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ペペロミア  作者: 桜桃
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「今回のコンクールは、入選、佳作が10作品。

優秀賞5作品から1つ、最優秀賞。

それでは、入選から参ります。」







ドキドキと緊張感が伝わった。



減らず口をたたきながらも、


先輩も緊張しているようで、岩崎さんの手を握りしめていた。






「では、優秀賞の発表です。

春の風、斎藤友美さん!」






わぁぁぁっと歓声と拍手。





そうして、どんどんと呼ばれた。







「続いては、100万年の夢、藤谷楓さん!」





多分、一番の歓声だろう。



そりゃそうだよね、半分以上はミーハーなファンなんだから。






「続きまして、天使が参り降りた日、山風径さん!」



「いやったー!」



先輩は岩崎さんと、私は櫻さんと抱き合った。






「優秀賞の作品は、こちらです。」




山風さんを含む5人の頭上には

それぞれが描いた作品が映し出された。





映像だけど、わかる。































…あれは、櫻さんだ。
























「さ、櫻さ…っ」


「…うん。」




隣の櫻さんは、綺麗な涙を流していた。






「ほんっと、櫻ちゃん大好きなんだから。」


「でも、山ちゃんらしいよねー!」






うん、山風さんらしくて


とても愛のある作品だ。













「それでは、最優秀賞の発表です。」













周りが一気に暗くなって、定点ライトが付く。



ランダムに光が交差した。
















「最優秀賞は…







































藤谷楓さんで、100万年の夢です!」








ギャァァァァッと歓声が響いた。








「…まじか。」


「絶対山風さんだと思ったんだけどな…」


「ま、しゃあないでしょ。

本人は満足そうだし、優秀賞とっただけでも凄いよ。」


「…うん、だね。」


「櫻ちゃん、サービスしてあげなきゃね!」


「ちょ、岩崎くん!」





こちらに目を向けた山風さんは

目のあった櫻さんと微笑み合ってた。




うん、微笑ましい。













「あ、でも…」


「櫻ちゃん、あのメールなら無視だよ無視。」


「う、ん…」


「もしあれだったら、私も行くし。

山風さんも連れてくからね。」


「…わかった。ごめんね?」


「櫻ちゃんは悪くないでしょーよ。」




そう言いながらも、先輩の耳は赤かった。








































・・・・・・・・・・・








お手洗いに行った先輩と岩崎さん。


私と櫻さんは、ロビーの人気のないところで

山風さんを待っていた。





「でも、本当良い作品でしたねぇ。」


「…ちょっと、恥ずかしいけどね。」


「でも、めっちゃくちゃ綺麗で、

櫻さんへの愛を物凄く感じました!

溢れてる〜!って!!」


「ははっありがとう。

沙耶ちゃんにそう言ってもらえて嬉しいな。

松川先生、のお孫さんなんでしょ?」


「…知って、たんですか?」


「この間飲みに行った時、藤谷くんとの関係を聞いてこなかったし、同じ松川だし。

そうかな、って。」



お父さんが婿養子だから、

母親の姓なのだ。





「それに、松川先生のお葬式で見たことあったから。

沙耶ちゃんに会った時、なんとなく似てるなぁって思ってたの。

でも、4年も前だったし。うろ覚えで…

私もたまに径くんを迎えに行ったときとか松川先生とお話ししてたんだけど、沙耶ちゃんのこと物凄く褒めててね。

あいつの目は凄い、見抜く力があるって。

だから、そんな沙耶ちゃんに認められて、すごく嬉しいの。」


「櫻さん…」


「沙耶ちゃん、うちにきてくれてありがとうね。」


「わ、私の方こそ…受け入れてくれてありがとうございます!毎日、本当に楽しいです。」


「沙耶ちゃん…こちらこ…」








「ここにいたんだ。」







いい雰囲気も、この男のせいで最悪だ。
















「藤谷、くん…」















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