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恋、きっと恋。
「で、その人に惚れたと。」
「ちょっ!そこまで言ってない!てか、惚れたとかじゃないし。確かに惹かれたけど…」
「えー恋でしょ、どう考えても。」
予想通り、円に連れ出されて質問攻め。
「あの絵描いた人か〜もっとあの絵みとけば良かったな〜」
「作品とか興味ないくせに。」
「失礼な!あるよ、ちゃんと!
これでも、沙耶の幼馴染兼親友として沙耶のおじいちゃんと多少長く一緒にいたんだから。」
そりゃそうだけど…
私が覚えてるのは、
おじいちゃんに轆轤を教えてもらっていた私を見た円が羨ましがって一緒に教わっていたが、
粘土は握り潰すわ、飛ばすわ、挙げ句の果てに機械は壊すわで大変だった。
円もそのことを覚えているのか、
私の視線に気付いて苦笑い。
「と、とにかく!
私はイケメン好きだけど、藤谷楓の作品に中身がないことくらい、わかったよ。」
「そうなの?」
「もちろん。ま、イケメンが作ったってだけで価値は上がるけど。」
「も〜…」
少しだけ見直した私がバカだった。