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ステータス

 



 次の日の朝、僕は寝室のベッドに横になっていた。前世の記憶を思い出した今となってはこのベッドは少し固く感じるが、我慢出来ない程でもないし今のところはこれでいいだろう。我慢出来なくなったら生産に特化しているであろう自分の力でどうにか満足いくものを造り上げるつもりだ。



 母親は僕にまだ病み上がりだからしっかり休むよう言って、ご飯を僕がいる部屋のテーブルに置いて仕事に行った。まぁ仕事に行ったと言っても、僕の家は二階建てで一階で花屋を営んでいて二階に僕と母が住んでいるのだが。


 ちなみに父親はここにいない。アインの記憶によると一度も見たことはないのだが、母親曰く生きているらしい。父親の実家はとても遠いところにあるらしく、その辺りの人が外部の人間に厳しいらしいので母親と僕を受け入れてもらうために説得しているそうだ。連絡もどうやってかは知らないが二ヶ月に一回くらいやっているらしい。


 それはともかく、一階に母親はいるが現在仕事中でしばらくは一人だ。休むように言われているから何もやることはない、暇だ。ならば今こそやるべきだろう、昨日睡魔に負けて断念した『ステータス』の確認を! 確認の仕方は暇神(邪神)に習った。ちなみにこの世界、自分のステータスは教会とかの施設にある神が授けた魔道具なるものでしか確認出来ないらしい。『鑑定』スキルは存在するが、物の効果や材料を調べるためのスキルで人のステータスは覗けないようになっているそうだ。

 話が少し逸れたがステータスを見よう。確か目を瞑って目の前にゲームのステータス画面があるのをイメージして……


「ステータス」



―――――――――ステータス―――――――――


名 前 : アイン・セイブル (4) Lv.1

種 族:半魔族


・天恵スキル

亜空間 / ステータス閲覧 / 偽装 / 魔蟲知識


・種族スキル

魔蟲召喚Lv.1

魔蟲使役Lv.1


・固有スキル

植物魔法Lv.1


・通常スキル

統率Lv.1 / 多重思考Lv.1 / 錬金術Lv.1 / 呪術Lv.1 / 生産系Lv.1 / 鑑定Lv.1 / 闇魔法Lv.1 / 光魔法Lv.1 / 四属性魔法Lv.1 / 付与魔法Lv.1 / 隠密Lv.1 / 索敵Lv.1


―――――――――――――――――――――――



……おぉう、ステータスは出てきたけど4歳児が持つには多すぎる。いや、原因は分かってる。神がくれたチートの一つだ。神に貰ったチートは2つ。一つは『天恵スキル』という神がくれた後天的には獲れないスキルで、自分のステータスを見るのとかがこれに入る。

 そして二つ目は『ゲーム内でそのキャラクターが持っていたであろう通常スキルをLv.1の状態で得る』だ。間違いなくこれがスキルの多さの原因だ。この世界はスキルの有無で大きく実力差があり、スキルを獲るのも物や才能に依るがそれなりの努力は必要らしい。だからレベル1とはいえ努力せずにいくつかスキル獲れるのか、ラッキーくらいの感覚でいたんだが、これはいくらなんでも多すぎるだろう……僕って公式キャラではあるけどモブ側の人間だよ? しかも戦闘系じゃなくて商人やってる生産職。


 なのに何? このスキル、魔法の属性多いし『呪術』とか物騒なスキルに『生産系』や『四属性魔法』とか明らかにいくつかのスキルが統合されてそうなスキル。ゲームのアイン・セイブル()は作る道具の材料自分で調達しちゃうような戦う生産職さんだったのだろうか?


 まぁいい……いや、良くはないけどラッキーだと納得して置いておこう。他にも気になるところはある。まぁ見て分かるが種族が『半魔族』になってる。

 実はこのこと、ある程度予測出来ていた。ゲームでバトルがあると言ったが、これはある時魔王が人間に攻撃を仕掛けてくるというイベントがある。そこでヒロインが聖女の力に目覚めて攻略対象者たちと一緒に魔王を倒しに行くのだが、魔王城でも低確率でアインに遭遇するのだ。おかしいだろう?

 アインに遭遇する場所は他にヒロインがいる王都、通っている学院だ。これは同じ学院に通っているから違和感はなかった。なのに魔王城だ。普通の学生は魔王城で偶然遭遇して商売とかしないだろう。だからファンたちの間では『アインは実は魔族説』とかが囁かれていた。制作会社は何も言わなかったから『色々謎過ぎる商人だから「闇商人」』とか呼ばれていたのを覚えている。実際は魔族と人のハーフだったみたいだが。


 まぁハーフということは父親が魔族なのだろう。種族スキルからして『蟲』関連の魔族だと思うが、どんな見た目なのだろうか? ゲームに出てきた魔族はどいつも角とか尻尾があったり肌の色が紫とかの特徴があったのだが、父親が見た目キモくないことを切実に祈る。せめて台所の黒い悪魔のような見た目でさえなければいいなぁ……


 あと半魔族全体なのか一部なのか知らないが、僕の体は魔族の特徴はどこにもないようで人間に普通に紛れ込めるようだ。そういえば僕の容姿について触れていなかったが、僕は黒目黒髪で、髪が目までほとんど隠しているようなマッシュルームっぽい髪型だ。ゲームのアイン・セイブル()も髪型はこんな感じで、前世ではこいつ前見えてるのか? と疑問に思っていたが、本人となった今は慣れなのか何なのか普通に見えるし、このまま切らなくてもいいだろう。


 そうそう、この世界は目の色は様々だが、人族の平民は黒髪か茶髪で、貴族の血を引いていると赤とか青とかの鮮やかな色になっているという設定がゲームではあった。僕は平民らしい黒髪だし、鏡が無いから分からないけどそんなイケメンでもないだろう。ゲームキャラだからブサイクではないと思うが、所詮モブだしな、そんな期待はしていない。



 とりあえず僕はゲームシナリオを傍観者として見て、たまにサポートキャラ兼商人として関わってそれなりに楽しませて貰おう。あとは魔王とかがいる物騒な世界で生き残れるよう努力して、あまり目立たないモブとして寿命を全うする。これが今のところの僕の目標だ。

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