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CURUSADERS  作者: 隣の番長
ひとりじゃないから
1/3

プロローグ

この小説は自己満足です。過度な期待はしないでください。

アドバイス歓迎。中傷はお控えください。

 ―――闇夜やみよに月明かりがうっすらと地上を照らす。


 「はぁっ、はぁっ」


 よるのビルがいひびあらいきづかい。

一人の女性がなみだを浮かべながら必死ひっしにビルの真横まよこ非常階段ひじょうかいだんをカツカツとヒールが鉄を打つ音を鳴らしてけ上がっている。


 「ちょっとぉ、冗談じょうだんじゃないわ。まさか、あんな奴があらわれるなんてっ」


 下を振り向きながらその階段を上る。


 夜のやみの中、階段の下から聞こえるもうひとつの足音。暗闇くらやみの中、その足音の主の姿を確認かくにんすることすらままならない。


 しかし、女性は、その存在そんざい理解りかいしているのか、ただ、恐怖きょうふという感情に押されるがままにその足を動かす。


 彼女はやっとの思いで屋上へと到達した。


 その足で後ろを振り向きながら、姿を見せない存在に怯えながら奥へと、恐怖でふらふらになりながら不規則に息を切らす。


 「え・・・こ、こない?」


 動揺どうようしながらも安堵あんどのため息をついた。


 「・・・キャハ」


 その笑い声に女性はいきおいよく振りかえった。


 そこにいたのは、着崩きくずれたスーツを着た中年の男。


 鮮血の赤に染まったブラッディアイ、血の気も感じないような真っ青な肌。開いた口からは唾液がしたたり落ちている。両腕は力が入っていないようにぶらぶらと揺れている。

 

 「いやぁ・・・こないでよ・・・・・・」


 女性はゆっくりと後ずさりをして、視線しせんをそらすこともできず、段差だんさにつまずき、その拍子ひょうしにヒールが折れてバランスを崩し、転倒てんとうした。


 「こないで・・・冗談じゃないわ・・・」


 女性は折れたヒールを拾い、男に投げつけた。


 しかし、男は折れたヒールが顔に当たったことすら気づいていないのか、見向きもせず、ただ、ただただ、不気味ぶきみな笑みを浮かべ、その笑い声を響かせる。


 「もう、こんな臭いだけの体イヤなの。その体と交換こうかんして・・・?」


 中年の男が発する女の声。意味不明いみふめいな言葉を投げつけ、首を肩を超えるところまで傾けた。


 「い、いやよ!!こないでよ・・・”悪魔あくま”ぁ・・・・・・」


 「キヒッ・・・キヒャ・・・ヒャ・・・キヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ―――ッ」


 不気味な笑い声。男の両手が指を大きく開いて女性の首元に手をかけた。


 「ちょーだい・・・その綺麗なカ・ラ・ダ・・・キヒィ」


 「いやぁああああああああああ!!!」


 女性の悲痛な叫び声。それと同時。視界が真っ黒に染まった。


 「―――断斬符だんざんふ


 「キギャァアアアアアアアアアアアアアア」


 別の若いであろう男の声が耳に入り、物々しい耳に残りそうな叫び声が響く。

 

 すると、女性を取り込んだ黒いオーラは空気に溶けるように消えた。


 もどった視界で女性が見たもの、それは、自分をとらえた男の両腕の繋がる先、身体から離れ、宙に飛び、赤い血に紛れて2枚のふだ通過つうかした。


 「やみはらいて、聖なる加護かごを―――」


 女性の周囲しゅういに4枚のふだが地面に張り付き、ガラスのようなき通った四角形の箱、かべを生成した。


 カツカツと15,6の年齢であろう身なりの茶髪の少年が制服姿で箱の中へ。


 「もう大丈夫ですよ。ここは結界の中です。あなたの安全は保障しますよ」


 少年は優しく微笑んだ。


 「あ、あんたは・・・・・・?」


 女性の震える声に少年は、あー、と回答を保留し、


 「答えるのは後。もう少し待ってて、すぐに終わるから・・・・・・」


 と言って箱、もとい結界けっかいの外へと壁をすり抜けた。


 「さぁ、”悪魔ゴミクズ”さん観念してもらおうか・・・?」


 両腕の切断部せつだんぶから血を流し、うなり声をあげている女声じょせいの男・・・”悪魔あくま”に告げて、ポケットから数枚のふだを取り出してトランプのように広げた。


 「お前ら・・・”捨てクルセイダー”か・・・・・・」


 「ご名答ー」


 少年は口笛を吹いて余裕を見せつける。


 「なぜ場所がわかった!!」


 少年の手元でふだが浮き上がり少年の体の周りにそれぞれ駐留ちゅうりゅうする。準備完了じゅんびかんりょうと言ったところだろうか。


 「うちには優秀ゆうしゅうなナビがいるものでね・・・・・・」




 *


 「くしゅん!」


 町外れの山奥やまおくたたずむ古い事務所。

 

 事務所の暗い一室いっしつでパソコンの画面があやしく光る。


 そして、パソコンの前で背丈せたけの小さな少女がくしゃみをした。


 「なになに?誰かウチのうわさでもしてるのかなぁ・・・もぉ」


 そう言ってキーボードを素早すばやくたたき始めた。




 *


 「くっ―――」


 悪魔が、歯を食いしばり、いかにも悪魔らしいであろう、黒い翼を背中からスーツの布を破り、勢いよく広げた。


 「逃がすかよ―――!!」


 少年が右手を前に出す動作どうさ同時どうじに、宙に浮いていた札の内6枚が悪魔目がけて飛ぶ。


 だが、勢いよく悪魔が翼をはばたかせ空へと浮き上がり、札は後ろにあった鉄格子てつごうしに突き刺さったもの、すり抜けたもの、貯水ちょすいタンクからの供給きょうきゅう用パイプに突き刺さり水が吹き出したりと標的ターゲットをはずした。


 「命あってのって感じね、別の体を探すわ!!」


 悪魔は背を向け、翼を大きくはばたかせるとビルから遠ざかっていく。


 「待て!!」


 少年の周囲に浮いていたすべての札を空を飛ぶ悪魔目掛めがけてはなつ。


 「っ!?・・・ぐぅ・・・・・・」


 1枚の札が悪魔の左の膝から下を切り落とした。


 動きがにぶると、飛行が不安定ふあんていになり、徐々《じょじょ》に降下こうかし始めた時。


 少年が一枚の札を右手の二本指ではさみ横にくうると紫色にあやしく光った。そして、受話器じゅわきのように耳に当て、声を張った。


 「カラス!!」




 *


 更に高く、札を使う少年が立っているビルから4つ離れたビルのヘリポート。


 ライトアップされたヘリポートのHという文字の中心に一人の少年。少年を中心に影がライトの数だけ伸びる。


 腰まで伸びた黒い長髪ちょうはつ。そして、腰の後ろにはやいばがむき出しのかたな。まっすぐなら1.5mはあるであろう刀身とうしんは、剣先けんさき3分の1のところで直角に曲がり、まるで鎌のようだ。


 『行ったぞ!!』


 「へっ、逃がしたのかよ・・・ざまぁ」


 札を使う茶髪の少年と同じく、”カラス”と呼ばれた少年は紫色に怪しく光る札を耳に当てて言った。無線機むせんき役割やくわりを果たしているようだ。


 『うるさい!そんなこと言ってる状況か!!』


 「だぁー、もう耳元でさわぐなよ・・・・・・」


 札を使う少年のそのあとの発言はつげんを聞くことなく、札を頭上ずじょう手放てばなし、風に乗り夜の空に消えた。


 「さぁ、制裁の時間ジャッジタイムだ―――」


 黒い長髪の少年は、ライトが当たるところからゆっくりと歩いて、端《はし

》へと移動する。


 「―――3」


 へリポートのぎりぎりに立って、ゆっくりとその体を前へかたむける。


 「―――2」


 傾けた体が斜め45度を超えたところで少年の肉眼にくがんに、ヘナヘナになって飛ぶ悪魔の姿を捕捉ほそくした。


 「―――1」

 

 目を大きく開くと、血走ちばしったひとみ口元くちもとが緩み、笑みがこぼれた。すでに80度オーバー。

 

 「―――0」


 90度。


 少年の体は落下らっかするかと思われた。だが、ガラス張りのビル、中にオフィスがのぞける強化きょうかガラスに足をついて重力じゅうりょくさからうことなく走り、加速かそくする。


 「さぁさぁさぁさぁ―――!!!」


 少年はガラスをって飛びあがった。完全に何もない、周囲は空気。考えられない行動。脅威きょういのジャンプ力。軽々《かるがる》と20mは飛んだであろう。・・・そして、


 「オネンネの時間だぜ、あーくーまーちゃーん・・・・・・?」


 少年は悪魔の背中に着地ちゃくちした。悪魔はバランスを崩して高度こうどがガクッと下がると、一瞬いっしゅん立て直すも落下していく。


 地上30m。


 「なんで空から!?」


 「なんでって、俺が空飛ぶ《フライング》審判者ジャッジメントだからだよ」


 そうビルから落下とは言わず、無表情むひょうじょうに腰の鎌のような刀を抜いた。


 「お前も偽善者共きょうかいの《捨てクルセイダー》かぁあああああ!!」


 落下の中、少年の鎌のような刀の剣先が悪魔の喉にかけられた。


 「ぐっどないと・・・・・・」


 不自然な英語を残し、


 「くそぉおおおおおお・・・ぉ・・・・・・」


 刀を引いた。


 すると、刃は首をすり抜けた。そして悪魔は意識を失った。少年が忍者のごとく事務所などがある合同のビルに飛び移った。悪魔の体は車が数台信号停止している車道に落下。車から人が降りてきて大きな悲鳴と奇声が響いた。


 「成仏しろよ・・・・・・」


 微塵も思ってないであろうセリフを怪しい笑みを浮かべて言った―――



 *


 「・・・ったく、あのバカラス!!」


 札を武器に変える少年が長髪の少年が悪魔を撃墜したのを見て憤りで怒鳴るように言った。


 「やったの・・・?」


 「ああ・・・・・・ええ、もう大丈夫ですよ―――(カイ)


 声を震わせながら問う。結界の中で恐怖に震えている女性に少年が冷静になって肯定し、指を鳴らすと結界が消え、結界を作っていた札が消滅した。


 「―――終わったようですね」


 「あ、マスター」


 女性に近寄ろうとした足を止め、少年の向いた方からくる声の主に気付き、マスターと呼んだ。


 「今度は誰よぉ・・・」


 少年の緊張感のない声と現状の打破に気持ちが緩んだのか、泣きそうな顔で女性は背後を振り返った。


 そこにはニコニコと笑顔を振りまくような、長身の青年がネクタイを締め直しながら近づいてくる。


 「こんばんは、無事ですか?お怪我は?」


 「え、はい・・・・・・」


 ニコニコしながらの問いに戸惑いつつ頷いた。

 「まぁ、あなたの逃走経路で何人か殺されてましたが・・・・・・。あ、あなたにも後ほどいくつかの事情とサインをしていただくことになり・・・」


 「あの」


 「・・・ます。はい、なんでしょう?」


 話に割り込まれても顔色変えずにその表情を青年は崩さない。


 「何者なんですか彼ら。”悪魔”を倒すことができるなんて・・・・・・」


 青年は、見上げる女性の目線に腰を落とした。


 「・・・我々は民間の方々を守るために”悪魔”討伐をする民間会社、”Sacred Crows”の者です」


 女性の心情を察することなく自己紹介をした。


 「じゃあ、”悪魔”討伐の専門家って・・・・・・?」


 「ええ、少し特殊な訓練を積んだ人たちが集まる、悪魔退治のプロフェッショナル。世界各地にある”教会”に統括された”闇を殺せる武器(デモンズシックル)”。そしてこの子達が我が社の”十字架を背負う(クルセイダー)”、悪魔を討つ”(ツルギ)”です―――」


 見えない力、冷たい風が肌に吹き付ける。そして、車道から人の騒ぎ声と車のクラクションが夜の街に鳴り響いた。


連載内容ゎまとまっているので、ちょく②と進めていきたいなと思います(*´∀`*)

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