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「ああ……そんなご無体な……も、もう許してください……」

「はぁはぁ……」


 湯船に浸かっていた姫騎士は、魔王に自分のコンプレックスを刺激され、八つ当たりで魔王の胸を揉みまくる。長く揉まれた魔王は涙目で制止を求めるが、なかなかやめてもらえず、姫騎士が疲れるまで揉まれる事となった。


「ひどいです……」

「す、すまない。つい……」


 我に返った姫騎士に魔王が涙を浮かべて非難すると、姫騎士もやり過ぎたと思ったのか、素直に謝った。


「でも、元気が出たみたいですね」

「そうでもない……」

「元気がなくとも、私が雇ったのですから、働いてもらわないと困ります! 期限までは、死のうとするのも禁止です!!」

「………」


 魔王の言葉に姫騎士は、下を向いて黙ってしまう。


「ずっと気になっていた事があるのですが、教えてくれませんか?」


 下を向いていた姫騎士は、申し訳なさそうに魔王を見る。


「人族は森を抜けて、町の前に軍を配置しましたよね? その時に、私は町を捨ててでも生きて逃げるようにと指示を出したのです。私はこの時、多くの死者が出ると覚悟しておりました。ですが、一人の死者を出さずに逃げ切れたのです」


 魔王は姫騎士の目をジッと(のぞ)き込む。


「おかしいですよね? 次の町も、次の町も、一人の死者が出なかったのです。攻めて来ているのですから、追っても不思議じゃありません。どうして人族の方は、魔族を無傷で逃がしてくれたのですか?」


 魔王は姫騎士の目を真っ直ぐ見たまま目線を外さない。その眼差しを受けて、姫騎士が口を開く。


「それは……町を明け渡せば、命を助けると言ったからだ」

「……それだけが理由ですか?」

「そうだ。まずは拠点。兵を無傷で町を手に入れたのだから、追う必要は無い」

「必要が無い? 魔族が戦わないとわかったのならば、攻撃をして人数を減らしたりしないのですか?」

「出来る訳ないだろ! 武器も持たずに逃げる者を殺せるか!!」


 突如、姫騎士は大きな声を出す。


「やっぱり……。指揮をしていたのは姫騎士さんだったのですね」

「そうだ! 非道な魔族が素直に降服を認めて逃げ出すんだ。町から出て来た者は、人族の姿と変わらず、手には家財道具しか持ってないんだぞ? 私だって混乱する! 次の町も、次の町もだ……私がやっている事に疑問を持つのも当然だ!」

「だから進軍が止まったと……」

「……そうだ。その疑問を口に出したせいで、私は後方に移る事になったがな」


 姫騎士は喋り続けて疲れたのか、(うつむ)いて黙る。すると、魔王は姫騎士を抱き締める。


「ありがとうございます。姫騎士さんのお陰で、魔族が助かりました」

「私は……敵だ……」

「いまは味方です……いいえ。その前から、ずっと味方でした」

「違う……魔王を斬ろうとして、失敗した道化だ……」

「道化なんかじゃありません。姫騎士さんも、騙された被害者です」

「………」

「私は勇者様に守られてピンピンしていますから、気にしないでください。なので、雇用契約通り、私の為に働いてください」

「うっ……うぅぅ」


 姫騎士は魔王の優しい言葉に、ついに涙する。魔王はそんな姫騎士を強く抱き締める。だが、その感動するシーンを邪魔する者が現れる。


「ぐふっ。ぐふふふふ」


 おっさん妖精女王のテレージアだ。コリンナの勇者攻略が上手く行かなくなったので、飽きて(のぞ)いてやがった。ちょうど魔王が姫騎士を抱き締めていたので、パタパタと飛んで来て特等席で見ているが、近付き過ぎだ。


「テレージアさん? 変な声を出してどうしたのですか?」


 ほら、気付かれた。二人の間まで行けば、気付かれるのも当然だ。だが、テレージアは()びる事なく、思った事を言う。


「二人はそんな関係なんだ~? ぐふふ」

「そんな関係と言われましても、雇用主と雇用者ですよ」

「え~~~! つまんな~い!!」


 魔王の返しは、おっさんには物足りないみたいだ。この様な下世話な奴には、もう妖精女王とは言いたくもなくなるってものだ。


「もっとこう、胸を揉み合ったりとかないの~~~!?」

「そ、そんな事はしませんよ!」


 残念。ちょっと前にその様な事はあったのに、テレージアは見ていなかったようだ。残念がるテレージアはギャーギャーと騒ぎ出すが、隣のお風呂からドスンと大きな音がして止まる。

 テレージアは何事かと、パタパタと飛んで隣を覗く。


「きゃ~~~!」


 するとテレージアは歓喜の声を出す。勇者がコリンナの下敷きになり、コリンナの胸を押さえていたからだ。

 どうやら勇者は魔王を覗こうとして、コリンナの飛び蹴りを喰らって壁から落とされたようだ。その結果、コリンナの胸を揉む展開となったようだ。


「う、うわ~~~!」


 裸を見られてもケロッとしていたコリンナも、さすがにこの事態には慌てて、勇者を往復ビンタして逃げ出した。

 それを見たテレージアと三少女は、いいものを見れたと、ぐふぐふと笑い合うのであった。

もう限界!

複数更新はここまでで~す。

次回から、一日一話更新となります。

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