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やば。
涙が出てきた。
そっか。
私、溜くんがすきなんだ。
ストン、と心に何かが落ちた。
なのに、晴れ晴れとしないのは
報われない恋だから。
「かーーずーーー!」
は?
後ろを振り向くと、手を振りながら走ってくる
溜くん。
器用な男だ。
「どうしたの。」
「どうしたのは、こっちのセリフだよ!」
息を切らしながら、私の元へときた。
「何で先帰っちゃうのさ〜いつも一緒に帰ってんじゃんか!」
「和のバカ!」とまで言われる始末。
「いや、水谷さんが…」
「水谷?あぁ、二つ縛りにした女の子?」
「そーだよ。」
「確かに帰りに話しかけられたけど、
それがどうして先に帰ることと繋がるの?」
「だ、だって!」
…告白されたんでしょ?
「うん?」
「水、谷さんが…溜くんのこと、好きだって…」
ゴニョゴニョと語尾が小さくなる。
「…告白されたよ。」
「だったら!」
「でもそれって、和に関係ないじゃん?」
…なにそれ。




