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指定された場所まで行く。
見上げると、こじんまりとした
馴染みのあるようなところ。
"山風径 個人会社 Sakura"
「ここだ…」
ガチャッ
「えっ」
開けようとしたドアが開いて驚く。
「あっ松川沙耶さん?」
「そっそうです!」
出てきたのは、フワフワしたセミロングの黒髪をハーフトップにした小柄な可愛らしい女性。
あの人が、秘書さん?
「どうぞ〜入ってください。」
「は、はい!」
中に入ると、長い廊下があって、
ドアが5つのドアがあったから、少なくとも5部屋はある。
こじんまりしてるけど、意外に部屋数は多い。
「ごめんね、面接会場とかないから事務所のほうで軽くやることになるんだけど。」
「大丈夫です!」
開けられたドアには、向かい合わせに合わさったデスクが6つくらい並んでて、たくさんの書類とファイルが並んだ棚…
その先に来客用の椅子とテーブルがあった。
「来客用の場所になるんだけど、ここで面接するね。」
「は、はい。」
「どうぞ。」と言われて、とりあえず腰を下ろした。
「私だけが面接するわけじゃないんで、もうちょっと待っててね?」
「わかりました。」
「ふふ、そんな緊張しないで。
私とちょっとお喋りしよっか。」
お喋り…。
「私は宮野和です。
主に経理の、仕事をしてるんだけど、
大体同じ仕事かな。
スケジュール整理したり、ファイル整理とかしてます。」
「宮野さん…」
「うーん、なんか堅いから先輩でいいよ〜」
「せ、先輩?」
「うん。直属の上司は実質私だし。」
ニコリと笑う、宮野先輩。
経理ってことは、秘書さんじゃないんだ。
「沙耶ちゃんは、どうしてこの会社に?
あの人、肝心なこと何にも言わないから。」
「えっと、藤谷楓の個展で会って…」
「あー、山風さんが絵を1枚描いたやつか。」
「はい。
それで、山風さんの絵に惹かれてこの会社に入れてくださいってお願いしたんです。」
「なるほどね〜私たち以外にいたんだ。」
先輩は「へぇ〜」と面白そう笑った。




