表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
144/179

144「ギルガメシュとエンキドゥ」

「ギルくん、やっとフンババめを倒せたね」


「エンちゃん、奴のシュメール語はフワワ(Huwawa)だよ、アッカド語ならフンババ(Humbaba)だけど。

 それにしても、あの時ギルくんが起きなければ、本当に危なかった所だった」


「それは済まんて、『驚愕の輝き』が意外に強力でな」



ギルガメシュはフンババ征伐に向かう際、15kgある黄金の短剣や90kgもの斧、更に巨大な弓を携えつつ300kg相当の武装で身を固めた。

武器の扱いぶりが並びないだけでなく、掴み合いや殴り合いのような己の拳で戦う武勇に優れた人物としても知られている。


戦い開始直後にフンババから放たれた『驚愕の輝き』で、ギルガメシュは意識を刈り取られたのだ。

「いつまで眠っているんですか」とエンキドゥに起こされたギルガメシュは、フンババに姉妹を妻として捧げるから、代わりに畏怖の光輝を与えるように申し出る。

その言葉は嘘なのだが、言われた通りに光輝を停めたフンババをギルガメシュは殴り、捕らえることに成功した。

だがフンババが助けを請うので、そんな姿にギルガメシュが同情しているとエンキドゥが首を撥ね、やっと戦いを終わらせた。



「違いない、だって相手はエンリル様が創った森の巨大守護者なんだもん」


「ふん、エンリルめ、何がレバノン杉の香柏の森を保全するためだよ。

 お陰で皆花粉症になるわ、森の脅威に怯えるわで良い事無いじゃねぇかよ。

 だけど大量伐採も出来たから、建材や燃料も手に入ったという訳だ」



フンババ討伐を終えたギルガメシュとエンキドゥは、革袋にフンババの首を入れ帰途についていた。

戦いの臨む時、ウトゥはギルガメシュに獅子の前足と鷲の後足を持った7柱(しちにん)の勇士を与えてくれた。

ギルガメシュは斧で武装させた兵士50人を引き連れ、共に戦いに挑んだのだった。

戦いは苛烈を極め死傷者も少なくなかった、それでも彼等は勝利を修めたのだ。




ギルガメシュとエンキドゥ一行が街道を進んでいると突如声が掛かった。



「ギルガメシュ、よくもエンリル様の可愛がっていたペットのフンババを殺したね。

 エンリル様に仇成したお前は悪だよ!」


「俺達が悪だって?」

「誰だ、あれは」

「イシュタル! (正体はイナンナ様だけど)俺達に何の用だ」


「お黙り! この世に悪は栄えない! お前達に制裁を下してやるから反省するんだよぅ」


「ほざけ! フンババ討伐は街の人々の為になるんだ」



7柱(しちにん)の勇士と斧で武装した若者50人は戦闘態勢に入った。



「ふん、その程度の戦力で私に敵うと思ってか!」



ギルガメシュとエンキドゥ一行の前に、巨大な戦車がゴゴゴゴと音を立て現れた。



「あれは聖牛グガランナ!」

「何だと! そんな兵器まで持ち出すとは」



かつてギルガメシュはイナンナの為に数々の献身をした。

キシュからウルクに政治的地位を移した事も、キシュの包囲を撥ね退けた。

ウルクの城壁建設でイナンナの神殿群『エアンナ』の一部を築き捧げた実績もある。

その時から惚れられ、ストーキングまでされ付き纏われた。


なのに今これだ。

イナンナという女神は本当に面倒臭い。


イシュタルはグガランナの中に滑り込み側近の二柱(ふたり)に命令を下す。



「アルベル、アシンヌ、彼奴等(あやつら)()ーっておしまい」


「イシュタル様、本当に良いんですか?

 だって、この間までギルガメシュに惚れてたんでしょ?」

「そや」


「確かにギルガメシュは私の理想の人よ?

 でもね、邪険にしたり邪魔者扱いするなんて許せないの。

 ギルガメシュは良かったけど、隣の方も素敵じゃない」


「あれはエンキドゥでまんねん」



そんな話をしていると、兵士達の矢がグガランナを襲う。



「ああっ あいつら攻撃してきたよ」


「大丈夫ですよイシュタル様。

 このグガランナにあんな武器は通用しないのよ。

 次はこちらの攻撃ですよ、搭載の最強兵器『ゴッデス砲』で一掃しましょう。

 じゃ、ポチッとな」



グガランナに上部装甲が左右に開き、中から巨大な大砲が出現した。



「何だあれは」

「不味い、兵達は大至急散開して物陰に隠れろ!

 一発でも撃たれると衝撃波で吹っ飛ばされる、急げ」


「さあ、これで良し。

 イシュタル様、そこの照準を見てトリガーを」

「アルベル、あんた良い男だねぇー。

 こんなにも私のために、良いよぉー、聖獣から神獣に格上げだってしてあげちゃくなっちゃうじゃなぁい」



その時コンソールの一部が開き、中からブタさんが。


ドッゴ―――――――――――――――――――――――――――ン


トリガーを引くとグガランナの『ゴッデス砲』は最大火力で炎と煙、衝撃波を撒き散らしながら砲弾を発射した。

砲撃の暴威は辺りの物を吹き飛ばしながら、遠くの山に着弾し大爆発を起こした。



「はっはっはっはっ、どうです? イシュタル様、ざっとこんなもんですよ」

「ちょっとお待ちよ、あの山って」

「エビフ山でまんねん」



緑と果実豊かな野獣の宝庫『エビフ山』はアヌから

「あそこは恐ろしい山である。故に山の主に逆らっても無駄である」

とイシュタルは聞かされた覚えがあった。


エビフ山はグガランナの砲撃の影響なのか、縦真っ二つにされている。

砲撃で生じた噴煙が薄れてくると、山は破壊されたのではなく、左右に開かれたと言って良い状況になっていた。

そしてエビフ山の中には主が格納されている。



「あれは?」

「もしかしてあれはエビフ山の主なのか?」


《ギルガメシュよ、敵を打ち倒す力が欲しいか? 欲しければ念じよ、力を貸そう》



状況に驚くギルガメシュの頭の中に何者かの言葉が響く。

あたかもエビフ山の主の念が語りかけて来たような。



「そうだ、今のままでは俺達は聖牛グガランナに勝てないでやられてしまうだけだ。

 倒したい、倒さねばならない、あの聖牛グガランナを、そのための力が欲しい」


《ならば唱えよ「フェードイン」と》


「え、と、良いんか? これ言って」

「ギルガメシュ、何してる、逃げるんだ」

「エンキドゥ、俺ならあいつを、あの聖牛グガランナを倒せるかもしれん」

「何だって? 正気か? ギルガメシュ」

「俺達二人は力を合わせれば神に等しい力を持てると言われている。

 だからお前も力を貸してくれ、一緒に唱えよう「フェードイン」と」

「何やねんそれ」

「いいから行くぞ」

「「 フェードイ―――――――ン 」」



二人の念はエビフ山の主に届き、主の眉間から照射されたトラクタービームがギルガメシュに届く。

ギルガメシュは山の主に引き寄せられ、向きを変え眉間から同化するように一体化する。

それに呼応する様、山の主の目が開き光が灯る。

そして人形態(けいたい)で動ける姿に変形し、いよいよ動き出す。



「何だ? 何だ? 何だ? 何だ? 何だあれ?」

「イシュタル様、あれは多分山の主ですよ」

「何だってあんな物が入ってたんだよぉ―」

「アヌ様から手出し無用と言われてたまんねん」

「そんな事言ってないで何とかおしよ、お前達」



三人がパニックしている間に山の主は、地響きを立てながらグガランナに近付いて来た。



《我がエビフ山を攻撃したのは、お前達で間違い無いな?》


「ひー、強そうなのが来たよ、どうしよう、どうしよう、アルベル・アシンヌ~」

「イシュタル様、ここはゴマ摺ってでも言い逃れた方が」

「そ、そうだね、そうしようじゃないか」



イシュタル達が相談している間に、山の主は弓矢をこちらに向けている。



「お待ち下さい、山の主様、私達に貴方様を攻撃しようなどとは思っていなかったんですよ?

 これは言わば事故、そう、本来あり得ない事故だったのです、ですから私達は貴方様の敵ではありません。

 だから今回はノーカウントというもの、つまりノーカンです、ノーカン! ノーカン! ノーカン! ノーカン!」

「「 ノーカン! ノーカン! ノーカン! ノーカン! ノーカン! ノーカン! ノーカン! 」」



必死に許しを懇願する姿に山の主は心を動かされようとした。



《お前達は反省をしているのだな? 罪を憎んで()を憎まずと言う、もう間違いを犯してはならんぞ》


「ははー、それはもう」





「あぁ、助かった、アルベルの言う通りだったよぅ。

 あんなのが隠されてたって、一瞬肝が冷えちゃったじゃないか。

 でもあいつが木偶の坊で助かったねぇ、私等の策略勝ちだよね」


《む?》


「私等があんなのにやられてたまるかってんだょ」

「そうでまんねん、うちらが反省しなきゃならん事なんか何も無いねん」

「んべ~~~~」


《む?》


「あれ? 帰ろうとしてた山の主がこっちを見てるよ?」

「ひょっとして今の会話聞こえてた?」

「これはイシュタル様が悪いでまんねん」


《お前達が反省したというのは嘘であったか、大激怒―――――――――》


「ああっ、ヤバイよヤバイ」

「逃げるでまんねん」



山の主の弓から矢が放たれ、グガランナに向かう。


チュド―――――――――ン


山の主の矢に貫かれたグガランナは大爆発、クレーターと残骸を残し四散してしまった。

この間、エンキドゥと7柱(しちにん)の勇士、斧で武装した兵士50人は呆気に取られるしかない。







「エッホ、エッホ、ケホッ、やられちゃったよ悔しいねぇ」

「命さえあれば、また何度でも挑めますってイシュタル様」

「もう懲り懲りでまんねん」



イシュタル様は爆発するグガランナから、命からがら自転車で脱出が出来た。

必死の逃走中、自転車に取り付けられていた装置が明滅する。



「こぉ―――れ、イシュタル共よ」


「このお声はアヌ様!」


「お前達、手を出してはならぬと教えた山に攻撃をしただべ。

 この事件、天空神アヌとして許し置けぬ、お仕置きだべ~~~」


「えええ? そんなぁ、アヌ様ぁ~~~」



アヌの宣言が終わり次第、ミュージックが鳴り自転車が爆発した。


ド―――――――――ン



「「「 アヌ様のイケズ―――― 」」」



この事件は史上最古の名の知れた詩人として名高い、シュメールの王女エンヘドゥアンナが創作を加え書き残したとか。


「オロカブ」

https://www.youtube.com/watch?v=7jPkvq2N0TM&ab_channel=%E3%83%9C%E3%83%A4%E3%83%83%E3%82%AD%E3%83%BC

タイムボカン王道復古-さんあく18年-君を離さない_チュ☆

https://www.youtube.com/watch?v=70J0eanbG-4&list=RD70J0eanbG-4&start_radio=1&ab_channel=YukiNishio-Topic

ヤッターマンの歌 〜演歌バージョン〜

https://www.youtube.com/watch?v=ZnFdib1E1Qs&ab_channel=%E5%B1%B1%E6%9C%AC%E3%81%BE%E3%81%95%E3%82%86%E3%81%8D-Topic

嗚呼!逆転王

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ