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たった一つの願い事
新連載です。
不定期での連載となりますが、お付き合い頂けると幸いです。
ある所には鳥籠があった。
酷く錆び付き鳥籠の中は、荒く荒んでしまっている。
その壊れかけた鳥籠の中には枷があって、その枷すらも、壊れかけていた。
_____だが。
その枷は、壊れてはいなかった。
小さな闇色の鳥籠に閉じ込められた魂は、願いを込めながらも
鳥籠から抜け出す事は出来ない。
そんな中、魂建ちは願いを、虚空に乗せた。
ある少女は渇望する、愛されたいと。
ある少女は、心底願った。心の平穏が欲しいと。
ある少年は、諦めた。自分自身は穢れてしまったのだと。