~プロローグ~
オリジナル初挑戦です。生温かい目で読んでいただけると嬉しいです(^^)
その日は、雨が降っていた
ある街___ルイールでは朝からしんしんと雨が降り続けていた。晴れていれば道の脇の水路も、広場の中心にある噴水も、陽光が反射しており綺麗なのだが、今日は生憎の空模様のため薄暗い。
街の一角にある住宅街も、いつもなら遊んでいる子供達を見かけるが、こうもどしゃ降りでは閉じ籠るしかないようで、数人傘を差して歩いているだけだ。
その数人の中に、薄紅色の上品なドレスに身を包んだ貴族の少女が歩いていた。白のレースに縁取られた赤い傘を持ち、パシャ、パシャと水音を立てながら、真っ直ぐ自分の家に向かっている。
が、ふいに何かに気付き路地裏へ入っていく。
ただでさえ薄暗い街の、更に濃くなる暗い道。人気も少なく危険な道だ。それでも少女は息を飲み、目的のものまで真っ直ぐ足を進める。
少し進んだところに"それ"はあった。遠目では何らかの黒い塊にしか見えなかった"それ"は、倒れこんだ若い青年だった。
薄汚れた茶髪に、纏っている黒装束は所々破れ、血の付いた服は雨で滲んでいた。
少女は、男の頭上に傘を差し出した。
____雨に濡れて震えてる人がいたら
そっと傘を差してあげられますように
雨傘
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