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「美味しかった…ごちそうさま。」
「綺麗に食べたね。じゃ、薬飲んで!」
はい、と出されたのは薬と水。
大人しく差し出された薬を水で流し込んだ。
そんな私を見て溜くんは満足そうに笑った。
「冷えると大変だから、布団ちゃんとかけてね。」
「うん。」
溜くんは本当に優しい。
嬉しいけど、物凄く辛い時もある。
「ねぇ、溜くん。」
「ん?」
「溜くんは、好きな人いるの?」
「えっ⁉︎」
驚いた表情。
その表情ですぐにわかった。
いるんだ、好きな人。
「…いるんだったら、もう私のとこに来ちゃダメだよ。」
「え、和?」
「好きな人、いるんでしょ?」
「いるけど…どうして和の家に来ちゃいけないの?」
さらっと言われたけど、
本人の口から肯定されると心が抉られた。
「そんなの当たり前じゃん。
好きな人に勘違いされるよ?あの人、あの子のこと好きなのかな、って。」
…やば、涙が出てきた。
熱があるからか、涙腺がいつもより緩い。
「和、泣かないで。」
誰のせいだ、バカヤロー。
違う、溜くんは悪くない。
私が溜くんを好きだから。
勝手に好きだから。
心が勝手に痛むから。
「和、俺…自惚れていい?」
「え?」
「和が今泣いてるのは、俺に好きな人がいるからだって…俺のことが好きだからって…自惚れていい?」
目の前の男は、一体何を言ってるのだろうか。
自惚れるって、その言葉に自惚れそうだよ。
「ばか、自惚れるっていうのは好きな相手に使う言葉だよ…」
「和。」
どくんっ
真っ直ぐに。
真剣に。
私を見つめる。
こんな溜くん、初めて見た。
「はぐらかさないで。俺、和のこと好きだよ。」
す、き………?
「ずっとずっと昔から、大好きだよ。」
「溜、くん…」
「和は?俺のこと、幼馴染以上に見れないかな?」
頭は冷静なのに、心がパニクってる。
言葉を出したいのに、うまくでない。
「あ、あのね、溜くん…その…あの」
「お、落ち着いて!…ごめん、熱出してる時にこんなこと言って…迷惑だよね?」
「そ、んなことない!」
頭がガンガンする。
寒気がする。
正直気持ちわるい。
でも、この想いは伝えたい
「私も、昔から好きだよ…
ばかで、お人好しで、ばかでばかで…」
「ちょ、ばかばか言い過「でもっ」
「大好き。」
涙が溢れて、鼻水も出てて、
自分でも、もっと綺麗に言いたかったな
なんて思いながら。
思いの丈を伝える。
「和…!」
ギュッと抱きしめられた。
勢いで肩が顔に当たって痛かったけど…
でも、暖かくて幸せだから。
文句は言わずに許してやろう。




