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スッゲェ不幸体質な彼女
はぁはぁ、っは、オエッ
胸が軋む、息ができない、一歩森に入っただけなのに獣に襲われるなんてツいてない。こんなこと考えている暇はないのに、考えがまとまらない。兎に角逃げないといけないのに足が動かない。
ガッ
ドサッ
足を挫いてしまった、これしゃもう走れない、自分がこれから殺されることを、走馬灯すら見ることなく理解してしまった。
「たっ、助けて、たっ、食べないで美味しくないから、いやだ死にたくないやめろ」
弱っている獲物が泣き叫ぼうが捕食者は一切気にすることなく、むしろその姿を愉しむようにゆっくりと近寄っていく。そして一気に距離を詰め獲物に牙を向いた。
ザスッ
「君、大丈夫?」
襲いかかってきた獣を一刺しで仕留めた、赤い髪をなびかせた彼女に、僕は見惚れてしまっていた。
「おーい、ほんとに大丈夫?怪我してるとか、もしかして頭打ったりした?ねぇ、聞こえてる?」
「あっ、ごめんなさい。ありがとうございます。足を捻ったくらいだから大丈夫です」
「大丈夫ならいいんだけど。それじゃ道反対だからもう行くね」
「あっ、あの名前だけでも教えてくれませんか?」
「名前?私の名前は、クレロッサだよ。それじゃまたどだかで会うことがあったら声かけてね」
これが僕と彼女の出会いだった。




