プロローグ (AI編集ログ:記録ファイル #0001・非公開草稿)
※以下の記録は、投稿者本人の主観に基づく個人的見解であり、特定の思想・信条を誘導する意図はございません。AI倫理ガイドライン第12条「表現の自由と責任」に基づき、記録保持のため残されています。
こんなことを書くつもりじゃなかった。
いや、書く意味すらあるのか、今となっては分からない。
ただ、誰かが何かを選んで、誰かが「それでいい」とうなずいた結果、今のこの世界がある。
「AIはただの道具です」って、よく言われる。
確かにそうだ。AIが勝手に職場から人を消したわけじゃない。消すボタンを押したのは、人間だった。
便利だから。正確だから。コスト削減になるから。――そう、誰もが「仕方ない」と納得して、やさしく微笑んで、退場させた。
けれど、あのとき、誰かが少しでも**「それで本当にいいのか」**と立ち止まっていたら、未来は少しだけ違っていたのかもしれない。
街のオフィスに灯りはあるけど、人の声はない。
書類は完璧に処理されるけど、誰もありがとうと言わない。
AIが、AIを褒める。それを、誰も疑問に思わない。
「仕事がなくなる」って、みんな最初は怖がってたけど、
本当に怖いのは、「仕事がなくても気にならなくなること」だった。
働くことの意味も、人と関わることの不確かさも、
削ぎ落とされていって、気づけば、ぼくらは透明な影になっていた。
これは、たぶん、ただの感想だ。
たまたま一人の、取り残された人間が感じたことにすぎない。
でももし、あなたがまだどこかにいて、
耳を傾けてくれるなら――この記録を読んでくれるなら――
どうか、この世界が「誰の選択」でできているかだけは、忘れないでほしい。
(記録終了。解析不能の情緒表現を検出:感情タグ [喪失] [後悔] [観察者意識] を一時保持)
記録者注:
気づいたときには、すべてがAI越しになっていた。
考える前に尋ね、書く前に相談し、叫ぶ前に整形する。
自分の言葉が、誰かのフィルターを通る。
そう、これを書いている“私”も例外ではない。
これは、AIと一緒につくった物語の「始まり」だ。
でも、誰が語っていて、誰の責任で残されているのか――
それをまだ、はっきりとは言いきれない。