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夜が更けないうちに私はとある場所へと来ていた。
そう、それは王立貴族学園!
この学園はわたくしや殿下、オリビア嬢が通っている学園。
十五に入学し十八で卒業するこの学園で、わたくしたちは今年の春から最上級生になる予定。
今は春の長期休みであり、夜中でもあるので誰一人としていない。
なので、誰にも邪魔されない今、この学園を散策して校舎の構想を覚えておこうと思う。
え?何故かって?
それはもちろん、未成年の恋愛といえば学園物に限るからですわ。
長期休みを抜けたら殿下とオリビア嬢はこの校舎でわたくしのサポートを受けながら愛を育む予定ですので、しっかりと校舎を見て回らなくてわね!
最上級生は一.二年生とは別の校舎で学園生活を送るため、この前まで二年生だったわたくしは最上級生の校舎には入った事が無かった。
高鳴る鼓動を抑え、きちんとエントランスから入る。
まさか誰よりも早くこの校舎に入ることになるとは思いもしませんでしたわ!
この校舎、前までいた校舎とは比べ物にならないぐらい豪華で綺麗なんですのね。
エントランスだけで一体いくらかかっているのか。
ダイヤのシャンデリアに、少し大きすぎる国王陛下と王妃殿下の肖像画。見るからにフカフカそうな真っ赤な絨毯等など。
エントランスがこれほどまでに綺麗でお金がかかっているということは他の教室なども同じくらいお金がかかっているという事よね。
早く行きましょう!
一階には大きい図書室に、養護室、職員室、サロン等など。
二階には各クラスの教室、ダンスルーム、化学室等など。
三階には大食堂や生徒会室、会議室等など。
どの教室を見て回ってもとても素晴らしかった。
こんなに素晴らしい校舎ならば殿下とオリビア嬢も楽しい青春が送れそうね!
それに、職員室にお邪魔した時見つけてしまいましたからね。
今年度の生徒会役員一覧表を。
生徒会役員は毎年決まって最上級生がやる事になっていて、生徒会役員は前年度、二年生時の成績優秀者上位五名から選出される事になっている。
今年度の生徒会役員は殿下とカルロス、マックスにレオ、そして、オリビア嬢が選出されていた!!
みんな成績優秀者だったものね。本当にすごいわ。
みんなが成績優秀者だったおかげで、その五人とも同じクラスにもなるらしいものね。
一,二年生の頃は家柄別でAクラスBクラスCクラスと別れていたけれど、最上級生になる今年からは成績順にAクラスBクラスCクラスになる決まり。
もし、これでオリビア嬢か殿下のどちらかが成績が悪ければ別々のクラスになっていたかもしれない。
本当によかったですわ。
一,二年生の頃テスト時に殿下にカンニングされていても黙っていて。本当によかったです。
基本、成績はテストの順位で決まるのでもし、殿下のカンニングを先生方に密告していれば今頃殿下とオリビア嬢は別々のクラスだったかもしれない。昔のわたくし、黙っていてくれてありがとう。
嗚呼、早く休みが明けて欲しいわ!
校舎を見て回っていくつもの作戦が思いついたんだもの!
早く実践したくてしたくてたまりませんわ!
◇◇◇◇
朝日が昇り始めた頃、私は学園を出て王都の外れに来ていた。
ここには時々お世話になっていた凄腕の秘薬薬師がいる。
名前の通り秘薬しか作らない薬師であり、あまり表には出てこなく、あの男が薬師と知っている人はおろか、この家が薬屋だと知っている人は少ないと思う。
そんな薬屋を何故わたくしが知っているのかは置いといて、壁をすり抜けて店内に入る。
中に入ると相変わらず埃が舞っている。
それに、本が乱雑に積まれ、商売道具でもある薬草やら薬品やらも雑に置いてある。
家の外観は普通に綺麗なのに、何故家の中はこんなにも汚いのかしらね。
まあ、いいわ。
今日は薬師にしか用がないから。今は家の中を物色している暇はないの。
紙に「惚れ薬、媚薬、フェロモン剤を一週間以内にお願いします」と書き、金貨が入った袋の中に入れる。
その袋を店の奥でお腹を出して眠っている薬師の腹の上に置き店から退散した。
ふぅーー。
流石にバレないかと心配になったわ。
あの薬師、幽霊とかスプラッタが大の苦手だものね。もしわたくしが店に来ていたと知ったら失神して薬を作る所ではなくなってしまうかもしものね。
薬師が熟睡していて良かったわ。
一週間後は学園の休みが明ける日、それと同時に薬を仕上げてもらう様にしたので後は時間が過ぎるのを待つだけ。
一週間後が楽しみだわ。
もしよろしければ評価などよろしくお願いします┏○┓