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プロローグ 魔女の目覚め

逢七あいなと申します。

初投稿です。

よろしくお願いします。

私は、ラウランス・イェール。

このアゼルティーナ国中央神殿の神官長を務めている。


平和なこの国においては、神官長職は世襲であり、かくいう私も、一年ほど前、祖父からこの職を引き継いだ。

23才にして神官長とは、かなりの若輩だが、父が先の流行り病で早世し、成人を迎えていたのが私しかいなかったのだから、仕方あるまい。


そして、今から向かう場所も。

・・・・・・そう、仕方あるまい。


ふふ、ふはは。


そう、仕方ないのだ。

今、この時に立ち会えるのは、まさに天の采配なのだから!

ご先祖様、ありがとう!!!

ふふふ、ふははははは!!!!!


足は自然と速くなる。


「ラウランス様、いよいよでございますね。」

遅れては追いつきつつ、あの神官長補佐官のロータスが、珍しく上気した声で言う。


いつも落ち着き払った無表情で、私の机に書類を積み重ねるしかしない、あのロータスでさえ。

いかん、私も落ち着かねば。


「そうだな。最後の魔女が、目覚める瞬間だ。」




アゼルティーナ国の魔女システムは、


依代(よりしろ)の魔女を通して魔力を増幅させて

国の礎の精霊石を満たし、

この精霊石の力を利用して

国の平和を守るための結界具や武具、

国の豊かさを守る国土補助具を機動させる


というものだ。


この魔女システムがあるため、アゼルティーナ国は、周辺の国に脅かされることなく、また自然災害の不安もない。

そんな平和を、建国以来保ってきた。


国の平和がひとりの魔女を介して成り立っていることなど、当然のことながら、殆どの国民は知らない。


この中央神殿でも、私とロータスと副神官長の3名。

国でも両手で数えられる程度だ。


その中でも、さらに限られた2名には大切な役割がある。


依代の魔女に、定期的に自らの魔力を注ぐこと。

その魔力が彼女の生命を維持し、

また彼女によって数百倍にも増幅された魔力が国を守るのだ。


彼女を浸す聖水に魔力を注ぐと、

彼女の頬が、ほんの少し紅に染まる。

それからほんの少し口角が上がって。

眦がピクリとする。


その優しい微笑みを目にするたびに、私の全身が震える。

そのあとは、彼女のまつ毛の1本、髪一筋、

そんなほんの少しの動きからすら、目を離せなくなるのだ。




・・・・っ、う、あああああ///


だめだ。

おもいだすだけで、魔力供与の幸福感に浸ってしまう。


祖父の言葉によると、

魔力供与の役目にあるものは、魅了状態となるらしい。


たった1年でも私はこの状態なのに、

30年、神官長を務めた祖父は

一体どうやって平静を保ったのだろう。



「それでは、行っていらっしゃいませ。

 お迎えの準備は、お任せください。」


ロータスが両手を胸に当てお辞儀をする。

私が手をかざすと、魔術陣の描かれた厚く大きな扉がゆっくりと開いていく。



透明度の高い水槽に満たされた聖水の中に彼女がゆらゆらと浮かぶように立っている。

薄ぼんやりとした月光を受けた聖水の中で、彼女の発する魔力の粒がきらきらと煌めいている。


この100年、役目を得た者たちが、彼女のこの静かな世界を守ってきた。


そうして100年の務めを終える彼女が、いよいよ目を覚ます。


目を覚ましてこの世のものとなる彼女は、その微笑みのように優しく清らかであろう。



目覚めた彼女を想像しながら眺めていると、

魔力の煌めきが次第に消えていった。


それと合わせるように、水位がすうっと下がっていく。

聖水の中でふわふわと揺れていた腰まであるミルクティー色の髪が、からだの凹凸に沿って落ち、月光で艶めく。


そして、彼女の眦が、ぴくりとしたあと、

ゆっくりと上にあがる。


真っ白で柔らかそうな瞼の奥に、ラピスラズリのように輝く深い青があった。


その深青が、何度か見え隠れするうちに、焦点が合ってきたようだ。

私の方を向いて目が止まった。


「マリアージュ様。お待ちしておりました。

貴女は100年の眠りからお目覚めになられました。」


跪き、胸に両手を当てて頭を下げる。

それから、私は緊張しながら顔をあげる。


視線が合った。


月の光の中で悠然とたたずむその姿。

この世のものとも思えぬ美貌。

なんと美しい。


鼓動がひどい。


「・・・・・・・・・あ」


(あ?)


「・・・あ〜〜〜、お腹空いたわ〜〜〜」

読んでいただき、ありがとうございました。

本作は、自己紹介的な作品を目指しています。

1日1話投稿を目標にがんばります!

コンテスト応募は、ビギナーズラック狙いで。


次話も読んでいただけると嬉しいです。


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