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ガチャッ
「ごめんごめんごめーん!」
「おっそいんですけど。」
「ごめんってー!やっと山ちゃんの言ってた布を見つけたんだから怒らないで?ね?和!」
「謝るなら私じゃなくてこの子に言ってよ。
本当なら面接なんてしなくてもいいのに、
溜くんが面接やりたいっていうからセッティングしたんだよ。
ガチガチに緊張してここまできて、アンタがいないって何事!」
「ありゃ、緊張したか〜」
「誰もがみんな、あんたみたいに能天気じゃないんだっつの。」
「ちょ、ちょいちょい酷いよ!
幼馴染でしょ!優しくしてよ!」
「幼馴染だからここまで言えんでしょーよ。」
「あ、それもそっか。」
目の前では夫婦漫才が繰り広げられている。
「あ、そうだ。面接にきた松川沙耶ちゃん。」
「よ、よろしくお願いします!」
「よろしく〜」
「んで、このバカが一応チームリーダー。」
「ちょっと!バカってなにさ!」
「ごくごく当たり前のことです。」
「もう!バカじゃないからね!
俺は岩崎溜。れっきとしたチームリーダーです!」
「は、はい。」
「もー、ほら沙耶ちゃん怖がってるから。」
「えっ!怖がらせちゃった?ごめんね」
オロオロしてる岩崎さん。
「ま、沙耶ちゃん。私たちとはたったの2個違いなんだし、フラッとに仲良くしよ?」
「は、はい!」
…なんだかんだ、優しそうな人で良かった。
自然と笑顔になる。
「じゃあ、とりあえず今日は説明だけするね。
あとは、週1くらいでアルバイトみたいにうちに来てもらって、仕事見てもらえたらな〜って思ってるけど…」
「大学なら大丈夫です!」
「そっか、じゃあ細かいことは後で。とりあえず会社の中案内するね。」
「はい!」
「えー面接はー?」
「溜くんが遅刻したんで、面接はカット。」
「ええええ!鬼!和の鬼!」
今にも泣き出しそうな岩崎さんに、
今度は私がオロオロする番だった。
「さ、沙耶ちゃん。バカはほっといて。」
「まって、俺も案内したい。」
「はいはい。じゃあ、一緒に案内しよ。」
お姉さんぽく、先輩は岩崎さんをなだめた。




