兵の役割と仕事
「さて,本題に入るぞ。」ああそう言えばそうだったな。「ん?」水愛が不思議そうに首を傾げる。「ああ。今朝,龍の靴に爆弾が仕掛けられたらしい。」ええ,大丈夫?,と水愛は本気で心配してくれた。こういうのは慣れていないので混乱する。
「兎に角調べた所,1-Aには日華 未姫という奴がいて,こいつが爆弾を作る能力らしい。」発動条件は?「まだ分からない。ただ,こいつもいじめのグループに加担している可能性がある。」まじか。
「まじだ。」聞いたことない名前だな。
「とりあえず,明日俺が直接話してみる。」「危険じゃない?」「大丈夫だ。伊達に成り損なった飛車とか言われてない。」なんか信用ならんな。三人は苦笑した。
昨日は金曜日なので,今日は学校は休みだ。そして,射雲との盟約の日だ。実際には,盟約というほど堅いものではなく,学に話したら「厨二病か?」と笑われそうだ。「隠者の友」と書かれた看板をくぐると,射雲は読書していた。読書といっても大抵一つしかないのだが。
案の定,表紙には「星屑の家」と書かれていた。作者は天野眼鏡だ。面白いのか?と聞くと,射雲はようやくこちらを見た。一瞬泣きそうな顔をしたように見えたが,そう言えば俺は射雲が泣くところを想像できないので,それは勘違いに違いない。
「そういえば今日は盟約の日だったな。まぁ盟約というほど堅いものじゃあないがな。」
俺と同じことを言うな。
「ときに龍よ。KNIGHT って知ってるか?」
能力者で構成された警察のような組織だろう?なんの略だったかは忘れたが。
「ああ,そうだな。この度,お前をこのKNIGHTに受けさせることにした。もし落ちたら,君が泣くまで殴るのをやめない。」は?
「いや,だからKNIGHTに入れって言ってんの。給料いいし,ホワイトだよ?たまに行方不明になる人もいるけど。とりあえず,俺の最大限のコネを使って今度の任務で学と一緒にやって成功したら入れるってことになったから。」
そんなまた勝手な。っていうかあいつってKNIGHTの一員なんだな。
「まぁあいつほど強かったらな。それじゃ,任務の詳細は学に伝えてあるから。」今話せばいいのに。「いいや,ここまで来たら絶対に話さない。俄然やる気が湧いてきたぜ〜。」あんたそんな性格じゃないだろ。射雲は「それもそうだ」と呟いた。