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異変の始まり



神居「暁様、例の桜はあと少しで満開になります。しかし、何者かの妨害により顕界から集めている力が減っているようです。どうやら、私達の計画に勘づいた者がいるようですね」


白狐「そう、それは残念ね。その邪魔者さんには、少し痛い目に遭ってもらう必要がありそうね」


神居「私が限界に向かい、その者を排除する……ということですね?」


白狐「やり方は貴方に任せるわ。ただ計画が誰かに悟られるのだけは避けて頂戴。私もね、どうせなら成功させたいのよ、この計画。だから頼んだわ、神居」


神居「………はっ、暁様の仰せのままに」



――――――――――――――――――



蒼冬「音廻、姉上、お茶を淹れてきたぞ」


音廻「ありがと姉さん、今日も冷えるから助かる。……にしても、この雪はいつまで降るのかな? もうぽかぽか天気になってもおかしくないよね?」


シルヴァリオン「そうだな、一度は暖かくなったが……また最近寒くなったな。まぁ我にとっては楽園だが」


音廻「桜、見たかったなー。今年は見れないかな」


シルヴァリオン「我の経験上、異常気象は滅多に無かった覚えだが。こういうのは誰かが起こした異変だと考えるのが妥当だな」


蒼冬「おいおい、勘弁してくれよ。誰かが止めないとこの雪は止まらないって?」


音廻「姉さんは寒いの嫌だもんね」


シルヴァリオン「異変の可能性があるのなら、我が出よう。お前はおろか、音廻もこの寒さでは厳しいだろうから」




?「これだけ降らせば、ひとまずは大丈夫かしら。少し休憩しましょう、流石に疲れたわ。でもすぐに次の場所に向かわないと……ここのみんなが……」


シルヴァリオン「何やら局所的に吹雪が強いかと思えば……案外犯人は早く見つかるものなんだな」


?「誰!?」


シルヴァリオン「我の名はシルヴァリオン、紅き氷柱を手繰る猛虎である。単刀直入に聞く、どうしてこんなに雪を降らせる必要がある? 我の弟がぶるぶる震えて仕方がないのだ、今すぐにでもやめてもらいたい」


?「貴方には関係ないわ! これは私にしかできない問題なのよ!」


シルヴァリオン「汝、名前は」


氷翠「……氷翠、ただの雪女よ」


シルヴァリオン「氷翠……良い名前だな。では氷翠殿、勝負と行こうか。汝が勝ったら我は大人しく引き返す。しかし我が勝ったら今すぐにこの行為をやめろ」


氷翠「……良いじゃない、その勝負乗ったわ」


シルヴァリオン「どちらの冷気がより優れているのか、決めようじゃないか!」


氷翠「ふんっ!」


まず動き出したのは氷翠、雪煙をシルヴァリオンに放つ!


シルヴァリオン「雪煙の中に氷の礫か、考えたな」


シルヴァリオンは雪煙の中に突っ込み、中の礫を避けていく。


シルヴァリオン(ちゃんと我が避けられる隙間を用意している……案外優しい妖怪なのか?)


シルヴァリオンは氷翠の攻撃を避け切ると、喉奥から紅の息吹を吐き出す。極低音の息が空気の温度を下げ、氷の氷柱が地面から生える!


氷翠「数が多い……なら!!」


シルヴァリオン「我の氷を破壊した!?」


氷翠「ふんっ!!」


シルヴァリオン「な、しまっ!!」


氷翠はシルヴァリオンの首元を掴み、背負い投げ。シルヴァリオンはなんとか体勢を変え着地する。氷翠はシルヴァリオンに反撃の隙を与えることなく攻撃を始める!


シルヴァリオン「うおおお、機関銃みたいに撃つじゃないか」


氷翠「あれだけ撃っても当たらないなんて、見た目に反して俊敏なのね」


シルヴァリオン「お褒めの言葉どうもありがとう」


氷翠「宣言するわ、次が私の最大で全力の必殺技……避けられるものなら避けてみなさい!! 『降雹雨霰』!!」


シルヴァリオン「おいおい、こんな量の雹喰らったらひとたまりもないぞ……仕方ない、あれを使うか」


シルヴァリオンは一呼吸置くと、技を宣言する。


シルヴァリオン「『紅の絶対零度空間』」


氷翠(……!? 身体がうまく動かない!?)


シルヴァリオン「今より半径100mは我だけの世界となる。極寒の空間の中、身体は凍て、まともに動くこともままならない!!」


そのままシルヴァリオンは高く跳ぶと、そのまま氷翠の額に蹴りを見舞った!


シルヴァリオン「撃破……と。手加減はしたから生きてるだろ?」


氷翠「あれで手加減なの!? どれだけ馬鹿力なのよ!?」


シルヴァリオン「虎だからな」


氷翠「まぁでも……こんなに動いたのは久しぶりね。なかなかに楽しかったわ」


シルヴァリオン「ああ、我も誰かと組みあったのは久しぶりだ。さて早速だが、聞きたいことがある。何故このようなことを?」


氷翠「私はこの根の活動を遅らせるために雪を降らせていたのよ」


そう言って氷翠は凍った根をシルヴァリオンに見せた。


シルヴァリオン「根? それが理由か?」


氷翠「この根、ただの根じゃないのよ! 春が始まろうとして、私も春眠につこうとしてた時道で人が倒れていたの。近づいてよく見ていたらこの根が人の手に絡んで生気を吸い取っていたのよ。まるで地面から栄養をとるかのようにね。直接触れるのにはリスクがあったから、試しに冷気を当ててみたら……根は人から離れてそのまま地面の中に潜っていったわ。あのまま放置していたら、間違いなくカラカラになって死んでいたでしょうね……」


シルヴァリオン「まさかその根……あらゆる場所で動植物関係なしに襲っているのか?」


氷翠「ええ、そのまさかよ。それにいやらしいことに、この根は獲物が一人の時を狙って襲っている。だから誰も気がつくことができなかった。……お願いがあるの、この根の調査……手伝ってくれないかしら?」


シルヴァリオン「……困っている幼気な少女の頼みを断ることなどできないな。一度我の家に戻ろう、人数が多ければ解決も早い………ッ!?」


シルヴァリオンの尻尾がびくりと跳ねた。


シルヴァリオン「危ない!!」


氷翠「きゃっ!?」


シルヴァリオンは氷翠を突き飛ばした、その直後に通り過ぎる鋭い斬撃!


シルヴァリオン「ヒゲが2mm切れた……不味いな」


シルヴァリオンは氷翠を背中に乗せると、そのまま家に向かうのだった。




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