ずっと話しかけていれば、いつかは聞こえる。

そう願って話かけ続ける。

「ねえ、聞こえる?私は、これでよかったんだ。咲姫を守れたし。」

エヌは私の気を察してか、違う方面を見ている。

そんなとき、インターホンが鳴った。

インターホンをのぞき込むとそこに映っていたのは、咲姫だった。

お母さんが扉を開けると、飛び込んでくるように咲姫が入ってきた。

「ごめんなさい。わ、私のせいで奈央が、、、、」

泣きじゃくりながら、咲姫はお母さんたちに謝る。

「いいのよ。あの子は、それが正しいと思ったからそうしたのだろうから。」

私もふと涙が流れてきた。

「ごめんね、ごめんね。お母さん、咲姫。でも、私のせいで悲しんではほしくない。だから、みんな咲姫、自分を責めないで。苦しまないで。仕方なかったんだから。」

目元が濡れているからか、あまりよく見えないが、お母さんもお父さんも咲姫も泣きじゃくっている。



「ごめん」


私には、自分の、咲姫の、お母さんたちの、先が見える気がしなかった。

未熟者ですが、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。


また、イチオシレビューやいいねなどで応援してもらえると幸いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公の心情を丁寧に書き表していた。
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