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「そういえば、どうして貴方の絵がここに…?」
「俺ね、売れない芸術家なの。」
自嘲気味に言う。
「一応、個人会社立てて色んな仕事受けては作品作ってはいるんだけど、まだ個展をするまで大きくなくて。藤谷楓とは違うでしょ?同い年なのに。」
「同い年なんですか?」
「まあね…」
「でも、あなたのほうが素晴らしい芸術家です。
私が保証します。」
「ありがと。」
本心だった。
藤谷楓と同い年ってことは、私の2コ上の
22歳。
イケメン芸術家って持ち上げられてる
あっちが大げさなだけであって、芸術家っていうのは本来遅咲きだと思う。
私のおじいちゃんだって、50歳になってからやつと世間に認められてきたんだから。
「まぁ、そんなときに、藤谷からうちに飾らないかって言われて。
まぁ、いいかって飾ったけど…」
「あんまり、落ち込まないでください。
ここに来ている人たちは作品を見に来てるわけじゃないですから。」
「…うん。」
「あなたの絵が素晴らしいこと、見る人が見ればわかります。」
「うん、ありがとう。」
儚く笑うから、またフワリと笑って欲しかった。
「なんていう、会社なんですか?」
「え?」
「あなたの建てた個人会社です。」
「あぁ、サクラ。ローマ字でSakuraっていう会社。」
「あの、私…来年で大学卒業するんで今就活時期なんです。」
「へぇ…」
「あなたの会社に面接しに行ってもいいでしょうか!」
「え?」
「貴方のところで働かせて欲しいんです。」
ポストカードを買い終わった人たちがゾロゾロと戻ってくる。
絵の前で話し込む私たちを気にも留めない。
手元にあるポストカードを目の前にある作品よりも嬉しそうな瞳で眺めていた。
「私は貴方の絵が好きです。貴方の作品をもっともっと見たい。
貴方をサポートしたいんです。」
「そっか…。よし、うちにおいで。」
「ほんとですか⁉︎」
「うん。君、名前は?」
「松川沙耶、さんずいに少ないで耳におおざとです!」
「うん、なんとなくわかった。
沙耶ちゃん、うちで働いてるのは俺を含めて4人。
沙耶ちゃん入れて5人っていう少人数だけど大丈夫?」
「はい!」
「よし。じゃあ、面接して楽しみにしてるね。
これ、一応名刺。面接する時期になったら電話して?」
「わかりました。」
フワリと笑う。
「またね。」と言って去っていった。
手元にある名刺に目を移す。
"個人会社 Sakura 代表
山風 径"
「やまかぜ、けい…」