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ペペロミア  作者: 桜桃
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4





「またね。」



あの人、山風さんの声が耳にこびりついて離れない。



名刺をもう一度見る。


家に帰ってから、もう何度もなんども。


今が何度目か、わからないくらいに。











*******



あのあと、ポストカードを買った円が戻ってきた。



「あ、沙耶ー!こんなとこに居た!

探したんだからね〜。

ポストカード、買えたよ〜、全種類帰るか不安だったけど、猛ダッシュした甲斐があったわ!

…って、沙耶?聞いてる?」


「ね、円…」


「ん?いい男でもいた?」


「私、就職したいとこ見つけた…」


「え!いつの間に⁉︎

どこ?ちょっと、沙耶!」







*******





あのあと、幸せとかいろんな感情が混雑して

ボケーっとしながら、

円に何度も問い詰めながら家に帰った。



結局、円にはちゃんと言えてないけど。






prrrrrr...prrrrr




「はい。」


『あ、沙耶?さっきははぐらかされちゃったけど、

あきらめたわけじゃないからね〜』




円は相変わらず しつこい。



嫌いじゃないけど。





「別に、大したことじゃ…」


『うっそー、だって、沙耶の目キラキラしてたもん!』


「キラキラって…ただね、」


『うんうん!』


「本物の芸術家に会ったの。」




そう、本物の芸術家。


一目見ただけで引き込まれる。


言葉を失う。



その感情に見合った言葉を紡ぐには、

どれも足らなくて。



凄いとか、素晴らしいとか。



そんな言葉、ちっちゃく思えて。


嘘くさく感じてしまう。




そんな、絵を描く人。




絵の具で少し汚れていた指先。



だけど、とても綺麗な手だった。



あの手からいろんなものが生み出されてるんだ…




『…や?沙耶!』


「え?あ、ごめん。とにかく、詳しいことは明日言うから!たくさん聞いて!ね!」




無理やり切る。



あー、明日怒られるかな。



ふふ。



でも、今は…


少しだけ浸らせて。



今日あったこと、


忘れないように、振り返させて。





大事に大事に、心にとどめておきたいから。




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