06,
新学期が始まって三日、特にあの二人に進展は無かった。
何でなの!?
わたくしちゃんとサポートしてましたのに!!
一日三回はどちらかの消しゴムを落として拾わせたり、
気づかれないように椅子を近ずけたり、
教科書をわざと隠して見せ合いっこさせようとしたり、
なのに、なのに、何でアイツが邪魔するのよ!!
カルロス貴様ァァァ!!
何故殿下の消しゴムをわざと落とすと、オリビア嬢よりも早く拾ってしまうの?わたくしちゃんとオリビア嬢の方に向かって落としましたわよね?
椅子をずらした時も何故殿下が数ミリ動いただけで分かるの?
ちゃんと黒板を見なさいよ。
教科書に至っては、殿下のを隠した時あなた速攻で見つけてましたわよね?その時の決めゼリフ覚えてる?『あちらから殿下の匂いがしたので見てみたら教科書が落ちていましたよ』
だとさ!まだ三日も使ってねぇわ!ゔぁか野郎!
だからね、オリビア嬢の教科書を隠すようにしたの。
それなのに、またアイツは邪魔をするの。
カルロスがオリビア嬢に教科書を貸して、殿下の教科書を見せないようにしてしまうの。
何故なの?一体何故なの?
貴方は二人の恋を応援しているのではないの?
でも、まあいいわ。
他にも策はあるもの。
見てなさい。カルロス。
◇◇◇
今日は春一番の風が吹いている。
春風、学園、恋愛、と言えば、そう『強風でスカートがめくれてしまってあらら』よ!
本当は始業式の日にやりたかったのだけれど生憎風が全く吹いていなかったのよね。
それで、風が強い今日する事にした。
しかも、今日は新一年生の入学式!
始業式よりも入学式の方がスカートがめくれる風景にあっていますものね!
入学式は午前九時から。後一時間。
普通、上級生達は入学式には参加はしないけれど殿下達は生徒会役員であるので参加は義務!
もうみんな会場に行っているはず。
わたくしも早速向かいましょう!
会場に着くと先生方や殿下達が慌ただしく動き回っていた。
んー、この状況でスカートめくりをする度胸はわたくしにはない。
スカートめくりは入学式が終わって教室に戻る途中にしましょう。屋内よりも屋外の方がいいしね。
それまで暇ですし、わたくしも少しお手伝いしましょうか。
少し斜めっている壁飾りを直したり、先生方の服装チェック、マックスの寝癖直し等をしていたらあっという間に時間が過ぎて開会の時間になっていた。
新一年生が入場して、国王陛下、理事長先生、役員の方々、のなっっっが〜いお話の後にようやく殿下のスピーチがやってきた。
『新一年生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんのご入学を心よりお待ちしておりました。
ーー在校生代表、生徒会会長チャーリー・ペンバートン』
殿下のスピーチが終わると共に会場から溢れんばかりの拍手が湧いた。
素晴らしかったわ!まさかあの殿下があそこまで立派な生徒会長になるとは!
良かったわスカートめくりを入学式前にやらなくて。
殿下のスピーチが終わったら、あっという間に閉会式。
ようやくこの時が来たわ!
第一の恋愛イベント『春風のイタズラ』
よく小説で、想い人のスカートが春風にめくれてしまいそれをたまたま見てしまい、十秒ほど顔を赤らめ硬直するあれ!
でもね、小説の世界と現実世界では価値観が全く違うの。
女性がスカートを故意にめくられたとしても、素足どころかパンティーまで見せてしまったら黒歴史所ではないわ。一家の恥よ。
でも、これをしない限り二人にゴールは見えない。
なので、殿下のズボンを下ろそうと思うの。
女性と男性の立ち位置を交換したとしても問題は無いでしょう!
殿下たちは式が終わって少しして会場を出た。
殿下にオリビア嬢にカルロスにマックスにレオ。
邪魔なのが沢山いるけれど仕方が無いわ。絶対に邪魔はさせないから。
殿下を挟んで右にカルロス、左にオリビア嬢。その後ろにマックスとレオが並んで歩いている。
この並び方だと殿下のパンツを下ろしてもオリビア嬢気付かないかもしれないわね。
いや、そんな事はないか。普通隣の人のズボンが落ちたら気付くわよね。
さあ、準備は整いました!
ではいきますわよ!
『殿下のズボンよずり落ちなさい!!』
命令するとベルトが緩み、ズボンが一気に落ち可愛らしいパンティーが顔を見せた。
殿下や他の男共は直ぐにズボンが落ちた事に気付き、ズボンを上げようとした。マックスはオリビア嬢と殿下の間に入り、見えないようにした。意外と気は使えるのね。
でも、残念だったわね。オリビア嬢はマックスの足の隙間からスボンが落ちた事に気付きそっぽを向いてしまった。
殿下たちは急いでズボンを上げようとした。
だが、そうはさせない。
十秒はパンティーを晒していないといけない決まりなのよ!
『スボンよ鉄より重くなりなさい。わたくしがいいと言うまでその位置にいなさい。』
殿下達は必死にズボンを上げようとするけれどびくりともしない。
「なぜ、なぜ、ズボンが上がらない!!」
「殿下、お巫山戯はいいです! 早く、早く上げてください! 誰か来てしまう!」
「巫山戯てなどいない!!!! スボンが重すぎる!!」
「そうですよ、カルロス。このズボン重しが着いているかのように全く持ち上がる気配がしない」
殿下とカルロス、それにレオがズボンを何とか上げようとしているけれど全く上がらない。
マックスはオリビア嬢の目を塞ぐのに必死。
駄目ね、これは。
失敗したかもしれないわ。やっぱりあの男共は邪魔でしか無かったわ。これじゃあオリビア嬢が殿下のパンティー見れないじゃないの。
わたくしの失態ね。
「殿下ァァァア!!! 殿下だけに恥をかかせるわけにはいきません! こうなったら私もお供させて頂きます!」
そう言ってカルロスは自分のズボンをさらけ出した。
なんて、馬鹿な人なの。前々から思ってはいたけれど、なんて馬鹿なの。
「レオ! マックス! 貴様らも脱げぇぇぇぇえ!!!」
「「は?」」
嫌ァァァァ!!オリビア嬢逃げてぇぇぇ!
カルロスが嫌がる二人のズボンを無理やり下ろし、四種類の多種多様なパンティーがお出ましになった。
『オリビア嬢! ダッシュで逃げて先生を呼んできなさい!』
パンティーが見えたところで急いでオリビア嬢に命令し走らせた。これ以上見せてはいけない。
あなた達野郎共は馬鹿な事をした罰として先生が来るまでその状態でいなさい!
数分後、男の先生が四名程走って来た。
先生がパンティーをさらけ出しているのを確認した所で速攻命令を解除し、ズボンを上げさせた。
そして、殿下達四人は無事生徒指導室に連れていかれた。
本当にオリビア嬢には申し訳ない事をしてしまったわ。
これからはもっと熟考してから行動に移さないといけないわね。
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