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「君は、こういう作品見るのが好きなの?」
「あ、はい。小さい頃から…」
「そっか。」
おじいちゃんの影響かもしれないが、
作品を見る目だけはあると思う。
養われているというか…
そういう才能は昔からあるってお母さんにも言われたし、
おじいちゃんが作品を買うときによく私に聞いてきて
「おじいちゃんと同じだ。沙耶は凄いな。」
って頭を撫でられた。
「実はさ、ここだけの秘密なんだけどね。
この作品だけ、出品者が違うんだよ。」
「え?」
「ホラ。」と言われて指差したところを見ると、
"Kei.Yamakaze"と右下にサインされていた。
藤谷楓ではなかった。
「だから、これだけ圧倒的に違ったんだ。」
「まぁ、この作品1点だけだしね。
彼の絵の中に埋もれてたら、誰も気づかないよ。」
「そ、そんなことないです!」
「…うん、だから君が気付いてくれて嬉しかった。」
フワリと笑う。
初めて見た顔は、端正な顔つきをしていた。
けど、それを抜きにしても綺麗な表情で
思わず胸をならせてしまう。
もう一度作品に目を向けた彼は
愛おしそうな瞳で見つめていた。
「もしかして…この絵を描いたのって…」
「うん。俺。」
また、ふわりと笑う。
私の胸が、ドキリと鳴る。
「君、すげぇな。」
「な、なんとなくなんですけど。」
まだ鳴り止まない胸を押さえつけた。