ちょっとした side櫻
お風呂から上がってさっぱりとする。
大学入学と同時に親に買ってもらったマンションは
セキュリティがしっかりとしている。
大きな窓から見える夜景は、
悲しいほどに明るい。
最近、径くんとまともに話すことができてない。
理由はわかってる。
私が悪いってことも。
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「径くん、コンクールにエントリーしてきた!」
「お、ありがと。櫻。」
「うん。」
径くんが、のびのびと自分の作品をつくることができる。
そのサポートをする。
そう決めたのは、高校生の時。
中学のときから絵がうまくて憧れだった。
プロになると聞いて、
自分の道が開けた。
私も一緒に同じ風景をみたい。
そう思えたから。
それが今、実現しようとしている。
「なぁ、櫻。」
「なに?」
「俺、頑張って作るね。」
「…ふふっ。
径くんらしくでいいんだよ。
思った通りに作って。
絶対にいいものができるから。」
「ははっ。なんか櫻に言われると心強いなぁ。」
「径くんの作品は、わかってるつもりですから。」
「ん。信用してんよ。」
径くんがいつまでも好きなことができるように。
サポートをする。
私はそれを1番に考えて動いてた。
それが1番いいことだと思ってたから。




