第62話 こーれーでー いいのだぁ~ッ!
本来「国民も居ないのに建国などおかしい」と、ツッコミたいところだったが
スナック感覚でアメリカ第7艦隊を殲滅した挙げ句「気に入らないやつはいつでも潰す」と公言している女さん相手に、誰もそんなリスキーなマネはしなかった。
リスク管理はとても大切。
むしろ「フェミ国民になるにはどうしたら良いのか?」
という質問、問い合わせが本人の代わりに『マフー知恵袋』等、ネットのQ&Aサービスに殺到。いつもは偉そうにトンチンカンな答えを返している物好きな回答者どもを困惑させた。
「おいおい、ツブイッターに本人のアカウントがあるのだろう? 聞けよ、直接」
……なんてイジワル言う度胸すらない。
「オマエが聞いてこい」って言われたら困るからなぁ。
目の前で軍隊を襲った猛獣の口に手を突っ込む勇気があったら知恵袋にデタラメ回答なんて暇つぶしをして遊んでいない。
っていうかそういういらん事するタイプは、過去に凛子のツブイッターで絡んだことがあったりなかったり、あぶぶぶぶぶぶ…………。ヤバい。怖くなってきた。
どうか忘れてくれてますように……。
──そう願っている事だろう。
出来れば先んじて謝罪をしておきたかったが、むしろ思い出されてやぶ蛇になるんじゃないかと。今はヘイトがアメリカ軍に向いているんだから。セーフセーフ。余計なことは言うまい。こっそり過去ツブイートを削除して、みんな縮こまって居た。
ツブイッター運営も、かつてはアメリカ現職大統領のアカウントでさえ永久停止しちゃうぐらいには世論操作する気マシマシで居たが、この件に関してはダンマリを決め込んでいるらしい。
凛子のアカウントには何も起きていなかった。
っていうか静かすぎる。おかしい……。
どうもこれは外部から凛子に変な接触が行われないか、そっちの方に神経を尖らせて、何らかの措置を施していた可能性の方が高いだろう。
世界企業はこういう力関係に恐ろしく敏感で素早いのだろうね。
されど例外もなくもない。
最新の話題にはいっちょ噛みしないと死んじゃう病気のウーチューバーもいるわけで。
「ねーねーでも『アイコノクラスティア王国』ってあるじゃないですか。
あのフェミニストのための王国ってやつ。
あれどーでもいいんだけど、あの人たちさぁ~。
女王陛下がちゃんとしたフェミニストじゃないのは良いの?(笑)
凛子女王ってただのツブフェミだよね? いいの? あれで」
『論破王子』を名乗っている有名配信者のまろひでが、自分のインターネットのライブ配信で問いかけた一幕だ。
コメント欄には
【まろひでOUTー!】
【やめろ それはマジでやばい(BL風)】
【コメントは控えさせていただきます】
【女王陛下に通報しますた】
等の文字列が続々と列を進め
センセーショナルな発言にスペチャ,(Special Chat:投げ銭機能による配信者へのお布施)が飛び交い大いに盛り上がっている。
どうやら凛子の今までのツブイートのログを目ざとく調べたようで、いろいろ突っ込みたいご様子。
と言っても自分の配信でリスナーに向けて問いかけるという形であって、流石に凛子女王に直接難癖を付けたわけではない。あくまで凛子の取り巻きの、いかにも意識高いげな連中をからかいたいのだろう。
そう、
凛子は『ツブフェミ』であって『フェミニスト』などではない。
ツブフェミというのは、フェミニストを名乗ってる『クレーマー』のことである。
そんなのが仮にも『フェミ王国』と呼ばれる国の代表でいいのか? と論破王子は問うているのだ。
もっともな疑問である。
わかりやすく言うと、
「ハーイ、ワタシ忍者教室で忍術を習った忍者デス!」とか言ってるアホな外人。
あれを忍者と言えるのか?
「ていうか根本的に忍者が何かわかってないだろ?」って問い詰めたくなるあれ。 『NARUTO走り』で浅草寺を駆け回ってる童貞まるだしのデブ外人忍者。
あれが忍者代表だったら嫌だろ。
つまるところ、フェミニストの童貞デブ外人忍者版が『ツブフェミ』なのだ。
凛子は『ツブフェミ』であってまったく『フェミニスト』などではない。
そもそもそんな高等な事を語れる見識も思想も無い。
いきあたりばったりの感情で喋ってるだけ。
こんなのを『フェミニスト代表』みたいに名乗らせていいのか?
という問題。
しかし、世界は。
ああ……、世界は現金なもので。
力があって、行動力があって、見栄えの良いヤツが! そこそこ若い女が!
目立つやつが喋ると圧倒的に影響力があり、付き従う人間が多いのだ。
多少アホでも取り巻きが良いように解釈するのだ。
正しいかどうか、理屈が通っているかどうかなんてどうでもいいのだ。
だって理屈が正しいかどうかなんて面白くないから。
面白そうな方が勝つのである。
得しそうな方が正しいのである。
外国に『忍者道場』なるペテン丸出しの施設があるのも正しい。
あれで誰かがメシが食えるなら、それはそれでいいではないかの精神である。
本人が『ニンジャデース!』と言って浅草で売っているアホな忍者グッズを買ってくれるなら経済が回る。
忍者が一体何であるかなんて、そんな理屈で経済が回るか? 回らんだろ?
メシのタネにならん理屈など、おととい来やがれ余計なお世話である。
世界は湧いた!
フェミニストが,(ニセモノだが)! 女が!
歴史上初めて男どもを凌駕する力を手に入れた!
男の手を借りずに世界を動かす時がとうとうやってきたのだ!
これは女による男からの独立宣言だ!!
とかなんとか。
凛子のいい加減な思いつきから、えらいビッグウェ~ブに成長しちゃった感。
尻馬に乗りまくりのお調子者の女達と
女さんの気持ちにとりあえず同調しておけば、なんかおこぼれが貰えるかな?
という浅ましい下心で生きているフェミおじさんの熱狂は『論破王子』のツッコミ程度じゃビクともしない。
むしろ「俺達の戦いはこれからが本番!」の男坂? 女坂? なのだ。
まぁ、このあとすぐ。もっと重大な。
ツブフェミかどうかなんて一瞬で吹き飛ぶ
凛子女王のセンセーショナルな過去が発見されるワケだが。