2 side櫻
「…はぁ。」
机に向かっても、なんの意欲もでない。
和ちゃんと沙耶ちゃんと飲んで、
頑張ろうって思った矢先
径くんには、わかりやすく避けられた。
もう、遅いのかな。
もう、仲直りできないのかな。
私なんて、いらなくなっちゃった?
別れる、のかな。
ずっとずっと径くんのことが好きで。
側にいられればいい、なんで思ってたのに
径くんに告白されて、
ずっと一緒にいたいって思っちゃって。
径くんに愛されてるって、自惚れて。
自分でも知らないうちに甘えちゃってた。
だから、バチが当たったんだ。
あんなすごい人、私には勿体なかったんだ。
無限のネガティヴループ。
謝るから。
良い子になるから。
我儘なんて言わないし、
約束も2度と破らないから。
だから、だから…
私を捨てないで。
バンっ
「櫻!」
「…!け、」
径くん、と言おうとした私を
フワリと、でも力強く、
抱きしめる。
「径、くん?」
「…ごめん。」
ごめん、ってなに。
もう付き合えないって?
別れようって?
「や、だ…」
「櫻?」
「おね、がい…別れないで。
私が悪かったの。径くんとの約束破ってごめんなさい。径くん、ごめんなさい。」
ごめんなさい、ごめんなさいと連呼する私を
驚いたように見つめた。
「櫻。」
「ごめんなさい、ごめな…んっ」
唇に残る、暖かい感触。
「謝るのは俺のほうなの。
つまんない嫉妬で、櫻のこと避けて、
どんだけ小さい男だよって…本当にごめん!」
土下座をするような勢いで謝られた。
別れ、話じゃない?
「櫻がアイツのこと、嫌がってたの知ってたのに。
ちゃんと向き合えなかった。
どうして1人で行っちゃダメなのか、理由を言わなかった俺が悪いんだ。
…怖がらせて、ごめんな。」
「うっ…径くんっ…」
「俺がいるから…もう2度と、触れさせないから。」
ポンポンと頭を撫でられて
安心したのか、涙がボロボロと流れて
径くんの肩を濡らした。
「こわ、かた…どうしていいか、わかんなかった…」
「うん、うん。」
「径くん、大好きだよ…」
「…俺は、愛してるよ。」
…私も。




