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ペペロミア  作者: 桜桃
51/58

背中 side和




コンクールまで、今日を入れて3日。




櫻さんが近づいても、サラッと避けてしまう山風さん。



ったく、男が何なってんだか。





行き場をなくした手を戻して、

悲しそうな表情を浮かべて、


秘書室に向かう。




創作意欲がわくはずもない山風さんは

ボケーっと空いたデスクに座って、

窓の外を眺めていた。



運がいいことに、買い出しに出かけた

沙耶ちゃんと溜くんはいない。





「はぁ…」


「オイコラおっさん、何ため息してんねん。」


「え?」


「櫻ちゃんの顔見た?

今にも泣きそうだったよ。」


「…。」


「アンタらしくないじゃん。櫻ちゃんを避けるなんて。高校のときから、くっつき虫みたいにウザいくらいくっついてたのに。」


「一言余計だっての。」


「しゃーせん。…で?どうするつもり?」




口をもごもごとさせる。






「このまま別れるってこと?」


「…そんなわけねぇだろ!」


「じゃあ、どうしたいの?

櫻ちゃんを困らせたいの?」


「…。」


「嫉妬、したんでしょ?」


「え?」


「話は櫻ちゃんから大体聞きました。

それで、きっと藤谷楓に嫉妬したんだろうな、って。」




…図星か。




「…山風さんの気持ちはわかるよ。

私だって溜くんが女の人の香水つけて帰ってきたら嫌だもん。

…でも、櫻ちゃんの気持ち考えてあげた?

櫻ちゃんが藤谷楓のことが苦手なの、あんたがいちばんわかってたじゃん。

そんな櫻ちゃんが藤谷楓に抱きしめられて、最初に思ったことってなんだろうね。

嬉しかったかな、悲しかったかな、それとも…








怖かったかな。」


「…!」



つられたように、顔を上げた。





「ったく、しっかりしなさいよ。

櫻ちゃんの一番の理解者はあんたでしょうが。

なんで私が背中を押してんの。」


「…ごめん。」


「私じゃないでしょ。」







でも、まぁ…


目を覚ましたようで良かった。






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