久々の任務と計画
「今回の任務はある物の奪還らしい。」あるものとは?「人の記憶をいじれるやつだ」え?いや,倫理観おかしいだろ。
「もう誰かが死んで能力得れるという時点で怪しい匂いがするだろう?」誰かを強制的に殺って…みたいな?
「ああ。実際前にそういう事件があったんだ。狩 利糾というやつがな。」そいつが勝手に殺したのか?
「いや,彼は殺した奴らを殺した。」へえ。いい奴ってこと?「まあ,世間的にはな。」
学の言い方が気になったが,そう言えば本題に戻らなければいけなかった。
「さて,閑話休題だ。今回のターゲットは細田紅蓮というやつだが,こいつは能力者だと思われる。」能力は?
「分かっていない。ただ,精神を操る系のものだと言われている。」学となら簡単そうだな。
「だからこそのコネだろ。」あの人そんな権力持ってんのか?「いかにもって感じじゃないか?」確かにな。「どうしたの?」と水愛が壁から顔を出す。
働けと言わんばかりの光を放つ太陽は登り,おまけのアラームが枕元で鳴る。これでも居候の身なので,急いで時計を止めて勢いよくとは真逆のスピードで起きた。
俺たちが住んでいるここ,宍向市は神話で言うグリフォンのような形をしており,その頭部あたりが学の家がある町,言歌町だ。そこそこの田舎なのか,定食屋の激戦区だ。
そして,今回の細田さんはその定食屋の一つ,「磯貝」の店主の息子らしい。魚メインの定食屋だとしても,その名前は安直ではないかと言いたくなる。集合場所のトンネルに行くと,学と水愛がいた。