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「付き合い始めたのは、高校卒業してからなんだよね。
4年くらい前かな。
元々両思いなんだろうな〜っていう雰囲気はあったんだけど、なっかなかくっつかなくて。
中学のときから好きだったみたいだけど、付き合い始めたのはそれからずっと後のことかな。」
中学…
そんな前からずっと好き合ってたんだ。
「櫻ちゃんは、山ちゃんのファン第1号だからね。秘書の仕事も自ら進んでやってたし。」
「そんな前から、櫻さんは山風さんの才能に気づいてたんですね。」
「うん…俺もさ、芸術とかよくわかんないんだけど、山ちゃんの作品って何かを感じるんだよね。
凄いな〜って思いもそうなんだけど、惹きつけられる、みたいな。」
「…わかります。」
「沙耶ちゃんがうちにくるって山ちゃんから聞いたんだけどさ、物凄く嬉しそうだったんだよ。」
「え…」
「その時、櫻ちゃん大事な試験があって休んでたのね。
それですっかり山ちゃん萎れちゃって。
だけど、沙耶ちゃんにあってめっちゃキラキラして帰ってきて。
制作意欲も回復したんだから。」
言葉が出ない。
…それくらい、嬉しい。
「あの時期の山ちゃんを救ってくれたのは、沙耶ちゃんなんだよ。
まさに、救世主!」
「そこまで言われると…照れます。
私、たいしたことしてません。」
「それでいいの。
山ちゃんはあの通り、自然体な人だから自然体でいないと!山ちゃんもこっちも息苦しくなっちゃうからね!」
岩崎さんは太陽みたいな人だ。
全ての闇を取り払ってしまうような
太陽みたいな人。
「岩崎さん、ありがとうございます。」
「ん?俺なんかしたっけ?」
今日は、岩崎さんに救われちゃったな。




